ドバイワールドカップ直前情報2[和田栄司コラム]

ドバイワールドカップナイトに2レース組まれる総賞金600万ドルの芝の競走、まずG1ドバイシーマクラシック(芝2410m)はゴドルフィンのスカイハンターが回避して9頭立ての見込み。アンチポストをリードして来たのは日本のハープスター(牝4歳/父ディープインパクト)、もう1頭の日本ダービー馬ワンアンドオンリー(牡4歳/父ハーツクライ)は人気がない。ハープスターにはライアン・ムーア騎手、ワンアンドオンリーにはクリスチャン・デムーロ騎手が騎乗する。

2番人気は凱旋門賞2着/BCターフ2着の後、香港ヴァーズで2つ目のG1勝ちを飾った仏国フリントシャー(牡5歳/父ダンシリ)、仏国からはヴェルメイユ賞3着/凱旋門賞5着のドルニヤ(牝4歳/父アザムール)が参戦、2頭は3日シャンティイ競馬場のポリトラック馬場で行なわれたコンディション競走に出走、ドルニヤ1着/フリントシャー2着、その差は短首だった。フリントシャーにはマキシム・ギュイヨン騎手、ドルニヤにはクリストフ・スミヨン騎手が騎乗する。

3番人気は香港の年度代表馬デザインズオンローム(セン5歳/父ホーリーローマンエンペラー)、QE2C、香港カップ、香港ゴールドカップ、3つの国際G1を勝ち、目下重賞3連勝中。2歳時に経験した久々の左廻り、レギュラーライダーのジョアン・モレイラ騎手の手綱捌きも注目である。4番人気は米国メインシークエンス(セン6歳/父アルデバラン)。G1・4連勝でBCターフを勝ち、今季も2月21日のG2マックダイアミダSを勝ち、これで米国移籍後無傷の5連勝。ラジーヴ・マラージ騎乗。

英国から参戦するのは愛1000ギニーとEPテイラーSを勝ったジャストザジャッジ(牝5歳/父ロウマン)、BCフィリー&メアターフ3着以来の出走、アンドレア・アツィニ騎手が決まった。カーニバル組は前哨戦を制したスカイハンターの離脱で、同2着シェイクザイアードロード(セン6歳/父ドバウィ)が大将格、G1ノーザンダンサーターフS勝馬でマーティン・レーン騎手が騎乗する。

もう1頭はゴドルフィンのトゥルーストーリー(セン4歳/父マンデューロ)、前哨戦の4着馬でジェームズ・ドイル騎手が乗る。先行馬不在のレースだけに、トゥルーストーリーが馬群をリードすると思われる。ムーア騎手に乗り替わったハープスターは最後方からの競馬になるだろう。インを狙っての直線勝負、果たして馬が応えられるだろうか。どうしてもヨーイドンの競馬になるだけに決め手鋭いメインシークエンスの差しを狙う。フリントシャーの安定感が連軸だろう。

ドバイデューティーフリーは今年からドバイターフ(芝1800m)に名称が変わった。こちらは10頭立ての見込み。英国ザグレイギャッツビー(牡4歳/父マスタークラフツマン)が出走して来る。愛チャンピオンSでオーストラリアをクビ差下して以来である。ライアン・ムーア騎手とのお馴染みのコンビで、仏ダービー馬のリフレッシュした姿に注目が集まる。

英国からは他に2頭。ユーロシャーリーン(牝4歳/マイボーイチャーリー)は8月に米国に遠征してG1ビヴァリーDSを勝って以来のレースになる。ジョアン・モレイラ騎手に騎乗を依頼した。ベテランのトレードストーム(牡7歳/父トレードフェア)は昨年カナダに遠征してG1ウッドバインマイルを勝った。こちらはアンドレア・アツィニ騎手が乗る。

仏国からは2頭が参戦。クラドゼラ(牝4歳/父オアシスドリーム)はカーニバルを使い、ケープヴァーディとバランチーン、G2を連勝した。クリストフ・スミヨン騎手が乗る。ソロー(セン5歳/父シングスピール)はG2ダニエルヴィルデンシュタイン賞勝馬、3日シャンティイ競馬場のポリトラック馬場で行なわれたコンディション競走を4馬身差で快勝して目下4連勝、マキシム・ギュイヨン騎手が乗る。

米国からはムシャウィッシュ(牡5歳/父メダーリアドーロ)が参戦する。ステークス3連勝で2月にG1ガルフストリームパークターフHを勝った。カタールのアルシャカブレーシングの馬、フランキー・デットーリ騎乗。南アフリカのアンギヨ(セン4歳/父デインヒルダンサー)はカーニバルを使い、2000mの準重賞ドバイミレニアムSでは強いハンターズライトの1馬身4分の3差まで迫った。ジョニー・ジェローディス騎手。

UAEは3頭。ファラージ(セン6歳/父ドバイデスティネーション)はG3ウインターダービー勝馬で、香港カップ6着以来のレースとなる。オイシン・マーフィー騎乗。G3トーマスブライアン賞勝馬アーンショー(牡4歳/父メダーリアドーロ)は、カーニバル中G2ザビールマイルを使って3着、ミカエル・バルザローナ騎乗。リマリオ(牡5歳/父アレイオン)は移籍前独国でG3を2勝した。カーニバルは3戦してハンデ戦のみの1勝、パトリック・ドブス騎手が乗る。


海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。