出遅れも何のその、ノンコノユメが綺麗に差し切り重賞初制覇!

ノンコノユメ

15年6月21日(日)3回東京6日目11R 第20回ユニコーンS(G3)(ダ1600m)

ノンコノユメ
(牡3、美浦・加藤征厩舎)
父:トワイニング
母:ノンコ
母父:アグネスタキオン

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ドバイへ遠征して、UAEダービーで3着。離された3着ながら、世界でも十分に通用の手応えのゴールデンバローズ。遠征の疲れさえなければ、国内無敗であろうの支持を受けた。雨があがったが、時計の速い決着。中団の前ぐらいの外目をいい感じで追走のゴールデンバローズ。直線でもラスト300ぐらいから伸びて来るのだろうと誰しもが思っていたのだが、まったくギアが上がらない。むしろその外から1頭だけ桁違いの脚の馬、ノンコノユメが伸びて行く。出が悪く後ろからの競馬。前は行った馬がほとんどが終いをなくしているのに、1頭だけ粘りに粘るノボバカラ。あと少しで栄光のゴールかというあたりから、グイグイと来たノンコノユメに2馬身半の差をつけられた…。


何と言う結末になるのであろうか。1.5倍と圧倒的人気のゴールデンバローズが、まったく伸びる気配がない。前との差がいっこうに縮まらない直線のラスト2F。そんなゴールデンバローズを、誰も観た事がなかった。遠征での疲れがあったのだろうか?パドックでの映像を見るかぎりでは、まったくそんな懸念は感じられなかった。そうだったと思う、いや、判らない。正直、そんな風には思ってもいなかったはず。信じると言うか、遠征前のあの強さしか頭に入っていない。
それが見事に裏切られてしまう、これが競馬なのである。競馬はナマもの。まして梅雨時、気をつけねばならなかった…。

最初はピンストライプが、2F過ぎには雁行気味だったブチコが前へと出ていき、ノボバカラが3番手と控える。内からラインルーフダノングッド。そこから3馬身ぐらい遅れてと、ゴールデンバローズの位置こそ絶好と思えた。ノンコノユメはいつもどおりの出で、ブービー。後ろにはスタートで躓いたのか、出が悪かったアキトクレッセントだけ。
3角を過ぎて、ノボバカラが前との差を詰めて、前の3頭が半馬身ずつぐらいの等間隔。後ろのミッキーシーガルダノングッドが、追ったりして手応えは悪い。
直線に入ってきて、前の3頭が横並びだが、外のノボバカラの手応えがやけにいい。後ろとは3馬身ぐらい離してラスト400を過ぎる。

ゴールデンバローズが、2番手グループの一番前に出てこようとしているが、戸崎Jの右ステッキが入っている。前との差がなかなか縮まらない。前はブチコが粘っているが、外のノボバカラがラストスパートに入った。
ゴールデンバローズよりもアルタイルの伸びが優って、前へと出る。しかしノンコノユメの脚色がいい。ノボバカラが先頭で逃げこまんとするが、ノンコノユメの伸び脚が桁が違う。ルメールJの右ステッキに呼応して、あっと言う間に抜き去った。アルタイルが3着だが、ゴールデンバローズがまるで目がやっと覚めたかの様に急に伸び脚が良くなっていくが、時すでに遅しであった。

ノンコノユメの使った脚は上がりの3Fで35.5と、芝並みの数字である。東京コースにマイル戦もいいのだろう。ゴールデンバローズがまともに力を発揮できていたとしても、今日のノンコノユメには敵わなかったのではなかろうか。
堀厩舎の連続勝利の新記録はならなかった。ルメールJは、これでJRAジョッキーとなってから重賞2勝目。ノンコノユメは、まだまだ秋に楽しみの持てる馬となるだろう。ここは関東馬が上位を占めました。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。