絶好の3番手からひと伸び!ソルヴェイグが桜花賞へ

ソルヴェイグ

16年3月13日(日)1回阪神6日目11R 第50回フィリーズレビュー(G3)(芝1400m)

ソルヴェイグ
(牝3、栗東・鮫島厩舎)
父:ダイワメジャー
母:アスドゥクール
母父:ジャングルポケット

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キャンディバローズが先手を取って軽快に逃げる。2番手に初芝のソーディヴァイン。その3番手のインでレースを進めたソルヴェイグ。直線でキャンディバローズをアッサリと交わして逃げ込む。急に脚色が乱れたキャンディバローズをゴール前でキッチリと交わしたのが、1番人気のアットザシーサイド。外へ膨れながらもいい脚を使ったダイアナヘイローが4着。ソーディヴァインが粘りこんで5着。ナタリーバローズは外々を廻ったのが応えたか、最後までいい脚を使わずにレースを終えた…。


朝から風があって実に寒い。それでも大事なパドック。じっくりと腰をおちつけ見続ける。第一印象をメモする。牝馬だけに体のラインが大事。線が細いとか目立つポイントを書き込む。
まずクードラパン。いまさらなんだろうが、尻尾の長さが気になる。昔にもやはり尻尾が極端に短い馬がいたが、その馬は強烈な差しを武器にして走ったが…。だが総じて走っていない傾向だと思う。推進力である尻尾は、短いよりも普通がいい。馬そのものは悪くないが。
ダイアナヘイローがいい感じに見える。そして細く見えた馬を書き込む。ソルヴェイグ、《小さく》と。キャンディバローズも《小》と書く。全体が小さい馬なのだと思える。アットザシーサイドにも《細い》と書いた。
逆に目につく好馬体の馬がいる。調教師も担当さんと一緒に馬を引いている、西村師であり、ソーディヴァインだ。何度も眼の前を周回するたびに、馬体の良さが気になる。成績をみると、全部ダートでのもの。はたして初芝でやれるのかどうか。返し馬での最初の入りをジックリと見たいと思う。その返し馬は全馬を見れた。ソーディヴァインの走りは何ら問題ない。初芝ながら大仕事をしそうな予感がする。

トラックマン時代がけっこう長い。パドックで馬を見るのは好きである。そして穴馬を見つけて喜んだ事もあるし、逆に馬を見て止めてしまい予想が当たって、懐は相変わらず寒風が吹きすさんでいた。そして経験値で、細く映る馬が走る傾向にあるのを承知している。結局は素人の眼。本当が判っていないのだと。ただ返し馬でよく見える馬の方が、実戦に結びつく事が多い。返し馬の入りで硬い歩様をした馬はあまり来ないのを、最近になって特に感じている。パトックもいいが、より返し馬を見るのを勧める。

キャンターで悪い馬はいなかった。キャンディバローズがけっこういい感じで走っていった。キャンディバローズとソーディヴァインがいい。もし馬券を買うのなら、この2頭の馬単の折り返しと総流しかと眺めていた。
スタートからすっと先手を取っていったのがキャンディバローズ。無理せず後ろを1馬身、1馬身半と広げていくが、流れはゆったりだ。その2番手にソーディヴァイン。自分の見立ててのまま進んでいく。

4角まで誰にも絡まれずに楽に行けたキャンディバローズ。4角も小さく廻り、いい感じで直線へ入ってきた。2番手のソーディヴァインの内のソルヴェイグが、ここが勝負処とばかり押して押して前へと出始める。まだキャンディバローズのリードが1馬身。
ラスト200を過ぎて、ソルヴェイグがどんどんと迫っていく。ついに抵抗するキャンディバローズを交わしてソルヴェイグが先頭になる。馬群の中から進路を確保したアットザシーサイドがいい伸び脚。キャンディバローズと並んでゴールに入ったが、勢いからも優って見えていた。

PVを眺めているとゴールまでラスト1ハロンで弾ける様に伸びてきている馬がいた。ダイアナヘイローだ。右ステッキで追う度に、外へ外へと流れていっている。それでも4着に来ていた。まっすぐ走っていたら3着とは着差からもそうは思えないが、際どい処まであったかも知れない。パドックで悪くないと思った馬である。よかったと思った馬が4、5着。パドックで《小さい、細い》とチェックした馬ばかりが1,2,3着を占めた。素人の馬を見る眼はこんなものなんである…。
勝ったソルヴェイグは、新馬を勝った後の昇級戦で3着続き、特に2走前はメイショウシャチの3着だったのをこの眼で見てもいる。前走は道悪だったのだろうか。それにしてもそう派手な成績ではない。今日がもちろん重賞初挑戦での金星。晴れて桜花賞へだ。

35.0で逃げたキャンディバローズ。レースの上りが34秒9であるから、ほとんどイーブンペースである。そこで粘りきれなかったキャンディバローズ。前走の阪神JFといい、阪神の坂が応えたのかも知れない。兄弟馬の活躍からも、1200の方がいいのかも。ナタリーバローズは2ハロンも行かないあたりで内にいたクードラパンと2度ほど接触をしている。その後に掛り気味になっていたし、外々を廻るには流れが辛すぎたか。メイショウスイヅキも内で脚を貯める事も出来ず。枠順に流れが大きく影響もしている。
これで上位3頭が桜花賞へと駒を進める。メジャーエンブレムという大きな花が立ちはだかる今年。脅かすまでに行くかどうか…だろう。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。