マスクゾロが重賞チャレンジ2戦目で初制覇!

マスクゾロ

16年10/1(土)4回阪神7日目11R 第20回シリウスS(G3)(ダ2000m)

  • マスクゾロ
  • (牡5、栗東・岡田厩舎)
  • 父:Roman Ruler
  • 母:Saravati
  • 母父:Giant’s Causeway

シリウスSの結果・払戻金はコチラ⇒

1番人気に支持された新鋭のマスクゾロ。最内枠から先手を取ってマイペースの逃げ。12秒台の後半になったのは2コーナー過ぎぐらいで、後はすべて12秒台の前半のラップ。それでいて、上がりの2ハロンも11.8~12.5と渋い脚を使って、クビ差凌いでの重賞初制覇を成し遂げた。
惜しかったのがピオネロ。ダートに転戦して2連勝で臨んだ今回。2番手につける積極的な競馬。惜しむらくは、直線のゴール少し手前で前を行くマスクゾロが外へ寄ってきてやや窮屈になった。そしてトップハンデのアポロケンタッキーが、頭差まで迫る渋太さで3着。前に行った3頭の決着であった。

レースを振り返ろう。『凱旋門賞初売記念』の副題がついた第20回のシリウスSである。スタートは4コーナーの芝コースからのスタート。芝の上からの発馬で、20mぐらい行ってからダートの4コーナーへと進む。もちろんスタートが鍵なのは言うまでもない。 やや外のミツバがダッシュが付かずで、すぐ内のメイショウイチオシと並んで後ろになる。内の2頭の出が良く、マスクゾロはこの枠順だけに、何とか前へ出ようの気持ちが表れていた。キョウエイギアもダッシュ良く、その外でダートコースに入っていく。
マスクゾロが先頭で、シンゼンレンジャーとキョウエイギアが2番手の形となる。ピオネロが前へと出てきて、内ラチの方へと馬首を向けていく。うまくシンゼンレンジャーの後ろまで行けて、内ラチまで到達する。最初のカーブへ、3番手の位置まで持っていけた。

2コーナーへと入る時のマスクゾロは一番後続に差をつけた時で、キョウエイギアと内に潜りこんだピオネロとの差が2馬身ぐらいとなる。その後がシンゼンレンジャーとアポロケンタッキーが並んで、最後方のカゼノコとミツバまでは10馬身ぐらいの縦長の隊列だ。そこからマスクゾロは少しペースを落としたのか、後続との差が縮まった。ピオネロが前との間隔がいっぺんになくなり、福永Jが手綱を少しだけ引くシーンがあった。ここで12.9のラップで、その後に少し後続がつついていき、また少し流れが速くなっていく。それでも1000mが通過が1.00.5だから、このクラスではかなりユッタリの流れである。後ろでは、ミツバがカゼノコの前に出ていった。

3コーナーでは、後続に1馬身半ぐらいの差をつけて先頭のマスクゾロ。後ろの2頭が、ほとんど並ぶキョウエイギアとピオネロ。シンゼンレンジャーの外にいたアポロケンタッキーが前へと出ていく。4コーナーが近づくとペースが上がりだす。後続馬も前との差を縮めていく。4コーナー手前では、最後方のカゼノコが前を行くトウシンイーグルとの差がなくなり詰まり気味となって、ガクンと躓いてしまっていた。
4コーナーのカーブは、マスクゾロ先頭ながら2番手にピオネロ、キョウエイギア、そしてアポロケンタッキーの3頭が横並びになる。2列目が3頭並ぶ勢いだが、前を行くマスクゾロは悠々と先頭をキープしていく。ラスト300mを過ぎるあたりで、2番手のピオネロが外へと出し気味になっていく。外ではアポロケンタッキーが単独の3番手に上がってきた。

ラスト200mでは、1馬身以上の差があったマスクゾロ。秋山Jが左ステッキで追っていく。今度は秋山Jのステッキが右手に渡り追っていく。その動作の中で、馬自身は内のオーロラビジョンでも見て驚いたのか物見をしてしまい、外へとヨレる。ピオネロがそこで一瞬だけ内から寄られるアクシデントが発生。そこからジワジワと伸びてクビ差まで迫ったピオネロの着差を見るかぎり、まともだったらどうなっていたのか。後は神のみぞ知ることであろうか。 マスクゾロは、重賞2度目の挑戦。昨年の春に武豊Jで条件戦を勝った後のアンタレスSにルメールJで臨んだ。5番人気の支持だったが、好位につける競馬から直線では物見をしてしまったと、当時のジョッキー談にあった。それから4戦。今年の春に再度、条件戦を卒業し、夏にはジュライSを逃げ切り勝ち。そしての今回である。

今回のレース後の談話でも、物見をしたとあった。秋山Jが10万円の罰金を課せられた。ラスト100mで外へヨレて、ピオネロの進路を妨げたと言うことであった。ダート戦では12戦7勝である。

火曜朝に岡田師に逢えた。父ローマンルーラーの産駒では、サウンドガガがいる。フサイチペガサスの血を繋ぐものである。祝福の言葉をかけて今後の見通しを訊くが、どうにも返事が冴えない。『走ってくると足元の心配も出てくるしね~』である。どうやら今後の青写真は未定の様である。
まずは重賞の初制覇をはたしたマスクゾロでした。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。