夏競馬が終わり、ローカル勝負だった馬との入れ替えが進んだせいか、2歳馬が続々入厩している。個人的に現2歳世代でナンバー1と思っているシルバーステート(牡2、栗東・藤原英厩舎)も入厩し、紫菊賞へ向けて調整。POGもこれから加速する。
来週は3日間開催でメニューも豊富。有力厩舎が期待馬を送り込んでいる。
一番質が高いのは9月20日の阪神芝2000m。角居厩舎は2頭出しで勝負に出る。まずはシャケトラ(牡2、栗東・角居厩舎)「傷腫れでデビューの予定が延びたが、影響のない程度。稽古でもいい動きを見せている1頭で、いい雰囲気があります」と吉岡助手。鞍上は浜中騎手を予定。
セレクトセールで金子真人氏が4900万円で落札した馬で、半姉のモルジアナは短距離路線で活躍が期待される素質馬。こちらは父がマンハッタンカフェで、芝の中距離でもやれそうな雰囲気だ。ちなみに私が参加している幾つかのPOGでは、情報通の人が結構取っていた。何とも不気味な馬である。

角居厩舎のもう一頭はレッドウィズダム(牡2、栗東・角居厩舎)。
「格上の馬たちにも食らいついて、ここまで順調に稽古を積めています。距離もあって良さそうなタイプ」と吉岡助手。こちらは福永騎手が鞍上予定。
前評判ではシャケトラに一歩譲る現状だが、半兄に重賞3勝のナリタクリスタルがおり、レースで逆転を期待したい。

シャケトラ
牡、栗東・角居、マンハッタンカフェ×サマーハ
POGシメイ

レッドウィズダム
牡、栗東・角居、キングカメハメハ×プレシャスラバー
POGシメイ

レッドウィズダム

9月20日(日)の阪神5R芝2000mでデビュー予定のレッドウィズダム


この角居勢に待ったをかけるのがレヴィンインパクト(牡2、栗東・池江寿厩舎)「まだこれからだとは思うが、いい動きを見せている。これだけの血統なので、やはり期待は大きい」と池江寿師。鞍上は岩田騎手を予定している。
半兄にゴールドアリュールゴールスキーがいる池江寿厩舎ゆかりの良血馬。そのゴールスキーをはじめ、兄姉はリグヴェーダオリエントチャームニルヴァーナなど6頭がデビュー勝ち。この馬も初戦からゴーサインだ。
前記3頭に比べると血統は地味だが、スマートオーディン(牡2、栗東・松田国厩舎)も、9月3日のCWで上がり11秒台をマークし、素質の片鱗を見せた。日曜日の阪神芝1800戦は見逃せないレースになる。

レヴィンインパクト
牡、栗東・池江寿、ディープインパクト×ニキーヤ
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スマートオーディン
牡、栗東・松田国、ダノンシャンティ×レディアップステージ
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阪神開催に期待馬を大量出ししている角居厩舎は、21日の牝馬限定マイル戦で、カイザーバル(牝2、栗東・角居厩舎)がデビュー。
母は桜花賞、ヴィクトリアマイルとGⅠを2勝し、半姉のダンスファンタジアはフェアリーS勝ち。この頃は藤沢和厩舎のイメージが強かった一族だが、京都新聞杯で1番人気にもなった半兄のシャドウダンサーの活躍もあり、半妹も角居厩舎となったようだ。仕上がりも上々で、デムーロ騎手鞍上からも期待は窺い知れる。

同日の阪神ダート1800m戦は、デューズワイルズ(牡2、栗東・鈴木孝)が有力か。CWでは6F82~83秒の速めの時計を出し、上がりも12秒台でまとめている。半姉には4勝したリコリス、現役で6戦3勝のダイワバロニスがおり、この馬もダートでの活躍を見込む。こちらも鞍上はデムーロ騎手を予定。

カイザーバル
牝、栗東・角居、エンパイアメーカー×ダンスインザムード
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デューズワイルズ
牡、栗東・鈴木孝、カジノドライヴ×ジューンアナガリス
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カイザーバル

母同様の活躍が期待されるカイザーバル


先週もそうだったが、阪神に比べると中山は地味。12日の阪神のマイル戦と中山の2000m戦のメンバーとレース内容を比べれば、それも分かるだろう。堀、国枝、手塚の有力評判馬たちは東京でドカンと出てくる予定なので、もう少し待ってほしい。

その中山では、19日の1800m戦でゴールドレイ(牡2、美浦・田中剛厩舎)がデビュー予定。美浦の重い坂路で13秒台の上がりを馬ナリでマーク。今週も時計が出にくくなっているポリトラックで12秒6で上がっていれば合格点だ。叔父にはディープインパクトを相手に皐月賞2着、ダービー3着、菊花賞4着と健闘したシックスセンンス、近親に来年のクラシック候補シルバーステートもいるとなると、こちらも負けていられない。

19日の中山ダート1200m戦には、千葉サラブレッドセールで4000万以上の値がついたマツリダインゴット(牡2、美浦・国枝厩舎)が予定。母はいちょうS、スイートピーSとPOG期間内にオープン特別を2勝しており、この馬もセリ後、POGリストに入れた人も多いのでは。
調教では同厩のマツリダバッハ(牡2、美浦・国枝厩舎)、ダイワチャーチル(牡2、美浦・国枝厩舎)と互角の動きを見せており、初戦から行ける。銀河系軍団と呼ばれる今年の国枝厩舎の2歳勢だが、8月までに4頭がデビューし、勝ったのはプロディガルサン(牡2、美浦・国枝厩舎)のみ。メインは東京開催だろうが、そろそろ攻勢に出たいところだ。

ゴールドレイ
牡、美浦・田中剛、ゴールドアリュール×インコグニート
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マツリダインゴット
牡、美浦・国枝、キングカメハメハ×アロマキャンドル
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最後に、新規を含めた新馬の入厩を見ていきたい。まずはPOGファンが最も気になるディープインパクト産駒から。先週載せ損なってしまったが、パーシーズベスト(牝2、栗東・石坂厩舎)は、昨年のPOGで泣かされた人も多かったであろうトーセンゲイル(セレクトセールで1億以上ついた評判馬)の全妹。兄を考えると怖いが、評判倒れの下が走ってしまうのも競馬ではよくあること。兄が1億以上値がついたということは、それだけノーザンFの期待が高い(リザーブ価格が高かった)血統のはずで、まだまだ見限れない。

アウェイク(牝2、美浦・斎藤誠厩舎)は、函館に入厩してゲートに合格して、ノーザンF早来に放牧。その後、札幌競馬場を経由して美浦トレセンに入って来た。この血統もゴスホークケン(朝日杯FS勝ち馬)が出た後、POG大人気だったダノンドリームのようなハズレもあって怖いところはある。ゴスホークケンと同じ斎藤誠厩舎(その後手塚厩舎に移籍)に入り、血統も蘇るか。
その斎藤誠調教師が早くから期待をかけていたアグレアーブル(牝2、美浦・斎藤誠、父マンハッタンカフェ、母プリティカリーナ)も入厩。半兄のアンタラジーが気性や体質に問題があり1勝馬の身に甘んじているが、素質は間違いなくオープン級の馬。半妹のアグレアブールも前評判は高く、今度は順調に行ってほしい。

ディープ3羽ガラス(ハートレーアフェクテューズスカイムーヴァー)が話題の手塚厩舎には、キングカメハメハ産駒のヘラルドスクエア(牝2、美浦・手塚、父キングカメガメハ、母コロンバスサークル)が入厩。
母のコロンバスサークルは5勝し、重賞でも度々掲示板に載る活躍を見せたが、その下にはアプリコットフィズダービーフィズクレスコグランドと重賞勝ち馬が3頭おり、期待の繁殖牝馬。初仔になるヘラルドスクエアの活躍次第では、来年からPOGでも上位で指名されることになろう。

パーシーズベスト
牝、栗東・石坂、ディープインパクト×パーシステントリー
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アウェイク
牝、美浦・斎藤誠、ディープインパクト×オールザウェイベイビー
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ヘラルドスクエア
牝、美浦・手塚、キングカメハメハ×コロンバスサークル
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