インカンテーション、昨年のハナ差負けの無念を晴らす勝利!!

インカンテーション

14年11月9日(日)5回京都2日目11R 第5回みやこS(G3)(ダ1800m)

インカンテーション
(牡4、栗東・羽月厩舎)
父:シニスターミニスター
母:オリジナルスピン
母父:Machiavellian

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夜半の雨はけっこう降っていたと思う。一夜明けても、朝から小雨っぽい京都競馬場。だが、芝、ダートとも朝からずーっと発表は良馬場を替えるつもりはない様子。そのうちに替わると思っている間に、メインまで来た。
スタンド前からのゲート。先手を取って行くサトノプリンシパルクリノスターオーもすぐに2番手と、思惑どおりのポジションを取る。淡々とした流れで進み、3角までは動きはそうなかった。先に動いたのがナムラビクター。4角手前では、3番手の外めから先行した2頭を被せる様に上がって行く。クリノスターオーは、そこからもたついてしまう。ナムラビクターが先頭に立ったが、それもゴールまであと少しのところで、インカンテーションとランウェイワルツの2頭に交されてしまう。中団より後ろでレースをしていたインカンテーションと、内で脚を貯めていたランウェイワルツの差しが決まった。


2階の一般席で、ゴールまで見届ける。クリノスターオーは、最後にイッシンドウタイにまで差されての5着だった。検量室のところへ急いで駆けつける。ちょうど、イッシンドウタイの伊藤圭師に出くわしたので声をかける。『エエ、寒くなってくると走ってくれるんです』だそうだ。その後に検量室の中から大野Jが出てくる。《おめでとう。流れはゆったりじゃなかったの…?》と声をかける。それに大野Jは『いいえ~、最初はけっこう流れてましたよ…』であった。
後で調べると、最初の2ハロンは11.9~11.1。その次からが落として13.2。先手を取ったサトノプリンシパルの鞍上武豊Jが造ったペースである。

スタートから見てみる。クリノスターオーが押して押して前へ出てきたが、外からサトノプリンシパルがダッシュつけて行く。内をチラと見て武豊Jが促して先頭に立ったのは、1角を廻る時だったか。2角で1馬身の逃げ。3番手に最内のブライトラインがやや掛かり気味の感じで来ている。外にアスカノロマン。すぐ後をニホンピロアワーズが続き、後ろにランウェイワルツ。外にナムラビクターが、さらにその後ろにインカンテーションがいた。向こう正面に入るとゆったりした流れに掛かったのか、ルメールJグラッツィアがグーンと上がっていった。

その動きを機に、クリノスターオーが前との差を詰めていく。3角を廻って一気にペースが上がる。ナムラビクターも進出を開始。前の馬を捕えにかかる。4角ではサトノプリンシパルにクリノスターオー、アスカノロマン、グラッツィアの4頭のさらに外へ、ナムラビクターが並びかけて行く。
カーブに入って、アスカノロマンとグラッツィアが遅れだす。グラッツィアの外をインカンテーションが一気に上がって前に出てきた。

ラスト200mで、真中のクリノスターオーが遅れだす。内のサトノプリンシパルがまだ粘っていたが、ナムラビクターが前へと出た。だがインカンテーションの脚色が良すぎる。すぐ後ろをランウェイワルツが迫っていく。インカンテーションが体ひとつ前に出た。ランウェイワルツがグングンと脚を伸ばしてナムラビクターと馬体を併せてゴールとなった。
頭の差だけ、ランウェイワルツが先に出た。クリノスターオーはゴール寸前で、イッシンドウタイにも差されて5着。サトノプリンシパルがその次だった。

ニホンピロアワーズは7着。やはり帝王賞以来の実戦と言うのが、響いたのかも知れない。前の3頭が接戦。その後の3頭がやはり接戦だったが、前からは離された。ゆったりとしたペースで先行したはずの前2頭だったが、楽なのは追走していた馬も同じ。結局は十分に脚を貯めた決め脚のある2頭が先に来たと言う図式である。
ナムラビクターは自分から出て行っての3着。気性面に難しさのある馬で仕方ないのかも知れない。

このメンバーに盛岡でのJBC・クラシックの面々が入って、12月7日の中京のチャンピオンズCで激突となる。もっとすさまじい競馬になるはずである。まだまだ続くダート王者決定戦は、見どころ十分なレースになりそう…だ。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。