まずはクロフネ産駒レッドラシーマが、今年の初陣を飾る

■

16年6/4(土)3回阪神1日目5R 2歳新馬(芝1600m)

レッドラシーマ
(牡2、栗東・平田厩舎)
父:クロフネ
母:アドマイヤリッチ
母父:サンデーサイレンス

2歳新馬の結果・払戻金はコチラ⇒

《ダービーからダービーへ》としきりに場内のアナウンスが言う。ダービーが終わったが、来年のダービーへの旅が始まったと言いたいのだろう。だがここからはそんな大物は出まい。全体に小粒な馬が多いパドック風景。当然に幼い気性の馬ばかり。タガノアヌビスであり、スズカマイゲストは競馬に参加もできないまま終わった。
勝ったのは昨年も新馬の勝率でかなりのアベレージを残した福永Jのレッドラシーマ。姉にレッドオリヴィアと、堅実に稼ぐ血統だ。1番人気のサトノホルスとの追い合いを制して、まずは今年の新馬勝ちの一番乗りを果たした。

新種牡馬ルーラーシップ産駒のスズカマイゲスト。やや胴が詰まった感じの馬体。ディープブリランテの子供のナムラボンドは小柄な牡馬だ。パドックからうるさいタガノアヌビス、馬場入りしても、やんちゃぶりはますますとなる。そして先手を取ったまではいいが、外へと逃げ気味の道中だった。

ゲートが開いた瞬間に、2番人気の支持のスズカマイゲストが遅れた。PVで見てもゲートの出では遅れてはいないが、ダッシュが鈍いしハミをとらない。鞍上の戸崎Jがステッキを入れるが、反応しない感じのまま。スタートから大きなハンデとなった2歳馬。結局は最後方の追走となって、最後のさいごまでガツンと来ずの一度もギアが上がらないままのデビュー戦となってしまった。
競馬はやってみないと判らない面はあるが、なかなかデビュー戦でこんな事は見たことがない。そこが2歳馬、若駒の難しさなんであろうか。

タガノアヌビスが体を外へと曲げながらも4角まで先頭で来ていたが、サトノホルスとレッドラシーマが、外で蓋をしてあげていた。直線に入ったらあっと言う間に脱落。戦いはその2頭に絞られた。1発ステッキが入ったレッドラシーマが、そのまま伸びて勝ち、2着は何とかメルヴィンカズマの追撃を凌いだサトノホルスが粘った。
レースの上り800mが46.4で600mが33.9。前半の1000mが1.03.1で進むスローな流れだからこの数字だが、そんなに切れ切れの印象ではない。あまりにも若い気性の馬ばかりで、上位に来た馬はその中でもしっかりと走れていた馬ばかり。もうひとつインパクトに欠ける新馬戦だったと感じた。

面白いのは、厩舎の取り組み方の違いだ。厩舎によって2歳馬をどの時点で入れてきて調教を積んでいけるかの差があるのは当然。レッドラシーマの平田厩舎は、この1頭だけが現在での登録であり、入厩済みの馬だ。須貝厩舎は逆に15頭のゼッケン登録がある。入厩していない馬もいよう。そしてバンバンと追い切っている馬も多いのも事実で、続々とデビューしてくるものと思える。
そんな好対照の厩舎の対決となった今回、今年の2歳戦の最初のレースだった。2歳戦はこれからどんどんと活発化していく。レベルもまだまだこんなものではないだろうと思える。まずは今年最初のメイク・デビュー新馬戦でありました。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。