天皇賞の日と言えば、2年前にラングレー(リアルスティールプロディガルサン(牡2、美浦・国枝厩舎)の全兄)対ベルキャニオン(カミノタサハラマウントシャスタの全弟)対ゼウスバローズ(ディープブリランテの全弟)というPOG人気馬対決が話題になり、「伝説新馬になるかも」なんて話もあったが、現状この3頭は条件馬。そんな前例もあってか?東京芝2000m戦は派手なメンバーでは無さそうだ。

1週前の時点で目立ったのはブラックプラチナム(牡2、美浦・栗田博厩舎)。内目を通ったとはいえ、美浦ウッドで5F65秒台は水準以上。母のクーデグレイスは、秋華賞でレッドディザイア、ブエナビスタらを相手に4着と好走した馬。母譲りのスピードで初戦勝ちを狙う。

期待馬出走による興味は、同日の芝1600m戦のほうが上。ここには堀厩舎の牝馬ナンバー1と言われているルフォール(牝2、美浦・堀厩舎)が、福永騎手で出走。
「牝馬にしては馬格にも恵まれているし、タメれば切れる脚を使えそう」(橋本助手)、とのコメントからも、レースは待機策となりそう。
ゲート試験後は放牧に出ることが多い堀厩舎では珍しく、そのまま在厩で調教してのデビュー。それもあってか8分程度の仕上がりのようだが、素質で押し切ってしまう可能性も。母はローズS、クイーンS勝ち馬、半兄は京成杯の勝ち馬ベルーフ。一族にはサッカーボーイ、ステイゴールド、ショウナンパンドラ、フェイムゲームなど活躍馬がズラリ並んでおり、先々まで楽しめる馬だ。

シグマグレード(牡2、美浦・勢司厩舎)は、勢司厩舎らしくポリトラックで馬ナリ調整。母は準オープンまで行っており、この馬も使いながらゆっくり成長していきそうなタイプだ。

ブラックプラチナム
牡、美浦・栗田博、ステイゴールド×クーデグレイス
POGシメイ

ルフォール
牝、美浦・堀、キングカメハメハ×レクレドール
POGシメイ

ルフォール

▲堀厩舎期待の1頭ルフォール


京都では芝1800m戦が好メンバー。ダノンシャルマン(牡2、栗東・池江寿厩舎)は、全兄に重賞2勝、宝塚記念2着のダノンバラードがいる。
「雰囲気やフットワークなんかは兄のダノンバラードとイメージが重なるし、よく似ている。ディープインパクト産駒らしく、やはりいいバネがある」と池江師。鞍上は松山騎手を予定している。
ディープインパクト×バラード一族は、ダノンバラードのほかにもG1・2勝のヴィルシーナやマーティンボロ、フレールジャックなど成長力のある活躍馬が多いので、長い目で見ていきたい。

ピッツィカート(牡2、栗東・音無厩舎)は、シンザン記念でオルフェーヴルを破り、毎日杯、鳴尾記念も勝ったレッドデイヴィスの半弟。1週前はCWで水準の時計を出しており、いい感じでデビューを迎える。

プルミエエトワール(牝2、栗東・吉田厩舎)は、阪神JF3着ミクロコスモスの半妹。調教の動きが芳しくなく1週伸ばしてのデビューとなったが、1週前ももう一つ。最終調教でどれだけ変わるか。

ダノンシャルマン
牡、栗東・池江寿、ディープインパクト×レディバラード
POGシメイ

ピッツィカート
牡、栗東・音無、ゼンノロブロイ×ディクシージャズ
POGシメイ

ピッツィカート

▲兄同様早めの活躍が期待されるピッツィカート(外)


芝1600m戦は、ベストワークス(牡2、栗東・羽月厩舎)の調教が目立つ。1週前のCWで6F82秒台、5F65秒台の好時計。併せ馬でクビ差遅れたが、これは2秒以上追いかけたもので心配ない。叔父は有馬記念、ジャパンCで2着したポップロックで、距離が伸びても良さそうだ。
フォーアライター(牡2、栗東・宮本厩舎)も、坂路で52秒4を馬ナリなら合格点。母は小倉2歳S勝ち馬で、初戦から行ける。

カジノブギ(牝2、栗東・中内田厩舎)は、3代母がオークス馬シャダイアイバー、一族の活躍馬がG1・2勝のエアジハード、ダイナオレンジ、プレシャスカフェ、ペインテドブラックなど古い馬が多いが、最近でもユールシンギング、ネオブラックダイヤが頑張っている。初戦というよりは叩いて良くなっていきそうだ。

京都ダート戦は、血統的にダノンスパーク(牡2、栗東・音無厩舎)が目玉。半兄はNHKマイルCを勝ったミッキーアイルだ。
「だいぶ動きが良くなってきたかな。先々は芝も試したいが、パワーのあるフットワークなので、まずはダートの走りを見てみたい」と音無師。
2週前調教は悪かったが、1週前は同厩のピッツィカートにクビ差先着と良くなってきた。「先々は芝も」、ということは馬のタイプは違うものの、ダートから芝で更に良くなったリアファルのような流れになっていく期待もある。

ベストワークス
牡、栗東・羽月、ファルブラヴ×アンソロジー
POGシメイ

フォーアライター
牡、栗東・宮本、ハービンジャー×デグラーティア
POGシメイ

ダノンスパーク
牡、栗東・音無、ヴィクトワールピサ×スターアイル
POGシメイ

ダノンスパーク

▲G1馬の兄を持つダノンスパーク(写真内)


新規入厩組を見ていきたいのだが、今回は新規よりも、ゲート試験後放牧に出ていたPOG上位人気の新馬が多数トレセンに戻って来たので、こちらを紹介しておこう。

フォイヤーヴェルク(牡2、栗東・池江寿厩舎)は、今年のPOG本で最も大きく取り上げられていた馬。夏の北海道でゲート試験を合格したが、その後体調を崩した時期もあり、トレセンへの帰厩が遅れてしまった。デビューは、11月後半か。牧場では「別の生き物と思うくらい、動きが違う」とまで言われていたほどだから、レースを早く見たい。

リライアブルエース(牡2、栗東・矢作厩舎)は、ノーザンF空港牧場でも1、2の評判と言われ、多くのPOGでも1位で抽選になったようだ。ちなみに私も某POGで1位投票したが、抽選で外してしまった…。それはともかく、この馬も11月中盤くらいにデビュー予定。

エピファネイアの全弟リオンディーズ(牡2、栗東・角居厩舎)も、放牧先で軽い捻挫があって少し遅れたが、秋デビューには間に合う模様。

ハートレー(牡2、美浦・手塚厩舎)は、手塚厩舎ディープインパクト3羽烏の一角。どうも他の2頭(アフェクテューズスカイムーヴァー)がモタモタしているので、この馬が頑張らないといけない。放牧先での評価は高く、この馬は大丈夫だろう。

最後はチェッキーノ(牝2、美浦・藤沢和厩舎)。藤沢厩舎ではお馴染みの血統で、全兄にコディーノがいる。体質の弱さや気性難を抱え、なかなか能力を出し切れない馬が多い一族だが、パンとすれば楽しみだ。

フォイヤーヴェルク
牡、栗東・池江寿、ディープインパクト×ナイトマジック
POGシメイ

リオンディーズ
牡、栗東・角居、キングカメハメハ×シーザリオ
POGシメイ


ダノンスパーク

▲母はドイツの年度代表馬にも輝いた良血フォイヤーヴェルク