6月20日の新馬戦を勝ったPOG1番人気のプロディガルサン(牡、美浦・国枝厩舎)。予想通り次戦は秋の東京スポーツ杯2歳S(G3)を予定しているようだが、驚いたのは放牧に出さず、このまま厩舎に置いておくという話。これは異例中の異例で、果たして吉と出るか興味津々である。それにしても、あれほどの期待馬を目の前に置いておいて、本当に東スポ杯まで我慢できるのか。もしかしたら、新潟2歳SやいちょうSに使ってくるなんてこともあるかも?

 新馬のインパクトとしては、プロディガルサンの上を行ったのが日曜日のポルトフォイユ(牡、栗東・高野厩舎)。逃げ馬が飛ばしたうえに、良馬場にしては重い馬場と差が開きやすい要因はあったものの、2着に4馬身、3着に9馬身つけての圧勝劇は予想を遥かに超える勝ちっぷり。兄のポルトドートウィユはPOG期間内に重賞を勝つことはできなかったが、こちらは重賞どころかG1も望めるはずだ。

先読みPOG

▲宝塚記念デーに鮮烈なデビュー勝ちを飾ったポルトフォイユ


 函館土曜日の芝1200m戦も評価したい一戦。メンバーも良かったが、勝ちタイムの1分10秒5も馬場を考えれば上々。勝ったブランボヌール(牝、栗東・中竹厩舎)は函館2歳Sが有力なのはもちろん、少差2着のメジェルダ(牝、栗東・昆厩舎)、少し離されたが、血統から変わり身見込める3着のアッラサルーテ(牝、美浦・手塚厩舎)まで覚えておきたい。

 さて今週から中京と福島開催が開幕。目玉と見ていたのはリーチザハイツ(牡、栗東・松田博、父ディープインパクト、母ドバウィハイツ)だったが、先週の木曜日に骨折が判明。全治6か月以上の診断を受けた。

 松田博調教師が来年の2月に引退するため、その前にG1(阪神JF)を勝たせてあげたいという話も耳に入ってきており、かなり期待の高かった馬。先週の調教も良好で、デビュー勝ちは堅いと思っていたので非常に残念である。松田博師引退前のデビューは難しそうだが、ここはしっかり治療をし、復帰を待ちたい。

先読みPOG

▲この追い切り後に骨折が判明したリーチザハイツ


 それでは今週の主役はどの馬になるのか。一番手に挙がるのが7月5日の中京芝1600m戦を予定しているアストラエンブレム(牡、美浦・小島茂、父ダイワメジャー、母ブラックエンブレム)になろう。もともとは先週の東京でデビュー予定だったが除外になり、1週延びてのデビューとなる。ピークを維持できているか心配になるところだが、小島茂厩舎は新馬戦で思い切りつくってくる厩舎では無いので、デビューが1週延びたせいで調子が落ちることはなかろう。ノーザンF横手厩舎でも屈指の評判馬。兄(テスタメントブライトエンブレム)同様、新馬戦は勝ち負け必至だ。

 ヒットザターゲットの半弟ゴールドラッシュ(牡、栗東・池江寿、父キングカメハメハ、母ラティール)も1週延ばした馬だが、こちらは動きが悪いためのデビュー延期。その分の変わり身を期待したが、木曜日の調教はテンからゆっくり入ったにもかかわらず、終いはいっぱいいっぱい。初戦は厳しい戦いになりそうだ。

アストラエンブレム
牡、美浦・小島茂、ダイワメジャー×ブラックエンブレム
POGシメイ

先読みPOG

▲東京の新馬ではよもやの除外 仕切り直して挑むアストラエンブレム


 前日の中京1400m戦は、血統からエスティタート(牝、栗東・松永幹、父ドリームジャーニー、母スキッフル)に注目。松永幹厩舎に入った兄姉3頭は全て活躍しており、フラガラッハは新馬戦2着で、2戦目に勝ち上がり。イリュミナンスフェルメッツァは新馬勝ちしている。この馬も1週前の坂路で52秒6-12秒1と抜群に動いており、兄姉に続けそうだ。

 福島に目を転じ、芝1800m戦には、シルクレーシングのシャクンタラー(牝馬、美浦・鹿戸雄、父ゼンノロブロイ、母ムガール)が出走。先週の調教はウッドで4Fからだが、17日にウッドで5F67秒3の時計を出し、上がりも12秒台でまとめている。ゼンノロブロイ産駒は牝馬に活躍馬が多く、目指すはオークスか。
同レースを予定のプライムセラー(牡、美浦・和田一、父カンパニー、母トップセラー)は、一族のアドマイヤジュピタアドマイヤメインが使って良くなった馬で、この馬も使いつつ変わってくるタイプか。もし初戦から勝つようなら楽しみは増す。

シャクンタラー
牝、美浦・鹿戸雄、ゼンノロブロイ×ムガール
POGシメイ

 福島1200m組は、アンナトルテ(牝、美浦・奥村武、父エンパイアメーカー、母クーヴェルチュール)。ウッド4Fから52秒0-12秒5と速い時計をマークし、スピードを感じさせた。父から晩成のイメージもあるが、母は2歳時に実質4勝(すずらん賞で1着失格)した馬。この馬も早くから活躍を見込める。
同じレースのストーミーシー(牡、美浦・斎藤誠、父アドマイヤムーン、母シーベストラウム)は、全体時計こそ速くないものの、2週連続でウッドで上がり12秒台、併せ馬も先着なら悪くない。ミルファームの馬であることを考慮すれば2歳戦から勝負で、新馬戦も期待していい。

アンナトルテ
牝、美浦・奥村武、エンパイアメーカー×クーヴェルチュール
POGシメイ

 新たな入厩組は、先週にドッとPOG人気馬が入ったので、今週は少々地味。目立つのは藤沢和厩舎で、美浦にダイレクトキャッチステラロッサの半妹ミネット(牝、父ディープインパクト、母レッドキャット)、函館にはレディブロンドの孫ティソーナ(牡、父ダイワメジャー、母ラドラーダ)が入厩。ミネットは一部で遅いと聞いていたので、予想以上に早い入厩。これは期待したい。

戸田勢はサンカルロの全弟ターゲリート(牡、父シンボリクリスエス、母ディーバ)、ソールインパクトの半弟ノンシュガー(牡、父ダイワメジャー、母クリームオンリー)が入厩。ノンシュガーは個人的にPOGで取るか迷った馬。兄同様POGには向くだろう。

オークス馬ヌーヴォレコルトの半妹クレーデリンテ(牝、美浦・斎藤誠、父ダイワメジャー、母オメガスピリット)も入厩したが、こちらはゲート試験合格が目標で、その後は放牧に出す予定だという。姉もデビューは秋だったので、急ぐことはなかろう。