ゴールドシップ、阪神大賞典を前人未到の3連覇達成!!

ゴールドシップ

15年3月22日(日)1回阪神8日目11R 第63回阪神大賞典(G2)(芝3000m)

ゴールドシップ
(牡6、栗東・須貝厩舎)
父:ステイゴールド
母:ポイントフラッグ
母父:メジロマックイーン

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実におちついた感じでパドックを周回するゴールドシップ。いつもとは違う雰囲気さえもある。こんなゴールドシップをあまり見た事がないとさえ思えた。
レースの流れもこの距離としては流れた方で、2周目の向こう正面からスーッと上がって行けた。3角で3番手で4角では早めに前を捕えに行く。前半は同じ様な位置で進めていたデニムアンドルビーが、ゴールドシップが動いた後を追う様に上がって行く。直線では先に抜け出て、内ラチ沿いのゴールドシップを一旦は交して前に出た様にも見えたデニムアンドルビーだったがもう一度、伸びを加えたゴールドシップの底力に屈しはした。しかし内容のある2着だった。2番人気のラストインパクトが3着。ラブリーデイは6着と、いまひとつ伸びあぐねた。


私を始めとする大方のレースの読みは、メイショウカドマツが逃げてスズカデヴィアスが2番手。メイショウカドマツも、武豊Jにしてはめずらしく離し逃げをうつのではないかとの見方さえもあった。ところが、蓋を開けるとスズカデヴィアスが意外と思える程に先手を主張して行った。武豊Jも自分が行く気を出せば相手が控えるだろうとダッシュを利かせる。しかし譲らない、競り合いは避けて控えたのは、外のメイショウカドマツの方だった。それが2Fめの10.5である。その2頭で少し離していたが、1周めのスタンド前に来た時は、ペースダウンをしたせいで後続との差がほとんどなくなっていく。内へ入れて息を入れたいメイショウカドマツだが、むしろ馬が掛かり気味というか、前に馬がいると行く気になっていた様で、外へ出さざるを得ない。
長丁場で前の馬がいい仕事をする時は、2頭で後続を離して届かない位置にいてしまう事だ。それがまったく逆に、後続馬がすぐ後ろを走る流れとなっていく。2角を廻っていく時には、馬群はそう縦長にはなっていなかった。

向こう正面に入るまでに、ゴールドシップが動き出した。スルスルと前に出て行き、メイショウカドマツのすぐ後ろまで位置を上げる。それまで同じぐらいか少しだけ後ろにいたデニムアンドルビーとの間隔が開いた。
馬群は3角を過ぎて行く。ブービーでマイペースで行っていたラストインパクトも、外へ出して前へと進出しはじめた。4角へ向かうあたりでは1頭、サイモントルナーレをのぞいてほとんど差がない程。
そして最後のカーブを廻る時には、ゴールドシップが岩田Jに促されて勝負とばかり出て行った。その後を追う様にデニムアンドルビーも続く。

直線に入ってきて前に出たゴールドシップは、内ラチ沿いへと入って行く。ここらあたりではラブリーデイもまだ圏内にいた。
ラスト200m、岩田Jが左ステッキで追い出す。デニムアンドルビーもへばりついて行く。一旦、デニムアンドルビーの方が勢いがいいのではという瞬間もあったが、さすがにゴールドシップ、ジワジワっと差を広げだす。スズカデヴィアスの後ろでカレンミロティックが少し開いたのだろう、ラチ沿いを狙う。しかしまた狭くなった様で、あきらめて外へ出す。ラブリーデイの外へ出して再び追い出した時には、もうすでに大勢は決まっていた。惜しい4着となった。

ゴールドシップは、常に馬場入りではイロイロやった馬だった。それをスッカリ忘れていた。パドックから先に出て、いち早く馬場入りをしてしまっていた。気がつけば2コーナーのポケットに白い馬体の馬がいた。おそらくパドックの雰囲気だったら、今日は大人しく入ったに違いないと推測する。あの乗っている者を馬鹿にした様な仕草はしなかったのではなかろうか。実戦でも一旦並ばれそうになったものをもう一度、脚を使って伸びていくゴールドシップなんてそうそう見れるものでもない。

これで阪神は6勝目。長い歴史の阪神大賞典であるが、連覇は自身も含めてけっこういるのだが、初めての3連覇の偉業を達成したのである。この後、天皇賞を使うのか、得意の阪神で宝塚記念へと向かうのかであろう…。

火曜の朝、監視小屋にて須貝師と会話が出来た。《あそこでは負けられないでしょう》と振り返る。そして今回の勝利で12勝目を挙げた。過去にあまりいないのではないかと思って須貝師にその質問をぶつけてみると、《テイエムオペラオーがいるからね…》であった。すぐ様、アイパッドで調べてみる。14勝を挙げて18億円を稼いでいる。《勝ち鞍では並べるかも知れないが、賞金はあのバブルの頃の賞金体制だから無理》とちゃんと調べてあった。さすがである。

そして《けっこう頑張ったから、この後は宝塚記念へ行くかも知れない》と言葉を濁す。やはり“天皇賞はパスする可能性が大では”の読みどおりになりそう…だ。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。