無傷の3連勝 牝馬ジューヌエコールが抜け出す!【平林雅芳の目】

ジューヌエコール

16年11/12(土)5回京都3日目11R 第51回デイリー杯2歳S(G2)(芝外1600m)

  • ジューヌエコール
  • (牝2、栗東・安田厩舎)
  • 父:クロフネ
  • 母:ルミナスポイント
  • 母父:アグネスタキオン

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逃げると思えたベルカプリ。しかしその先手を奪ったのはボンセルヴィーソで、ユッタリの流れを造る。2番手はそのままベルカプリが続く。前に壁が作れないサングレーザーが外でやや掛かり気味。
そんな流れの中で、ラチ沿いの2番手で何とか折り合えたジューヌエコールが、直線では前の2頭の馬の狭い間を抜けてきての勝利。これでデビュー以来の勝ち星を3つと伸ばした。 1番人気の支持となったタイセイスターリーは、坂の下りで外へもたれ気味と若さを出してしまい、直線での追い比べにも参加できないまま終わってしまった。

パドックで、ずーっと馬を見続けていた。番号の後ろの3頭がやや入れ込み気味だ。サングレーザーは想定内だったが、ベルカプリにサンライズソアがチャカつく。サンライズソアは、他の馬と離れて1頭だけかなり離れていたタイセイスターリーの後ろでソワソワしてばかり。10頭の半分の5頭が牝馬の勢力図。その牝馬2頭が連勝の2勝馬。後は1勝馬ばかりと、例年に比べてもやや小粒な感じだ。馬場入りする時も全体の印象は変わらない。ジューヌエコールは落ちついていたと思うし、ディーパワンサは夏以来で10キロ増だが、元々小柄な馬で気になる材料でない。うるさいながらも展開面で、ベルカプリに注目の気持ちでレースを待ち構えた。

ベルカプリが外から先手と思った。だが枠順の差で、内からボンセルヴィーソが出ていく。そこで敢えて先手を主張しなかった池添J。巧かったのは内から出て行っていったボンセルヴィーソの松山Jで、流れを全体に緩いものにして行く。ボンセルヴィーソだけが折り合って、後ろが我慢もやや掛かり気味となっていた。その中でも一番に我慢出来ていたのがジューヌエコールだった。何よりも2番手のベルカプリが一番我慢が利かなくなっていた感じで、4コーナーを廻る時は誰よりも先に鞍上の手が動きだしていた。1000mが1.00.5は、このクラスでかなり遅い流れ。4コーナーのカーブの手前から上がり勝負となっていく。

その前にタイセイスターリーが坂の下りでやや外へもたれ気味になっていたのを、後でPVで見た。あれでは辛い。そして直線へ入って来てもその流れは変わらずで、結局は一度も前の馬を呑み込む様な脚色にならずじまいで敗退した。
逃げたボンセルヴィーソが粘りに粘って勝とうかの勢いだったが、最後にジューヌエコールがクビ差捕らえてのゴール。サングレーザーは半馬身遅れての3着。ディーパワンサがクビ差届かずの4着でベルカプリも5着と、あの手応えで良く頑張っていた。

中京の1400で連勝のジューヌエコール。右廻りは元から心配もしてなかっただろうが、距離の1600をこの緩い流れの中で我慢して結果を出したのは収穫が大きかったに違いないと推測する。牝馬が勝ったことで、朝日杯2歳Sには進まないと思える。香港と同じ日の開催の阪神JFへと進むのではないか。
2着ボンセルヴィーソは、牡馬で賞金を加算して朝日杯2歳Sへと行くことだろう。サングレーザーは『2着は欲しかったな~』のとレース後の武豊Jのコメント。1勝馬での挑戦で抽選待ちとなる次走であろうか。

ちと小粒だった印象の今年のデイリー杯2歳組だと言い切ってしまっていいのだろうか。各馬の奮起を願いたい!


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。