平林雅芳の目

トピックス

日曜阪神11R
ジャパンカップダート(GⅠ)
ダート1800m
勝ちタイム1:49.2

勝ち馬カネヒキリ(牡6、栗東・角居厩舎)

■・・・最高の位置で最大に能力を出したルメールのカネヒキリ勝利。

パドックに馬が入場してきた時に、その入り口でトレンチコートを着た金子オーナーが愛馬を待っていた。
自分の馬の状態をしっかりと観たかったようだ。
そして周回が進んで、パドック真ん中へも一番先に入っていったのが金子オーナーであった。
凄く気合が入っているなと拝見していた。
15頭の馬がパドックを廻っていても、その輪の大外を廻るのがヴァーミリアンカネヒキリの2頭。
完歩が違う感じで、前の馬との差が近づきすぎてしまうからわざと外々を廻っているかのようである。
やはり馬体の幅が広い、ガッチリした馬が多いダートのGⅠ競走だ。
ヴァーミリアンサクセスブロッケンも同じぐらいの馬体重なのだが、後のサクセスブロッケンの方が脚も長く背も高いようで、前をいくヴァーミリアンはプラス体重にもかかわらずスッキリと見えるぐらい。毛艶もよく本当にいい体調だ。
周回している中で、②のフロストジャイアントがちょっと入れ込み、うるさい感じだった。

ヴァーミリアンはいいスタートを切った。
その内のメイショウトウコンはあまり良くないようで、一番最後のスターティングポジションのようである。
サクセスブロッケンも出脚をつけて行ったせいで、丁度ヴァーミリアンの前を横切る感じとなり自然に下げる感じとなった様子だ。
1コーナーでは出ていったティンカップチャリスの内へサクセスブロッケンが入り、先頭グループを形成した。
そのちょっと後の4、5番手にカネヒキリ
中団に位置したヴァーミリアンだったが、その内にいたフロストジャイアントが外へ出てきてヴァーミリアンと接触しているのが見える。
2コーナーでもまた同じように接触して、岩田Jが手綱を抑えて態勢を確保するのが見える。
ここらでのラップは13.1と一番遅くなっているところでもあった。
前から随分後の位置となっているヴァーミリアン
しかしメイショウトウコンはもっと後に位置していた。

向こう正面に入って、横山典Jが辛抱たまらず出ていった。
フリオーソも前にいるが、カネヒキリが内目の最高の位置にいた。
そして3角手前あたりから、後方にいたヴァーミリアンが行進を開始した。
時を同じくして、メイショウトウコンも上がっていく。
4角手前では、前のグループに後から追い上げてきた馬でかなり横一戦になってきている。
内目で待っていたカネヒキリは、直線に入って難なく前の馬の間を抜いて瞬時に先頭に踊り出た。
ヴァーミリアンメイショウトウコンが併せ馬で追い上げてきて、ゴールを目指すカネヒキリに迫って3頭の勝負に絞られた。
真ん中にいるヴァーミリアンの伸びが一番良くなく、外メイショウトウコンが一番勢いがある。
交しそうな脚色ではあったが、ゴールでは頭差届かず。
そして首差の3着にヴァーミリアンであった。

ルメールJが、『勝った~?』と枠馬で待つ角居厩舎のスタッフ酒井助手と担当の高田助手に問いかけながら近づいた。
でもその前に二人が抱き合って喜んでいたのを観ていただけに、勝利は確信していたはずである。
私はヴァーミリアン久保助手のそばに駆けつけた。
何も言えないムードであるが、当然にアメリカ馬にぶつけられたのは観て知っていた。
静かにそこを離れて、遠くから見守ってからパトロールフィルムを観に中へと入った。
何度観てもヴァーミリアンは2度の不利があった。
カネヒキリは最高の競馬。 いいポジションで内々で競馬が出来ているし、肝心の4角もズッと前が開いて何もロスなく競馬出来ている。
惜しいのはメイショウトウコンであった。
あれだけの脚を使っての伸びてきている。
今週も外国の単騎免許で来日しているジョッキーの勝利であった。
『本当にいい仕事をしますね』と思ったが、暮れの東京大賞典でのヴァーミリアンの勝利を信じて、今回の観戦記を締めくくります。