【宝塚記念】堀師が挙げるサトノクラウンの課題 「輸送や当日の精神力の部分」

サトノクラウン

宝塚記念に向けて追い切りを行うサトノクラウン

20日、宝塚記念(G1)の追い切りが美浦トレセンで行われた。

●前走、ドバイシーマクラシックで7着だったサトノクラウン(牡6、美浦・堀厩舎)は、石橋脩騎手を背に南ウッドチップコースで追われ、5F68.5-53.2-38.9-13.1秒をマークした。

【堀宣行調教師のコメント】
「ドバイ遠征後の参戦ということで、疲れがないかどうかの確認をしっかりしてきました。状態は一進一退でしたが、これなら競馬に向かえるかという感じになったのが特別登録の前でした。いつも心肺機能が良い馬ですが、今回は1週前追い切りもしっかりめにやらないといけない状態でした。1週前追い切りは誘導馬がかかって予定よりも強い負荷がかかって疲れが出たので、週末に予定していた軽めの調整を省きました。その後今週になってから状態はグンと上向いてきました。1週前追い切りが終わった後の心拍数の数値は、去年の宝塚記念よりは落ちますが、秋の天皇賞の頃と同等くらいになっている状態です。今週の追い切りはしっかりやりたいけど疲れは残したくないと考えていて、同じ状況の牝馬がいたのでその馬と併せました。強度としては狙い通りにしっかりやれたと思います。

この馬は普段の直前追い切りは単走が多いですけど、今週は3頭併せの真ん中に入れました。年を重ねてきて同じ場所で調教をすることに馬が慣れてきているので、3頭併せの真ん中に入れることで新鮮な気持ちで準備をさせたいと思っていましたが、最後までハミをしっかり取って走れていたのは良かったと思います。ドバイ遠征後の宝塚参戦は難しい状況だと思いますが、馬がよく応えてくれて態勢が整いつつあります。石橋騎手はこれまでこの馬には乗っていなかったので、この2週は可能な限り乗ってもらって馬のクセを掴んでもらいました。どの馬も調教と競馬で印象の違いがありますが、この馬は特にそういう面があって精神面のニュアンスを伝えるのがなかなか難しいので、今週3頭併せでやれたことは良かったです。

前走の結果は残念ですが、敗因はモレイラ騎手が話していたことが全てです。あのような状況になったのは、暑さ対策の優先順位に重きを置いてフレッシュな状態で持っていこうと考えたことがゲートで隣の馬が立ち上がったときに影響したり、向正面で他馬が内に入ってこようとしたときに何度かぶつかったことが殊更響いたりしたんだろうと思います。ただそういうフレッシュな状態で臨もうというコンセプトで調整していたので、テンションの高さも許容範囲内で暑いところでは良い傾向だと思っていましたし、仕上がりは良かったと思います。

去年の宝塚記念のときは、最終追い切りが終わった段階ではレース当日の気配は読み辛かったですが、良い状態でゲートインさせられたこととジョッキーが上手く乗ってくれたことが勝因だと思います。この馬はフィジカル面や心肺能力が高いので、それほど絶好調にしなくても整ってきます。勝敗を左右するのは、輸送や当日の精神力の部分を上手くもっていくことができるかどうかですが、それが難しいところです。去年勝てたのはこの条件が向いていたというより、そのあたりの課題が上手くいったからだと思います。今後も馬の様子を見ながら、適切な対応を取っていきたいと思います。

馬場状態も過去2年とは違うと思いますし、上手く見抜いて作戦に生かしていきたいです。道悪が上手というより、他馬より苦にしないという評価が当たっていると思います。馬場状態は勝敗を分けるポイントだと思いますが、良馬場でも走れる馬ですからね。先週の阪神の時計が速かったことも考えていきます」

【石橋脩騎手のコメント】
「サトノクラウンは2歳の頃から見せてもらっていましたし、良い馬だと思っていました。先週の1週前追い切りで乗せてもらいましたが、乗り心地の良い馬だと思いました。自分なりに気になるところがありましたが、確認したいところを確認できました。競馬に行って良いときと悪いときが成績に表れているので、メンタル面がどういうものなのかを感じ取ろうと思って乗りました。レース当該週は輸送もあるので、1週前追い切りはしっかりという指示の元でやりました。正直1週前追い切りは全体時計は速かったものの、動き切れていない面がありました。ただ先週は緩さがありましたけど、今週火曜日に普通の調教で乗ったときは体が締まったと思います。

今週水曜日の追い切りは、先週しっかりやったことでどのくらい動きが変わってきているかを確かめながら乗りました。先生からの指示としては、最後は少し出てからの馬の気持ちを見てほしいと言われていました。先週よりは動きが良かったです。レース当日の馬場状態や枠順、馬の気配などまだ分からないこともありますし、いろいろな状況を判断しながら先生と相談していきます。今年と頭数は違いますが、去年は外枠でも勝っていますし枠順は特に気にしていません。これまで道悪で結果が出ていますが、特に上手いかどうかは何とも言えませんし、他馬にとってマイナスになる部分がこの馬にはマイナスにならない、ということではないかと思っています。

これだけの馬に宝塚記念で乗せてもらえるのは有難いことですし、良い結果を出せるように頑張ります。サトノクラウンのレースができれば、と思います」

●前走、天皇賞・春で8着だったアルバート(牡7、美浦・堀厩舎)は、助手を背に南ウッドチップコースで追われ、5F68.6-52.9-38.6-13.4秒をマークした。

【森助手のコメント】
「帰厩後は順調に調整できています。先週の1週前追い切りの段階では動きが重かったですし、レース当該週の水曜日もしっかりめにやりました。反応が一瞬鈍いところがあったようですが、その後に合図を送ったら動けていましたし普段の競馬に向かうときの走りができていました。3000メートルを越えた条件で実績がある馬なので距離は長い方が良いかと思いますが、2200も守備範囲です。

しばらく道悪で走っていませんが、京都で準オープンを勝ったときは雨の道悪で勝っていますし、特に苦にはしないと思います。今年の阪神大賞典で初めて阪神競馬場で走りましたが、直線に坂があるコースという意味では中山でも結果を出していますからね。中山でも東京でも結果を出していますし、阪神でも問題はないと思っています。輸送を金曜にするか土曜にするかは、木曜に決める予定です」

●前走、目黒記念で6着だったゼーヴィント(牡5、美浦・木村厩舎)は、助手を背に南ウッドチップコースで追われ、4F54.0-39.3-12.5秒をマークした。

【木村哲也調教師のコメント】
「最終追い切りも、何とかトップギアに入る方に向けて良い頃の動きにもっていこうということを主眼に置いてやりました。こちらから細かく指示をした訳ではなく、乗り手の感覚と状況判断を元に追い切りました。1週前追い切りでは追ってはいませんし、長めにしっかり乗りました。今年に入って2回使わせてもらいましたが、重賞を勝った去年の今頃の動きに戻ってきたかと思います。

骨折休養後はレース自体というよりも、普段の厩舎の様子からもあまりパッとしませんでした。前走の前もそうでしたが、痛いところを抱えていることで変わって来られないのかなと考えながら調整していました。重賞を勝っている能力に望みを託していましたが、終わってみれば悪い意味でやっぱりなという感じもありました。能力的にこんなはずではないと思っていますし、オーナーサイドにも迷惑をかけてしまいました。今回はレース当日にどういうパフォーマンスを見せてくれるかは分かりませんが、仕草や動きはこの中間で変化してきたと捉えています。

3歳の時点で重賞を勝たせてもらったりしながら、大舞台に持ってくることができずに歯がゆい思いがありました。馬はいつも目一杯頑張ってくれますが、私たちがレースまで上手く持っていくことができませんでした。無事に出走できれば、本来の素質は大舞台に出ても恥ずかしくないものがありますからね。折り合いが難しくないタイプなので、阪神2200でも問題はないと思います。福島へ輸送して結果を出していますが、中山へ輸送して馬体が減ったこともあるので、関西圏への輸送はやってみないと分かりません。

池添騎手も、今回追い切りに乗せてほしいと言ってくれましたが、今は厩舎サイドで修正しているところもありますし、今の流れのまま調整させてくださいと話しました。これから馬の状態についてなどコミュニケーションを取っていく予定ですが、いずれにしても頼もしいパートナーであることに間違いはありません。渋った馬場はやってみないと分かりませんが、渋ったからといってどうしようもないということは、私の経験上ではないと思っています。芝の状態や馬の並びなどを含めて現状では分からないところもありますし、枠順の希望も特にはありません」

アルバート

宝塚記念に向けて追い切りを行うアルバート

ゼーヴィント

宝塚記念に向けて追い切りを行うゼーヴィント