秋の東京開催を迎え、ここまで一頭も2歳馬を出していない堀厩舎が、満を持して勝負をかける。現在10頭程度の2歳馬が入厩しているが、その中でも1、2の評判となっているウムブルフ(牡2、美浦・堀厩舎)が芝2000m戦に出走する。堀厩舎らしく派手な時計は出ていないが、2週前にはモーリス、1週前には急上昇中のアルバートと併せているあたり、この馬への大きな期待が窺える。半兄のヴォルケンクラッツがダートで3勝と芝適性に不安もあるが、能力のほうは期待してよかろう。

芝2000mといことで、同レースには他にも評判の馬が多数出走予定。マイネルクラフト(牡2、美浦・手塚厩舎)は、祖母がホープフルS、フラワーCと連勝したマイネヌーヴェル。近親には京成杯、弥生賞を連勝したマイネルチャーチル、シリウスS勝ちのマイネルアワグラスなどがいるラフィアンお馴染みの一族だ。調教の動きも良く、初戦から行ける。
ジャガンツ(牡2、美浦・久保田厩舎)は、美浦ウッドで長めから入り上がり13秒2なら合格点。母はオープン特別など6勝している。ステイパーシスト(牡2、美浦・尾関、父ステイゴールド、母ロマンシエール)は、祖母が桜花賞馬オグリローマン、その兄にアイドルホース・オグリキャップと古いファンには懐かしい血統。個人的にも応援したい。

ウムブルフ
牡、美浦・堀、ディープインパクト×ウミラージ
POGシメイ

マイネルクラフト
牡、美浦・手塚、ステイゴールド×マイネテレジア
POGシメイ

ジャガンツ
牡、美浦・久保田、シンボリクリスエス×リビアーモ
POGシメイ

ウムブルフ

▲堀厩舎のエースとしての期待がかかるウムブルフ


牝馬限定の東京マイル戦もなかなかの好メンバー。
目玉は、関西から遠征してくるラベンダーヴァレイ(牝2、栗東・藤原英厩舎)。すでに3週間くらい前に調教でかなりの好時計を出しており、いつでも勝てそうな状況にあったが、東京開催を待ってのデビューとなった。兄姉はカミノタサハラマウントシャスタベルキャニオンボレアスなど活躍馬が多数出ており、POGでは毎度人気になる一族。この馬も相当の活躍が見込める。

ワンブレスアウェイ(牝2、美浦・古賀慎厩舎)は、上にキャットコインタガノエリザベートと重賞勝ち馬が2頭おり、姉に続きたい。クレーデリンテ(牝2、美浦・斎藤誠厩舎)は、オークス馬ヌーヴォレコルトの半妹。ただ調教では終い1F14秒を切れず、動きはもう一つ。そのヌーヴォレコルトも新馬戦は4着に敗れており、この馬も叩いてからか。

東京マイル戦でデビューのキャニオンロード(牡2、美浦・古賀慎、父ネオユニヴァース、母ロレットチャペル)は、半兄にPOGでも大人気になったカレンバッドボーイがいる。その兄は期待ほど走れなかったが、果たして弟は? 調教を見る限り、まだまだ地味な感は否めない。
東京開幕週に複数のデビューを仕掛ける古賀慎厩舎は、東京ダートマイル戦を予定しているアジュールローズ(牡2、美浦・古賀慎、父ヴィクトワールピサ、母ヴィアンローズ)が、ウッドでなかなかの動きを見せており、こちらは初戦から計算ができそうだ。
同じレースを予定のファニーヒロイン(牝2、美浦・戸田、父ゴールドアリュール、母ファニーストーリー)も動きは上々。全兄はダートで1600万にまで進んでいるスマートボムシェルで、この馬もダートで躍進を望む。

ラベンダーヴァレイ
牝、栗東・藤原英、ディープインパクト×クロウキャニオン
POGシメイ

ワンブレスアウェイ
牝、美浦・古賀慎、ステイゴールド×ストレイキャット
POGシメイ

クレーデリンテ
牝、美浦・斎藤誠、ダイワメジャー×オメガスピリット
POGシメイ

ワンブレスアウェイ

▲東京開催を待っての出走となるラベンダーヴァレイ


京都に目を移すと、石坂厩舎のディープ産駒2頭に目が行く。
まずは、牝馬限定のマイル戦を予定しているシンハライト(牝2、栗東・石坂厩舎)。全兄アダムスピーク、半兄アダムスブリッジ、半姉リラヴァティとオープンで活躍した馬が並ぶ良血。1週前は坂路で上がり12秒3を出し、もう一頭の期待のディープ牝馬パーシーズベストに先着している。ノーザンFの有力牝馬を育成する日下厩舎でもトップクラスの評価で、目指すはもちろん桜花賞、オークスだ。

ライバルになりそうなのは、武豊騎手が騎乗するアリアカンタービレ(牝2、栗東・高橋康厩舎)。
「ゲートや加速も速いし、初戦からやれそう。小柄な馬だが重たいウッドチップも問題にしないくらい馬力もある」と高橋康師。
名繁殖牝馬サクラセダンに繋がる一族で、ダービー馬サクラチヨノオーや、サクラホクトオー、サクラプレジデントなどが出ているファミリー。最近は古い血統が活躍しており、この馬もその流れに乗りたい。

リボンフラワー(牝2、栗東・池江寿、父ディープインパクト、母バディーラ) は、朝日杯勝ち馬ダノンプラチナの全妹。時計は地味だが、日曜日のマツリダバッハ(牡2、美浦・国枝厩舎)のように競馬に行けば走るのがディープの良血馬。この馬も初戦から格好をつけてくれるのでは。
ジェミナ(牝2、栗東・野中厩舎)は、母が桜花賞、オークスで3着。上位がブエナビスタ、レッドディザイアだから運が無かった。1週前の全体時計はかかったが、上がり1F12秒8は今のCWなら悪くはない。

シンハライト
牝、栗東・石坂、ディープインパクト×シンハリーズ
POGシメイ

アリアカンタービレ
牝、栗東・高橋康、ロージズインメイ×サクラアリア
POGシメイ

ジェミナ
牝、栗東・野中、ハービンジャー×ジェルミナル
POGシメイ

シンハライト

▲キャロットファームでも注目の中心シンハライト


京都の2000mは、勢いづく松田国厩舎からバティスティーニ(牡2、栗東・松田国厩舎)が、ルメール騎手を確保しての出走だ。「新馬勝ちしたロライマと併せても互角以上に動いている。まだこの先良くなりそうだし、この馬も走ると思う」と松田国師。

全兄に重賞戦線で活躍するデウスウルト、半兄にはオープンで活躍したイースターがいる。
ただ血統では、リュラ(牝2、栗東・松田博厩舎)のほうが注目。半姉は桜花賞馬のハープスターで、旬の血統だ。マイルの牝馬限定戦では無く、中距離の牡馬混合戦を選んだあたりは松田博調教師らしい。まだ目立った時計は出ていないが、かなり余裕があるもので、動きはいいようだ。

バティスティーニ
牡、栗東・松田国、キングカメハメハ×バプティスタ
POGシメイ

リュラ
牝、栗東・松田博、ステイゴールド×ヒストリックスター
POGシメイ

リュラ

▲姉ハープスターを超えるか!?良血のリュラ


京都の芝1800m戦は、先に名が出た石坂厩舎のもう一頭のディープ産駒パーシーズベスト(牝2、栗東・石坂厩舎)。調教ではシンハライトに少差遅れたが、追走したもので心配しなくていい。全兄のトーセンゲイルはセレクトセールの高額馬でPOGでも大人気になったが、期待外れで未だ未勝利。兄の汚名を晴らしたい。

ダート戦では、1400m戦に出走のエリシェヴァ(牝2、栗東・角田厩舎)が注目。
「まだ気性的に幼くて教えている段階だが、スピードに乗ってからの走りがいい。血統的にも期待のかかる1頭」と角田師。
毋は高松宮記念、スプリンターズSとGⅠを2勝し、最優秀短距離馬に選ばれた名スプリンター。ダートでデビューだが、芝でも見てみたい馬である。

パーシーズベスト
牝、栗東・石坂、ディープインパクト×パーシステントリー
POGシメイ

エリシェヴァ
牝、栗東・角田、Smart Strike×Believe
POGシメイ

パーシーズベスト

▲兄以上の活躍が期待されるパーシーズベスト


続いては新規入厩組。新種牡馬ヴィクトワールピサ産駒の良血馬が複数入って来た。テラノヴァ(牝2、栗東・須貝尚、父ヴィクトワールピサ、母エアトゥーレ)は、早くに山元トレセンに入って来たので夏デビューもあると思っていたが、なかなかトレセン入りせず、ようやくの入厩。POGで持っていた人はヤキモキしただろう。兄は皐月賞馬キャプテントゥーレ、ひとつ上の兄は紅梅Sを勝ったコンテッサトゥーレで、デビューしてしまえば早くに活躍も見込める。

グローサーザール(牡2、栗東・池江寿、父ヴィクトワールピサ、母ファーストバイオリン)は、菊花賞2着サウンズオブアースの半弟。530キロくらいある大型馬で仕上げに時間がかかりそうだが、兄も3歳になって成長し、京都新聞杯からダービーへと歩を進めた。この馬も長い目で見たい。

ウルトラバロック(牡2、栗東・松田国、父ヴィクトワールピサ、母レン2)は、半姉が秋華賞2着のレインダンス。ダイワスカーレットに敗れるも、ウオッカに先着して名を上げた馬だ。この馬も大物食いに期待。

他の種牡馬で目立つのは、レッドアヴァンセ(牝2、栗東・音無、父ディープインパクト、母エリモピクシー)。リディルクラレントレッドアリオンサトノルパンと兄姉5頭中4頭がオープン馬、うち3頭が重賞ウイナーとなれば、この馬も評判になるはず。良血馬が並ぶ音無厩舎でも1,2の期待という声もあり、先々まで夢が広がる。

テラノヴァ
牝、栗東・須貝尚、ヴィクトワールピサ×エアトゥーレ
POGシメイ

グローサーザール
牡、栗東・池江寿、ヴィクトワールピサ×ファーストバイオリン
POGシメイ

ウルトラバロック
牡、栗東・松田国、ヴィクトワールピサ×レン2
POGシメイ