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騎手コラム

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最高価格は2億6000万円!セレクトセール2016・1歳馬市場回顧

1歳馬総括

7月11日、「セレクトセール2016」(主催:日本競走馬協会)の1歳馬市場が北海道・苫小牧市にあるノーザンホースパークにて開催された。

247頭の上場馬の中で、最初に姿を見せたのはアドマイヤセラヴィの2015(牡1、父ルーラーシップ)。昨年と同様に上場番号1番はルーラーシップ産駒の牡馬が登場。毎年オープニングロットはリザーブ価格が設定されておらず、今年は一声3000万円からのスタート。次々に声がかかりあっという間にお代は5000万円を突破。1頭目から8400万円(以下、価格は全て税抜)という高値でZhang Yida氏が落札した。

そして、19番シャムロッカーの2015(牡1、父ディープインパクト)でこの日最初のディープインパクト産駒が登場。母のシャムロッカーは牝馬ながらオーストラリアのAJCダービーを制し、3歳牝馬チャンピオンになった名牝。お台は8000万円からスタート、開始して10秒足らずで1億円を突破し、最終的に1億7000万円でハンマープライス。落札者は「サトノ」の冠名でお馴染みの里見治氏。1歳馬セクション最初のミリオンホース誕生に会場内には拍手が沸き起こった。
落札した里見氏は「今日の中でも、僕の中では一番注目していました。2億はいくんじゃないかと思っていましたよ。(ダービーは惜しかったですねの問いに)そうですね。馬運があまりないからね(苦笑)」とコメント。

シャムロッカーの2015

最初のミリオンホースとなったシャムロッカーの2015


この後もミリオンホースがコンスタントに登場。71番ギャビーズゴールデンギャルの2015(牡1、父ディープインパクト)は全兄のラディアンスウェイが社台サラブレッドクラブにて8000万円で募集されているように社台ファーム期待の血統馬。この馬は「ダイワ」の冠名の大城敬三氏が1億1500万円で落札。代理人の増沢末夫氏は「やっぱり活躍しているディープの子だからね。ダービーを勝てるような馬を狙いたいよ」と話した。

81番のトップライナーⅡの2015(牝1、父ディープインパクト)は半姉のスタービリングが北米で芝マイルG1勝ちを挙げるなどの活躍。セリは4000万円からのスタート。次々に声がかかり、お台は1億円を突破。落札したのは1億2500万円でチャールズ・フィプケ氏。同氏はオーストラリアの大馬主で、日本の生産馬を購入するのはこれが初めて。

フィプケ氏は「一番買いたいと思っていた馬なので、すごく幸せです。今後は決めていませんが、日本の馬主資格をとることも考えたいですし、もちろんどの国でも走れる素晴らしい馬。未定ではありますが、日本で走らせられるよう前向きに考えたいですね」と笑顔でインタビューに答えてくれた。

99番、シャンパンドーロの2015(牡1、父ディープインパクト)は半兄フォギーナイト(牡2、父タピット)が昨年のこの1歳馬市場にて2億3000万円で落札されたが、この馬は兄を上回る2億3500万円で(株)キーファーズが落札した。ついに2億円オーバーが登場し、場内がざわめく。

オーサムフェザーの2015

1日目の最高価格2億6000万円で落札されたオーサムフェザーの2015


107番、オーサムフェザーの2015(牡1、父ディープインパクト)は母がBCジュベナイルフィリーズを制するなど、北米で10勝を挙げた名牝。8000万円からスタートしたセリは2億円を超えても声が上がり続ける。会場はどよめきに包まれ、最終的に2億6000万円でKTレーシングが落札。期待せざるをえない超良血に、これ以上ないといえるほどの評価がついた。
KTレーシングの関係者は「うちのマネージャーがノーザンファームさんに何度も通ってこれがいいと薦めてくれた馬です。僕も昨日の雨の中見てきたのですが、輝いて見えました。狙うところは日本ダービーですね。東京馬主協会に所属しているので頑張って表彰されたいです」と2年後のダービーに向けての夢を語ってくれた。

156番、ドバイマジェスティの2015(牡1、父ディープインパクト)は、母がBCフィリー&メアスプリントを制したスプリント女王で、ひとつ上の全兄、アルアイン(牡2、栗東・池江寿厩舎)がサンデーサラブレッドクラブにて1億円で募集されているノーザンファームきっての期待馬。この1歳馬セッションでも中心核になる存在の同馬は2億2000万円で(株)ダノックスが落札。

そして1歳セッション最後の上場馬、248番ミッキーパールの2015 (牡1、ハーツクライ)が鑑定台に登る。近親に天皇賞馬トーセンジョーダン、京都新聞杯を制し現種牡馬のトーセンホマレボシがいる血統馬。一声4000万円でスタートし、次々に声がかかりあっという間にお台はスタート時の倍の8000万をオーバー。そのまま値は上がり続け、最終的に1億1000万円でハンマープライス。落札者は「タイセイ」の冠名の田中成奉氏だった。最後の上場馬がミリオンホースということで、会場内はこの日一番の大きな拍手に包まれ、一日目のセッションが終了した。

ミッキーパールの2015

最後も億超えで締めたミッキーパールの2015


一日目、1歳馬のセッションは牡牝合わせて247頭上場されうち217頭が落札。売却率は87.9%を記録し、これまでの最高記録だった昨年の88.2%とほぼ遜色ない数字を計測。昨年より9頭多い上場頭数であったことも考えれば、昨年以上の売却率といっても過言ではない非常に高い売却率をマークした。落札総額は81億3060万円で、これもレコードだった昨年の71億円を大きく上回る空前の記録となった。平均価格も昨年の3380万円から3740万円と伸ばしてきており、今年がいかに購買率が高かったのかが窺い知れる。

特筆すべきはディープインパクト産駒で、20頭上場され全てが落札されるというまさに「ディープ旋風」。最高落札価格は2億6000万円、平均価格も1億1400万円と非常に高い金額で落札され、世界で活躍した名牝との間の産駒に人気が集中した格好となった。

吉田勝己

1歳セッション過去最高の結果に吉田勝己氏も思わず笑みがこぼれる


この1歳セッションを振り返って、日本競走馬協会理事でノーザンファーム代表の吉田勝己氏は「経済状況が良くないと言われている中、多くの方にセリに参加していただき、こういった結果になりました。お客様に感謝以外の何者でもないですね」とコメント。
昨年を大きく上回る落札総額81億3060万円、売却率が87%超、1億円超えが最多記録の14頭、うち11頭がディープインパクト産駒ということについて「すごいとしか言いようが無いです。(笑)売却率はノーザンファームに関して言えばほぼ100%で、新規の方、外国の方も増えてハイレベルなセリでした。
ディープ産駒以外も結構高く付きましたけどね。庭先などは一切やってませんから、本当に皆さんこのセリを楽しみにしていらっしゃるみたいです。世界一だと思いますよ、こんなセリは」とセレクトセールが世界トップクラスの市場に成長したことについて話してくれた。この1歳セッションで取引された馬たちがデビューするのは早くて約一年後。ターフでの走りが今から楽しみだ。