アーモンドアイ、牝馬に敵なし！後ろを振り返るルメール騎手【平林雅芳の目】

2018/5/22(火) 

【天皇賞春】皐月賞は勝ち馬をズバリ推奨！騎手の腕が超重要な長距離G1で絶対に買う1頭

提供：アナタの知らない騎手の世界

18年5/20(日)2回東京10日目11R 第79回オークス(G1)(芝2400m)

• アーモンドアイ
• (牝3、美浦・国枝厩舎)
• 父：ロードカナロア
• 母：フサイチパンドラ
• 母父：サンデーサイレンス

終わってみれば世代で一番強い牝馬であった。桜花賞でその脚は見ていたが、距離が伸びてもまだその差を広げようとする能力。母のフサイチパンドラが勝てなかった桜花賞とオークスを見事に勝った名牝。この2馬身の差は、永遠と言っていい程の差。一方のラッキーライラック、最後は苦しくなって内へもたれながら差を詰めるが、リリーノーブルにも届かずの3着だった。オークスのレースレコードに0.2秒差。最後は流し気味だったので、更新もあったかも知れないと思わせるほどの強さだった。ルメール騎手は、39歳の誕生日を自らの力で祝福した…。

火曜朝にスタンドでルメール騎手のエージェント豊沢君と話をする。《強かったな～、敵なしだな～》と声をかけると、『いや～、うるさかったですよ。馬場入りしてからが特に・・』であった。当方は今回はTV観戦していただけにその場に居合わせていないのでパドック、馬場入りしての各馬の動きを知らない。そこまで『うるさかったのだ～』と言われて気がついたほど。パドックの映像でもさほど入れ込み気味にも見えなかったし、レースの前の輪乗りの時でも、そんなに興奮気味ではなかった。ポイント、ポイントは締める馬なのだろう。《大人の馬》の印象を受けたほど。
逆にラッキーライラックは、子供っぽさというか最後に内へもたれてしまうあたりに精神的な弱さがまだあるのかもの、レース後の印象であった。リリーノーブルが牝馬の直前の割には《かなりやるな～》と思っていたが、それだけやれるほどに体幹がしっかりしていると言うことだろうと思った。

スタートは最内のリリーノーブルが好発。アーモンドアイは出てすぐに内へ切れ込んだのか、サヤカチャンが出鼻を叩かれた感じであった。ただ行けの指示が出ていたのだろう、二の脚をつけて前へ前へと出て行った。1ハロン以上も行ってから、やっと内のリリーノーブルを交わして先頭となる。外からランドネも来ている。その後ろでルメール騎手がアーモンドアイをやや突っ立った状態で抑えているのが見えた。ここらでは行きたがっていたのだろう。ランドネがかなりヤンチャな格好で行きたがっているのを、ウチパク騎手が抑えている。

サヤカチャンが先頭となって後ろを4、5馬身離して2コーナーを過ぎていく。前半の800mで、11秒台が2回。47.6とまずまず速い流れとなっている。リリーノーブルが3番手、カンタービレがいてラッキーライラック。それを観る様にアーモンドアイ。そして武豊騎手のマウレアがいて、外にMデムーロ騎手のサトノワルキューレがいた。
サヤカチャンの逃げは、その後も逆に少し後ろを離し気味に行く。隊列はほぼ変わらないまま最後のカーブまで来るが、この間のラップはおしなべて12秒台の前半と、まずまず流れている。

最後のカーブに入ってきた時にはだいぶ差も縮まってきた。2番手のランドネ、その後ろのリリーノーブルとカンタービレの間も、同じぐらいの間隔となって来た。
アーモンドアイがその後ろの4列目の外、すぐ前をラッキーライラックがいる。前を行く2頭はラチに近い方だが、3番手のリリーノーブルは馬の蹄跡のない4分、5分処を選んで来た。その外へラッキーライラック。

外のアーモンドアイが、持ったままジワっと前に出て来た。ラスト400のハロン棒を過ぎてリリーノーブルが先頭に立った様だが、外のアーモンドアイの脚色が断然にいい。その2頭の真ん中の後ろにいるラッキーライラックだが、もどかしいほどエンジンのかかりが遅い。
リリーノーブルの川田騎手に右ステッキが入っているのに、外のアーモンドアイのルメールはまだ手綱を持ったまま。ラッキーライラックが前の2頭の内へ切れ込みながら伸びだした。

ラスト200を過ぎてルメール騎手が左ステッキで追いだした。馬も内へと流れている感じだ。さらにルメール騎手は左ステッキを2発入れた後に右後ろを振り返る余裕。後は手綱を馬の動きに併せてシャクって行くだけの所作で、ゴールを通過した。ラッキーライラックは3着。その後ろで、レッドサクヤがマウレアに先着して4着。サトノワルキューレは結局、マウレアに遅れての6着であった。

桜花賞も切れに切れていたアーモンドアイだが、距離が伸びても盤石の強さ。牝馬では敵なしと思える。いや、牡馬相手に勝ったシンザン記念を振り返っても、この強さは世代で一番かも知れない。このまま順調に夏を過ごせば、3冠は必至であろう。そんな強いアーモンドアイの独壇場でありました…。