【振り返れば馬券になる!】乗り味が変わった!成長著しい4歳有望株を狙え!

ランバージャック

将来が楽しみなランバージャックと松浦助手

2.20.6。

アルカセットが2005年に作ったレコードタイム・2.22.1を1.5秒も短縮する、とてつもないタイムが出現したジャパンC。昨年のジャパンCも検量室前で取材していたが、異様な盛り上がりを見せていた昨年と違い、今年はスーパーレコードにピンときていない人が多かったのか、なかなか静かな検量室前であった。

アーモンドアイが拍手に迎えられながら検量室前に戻ってくる。1着馬スペースでルメール騎手が馬上から降りた瞬間、アーモンドアイが頭を上げ少し暴れるようなしぐさを見せた。2400mを2.20.6で走破してまだそんな元気があるのかと思わされたこの瞬間が、筆者にとってアーモンドアイが規格外だと感じさせられた瞬間でもあった。

そしてさすがジャパンCウィーク、土曜日から検量室前を歩く外国人の姿が通常週の10倍以上。取材中に筆者とすれ違った人物の中には、今回ジャパンCに出走するサンダリングブルーの馬主であり、レース中の叫ぶ姿が動画で公開されるや、その叫ぶ姿が熱過ぎるということでネット上で話題になったクライヴ・ウォッシュボーン氏の姿も見られた。取材中でなければサインや握手をねだっていただろう。

他にも数多くの外国人記者が検量室脇を通過する中で、馴染みの顔を見かけた。土曜の東京8R・3歳上1000万で担当馬のランバージャック(牡4、栗東・鮫島厩舎)が13番人気ながら4着だった鮫島厩舎の松浦良幸調教助手である。以前重賞2勝、スプリンターズSでも3着した名牝ソルヴェイグを担当されており、何度も取材でお世話になっている方だ。担当馬が低評価を覆して4着だったわけだが、「勝てると思ったんだけどなぁ」と悔しい表情を見せる。

元々ランバージャックは素質の高さはレース振りから感じられていたものの、歩様が硬い馬で、長い休みを挟むなど出世に時間が掛かっていた。しかし今年の秋に4ヶ月の休養から復帰するといきなり3着。次戦で現級をしっかり勝ち上がり、1000万昇級初戦の今回もいきなり4着。本格化の気配を見せている。「だいぶ良くなっているよ。8万キロ乗った軽自動車から、新車のトヨタ・アクアに変わった感じだよ(笑)」と、その乗り味の変わり方を車に例えて分かりやすく説明してくれた松浦助手。「以前とは休み明けから歩き方が違う。走り方からも硬さが取れてきて、今回も芝スタートながらしっかり走っていたからね。揉まれても大丈夫だったし、いい内容だったよ」と現級でもやれる手応えを掴んだようだ。

騎乗した勝浦正樹騎手も「昇級戦でしたが置かれる感じもなく、よく伸びてくれました。このクラスでも力の差はないと思っていましたし、このクラスでも十分やれますね。これからの時期、当分マイルがないのがどうかですが、すぐにこのクラスは勝てる馬ですよ」と話す。距離について松浦助手はまだ未定としながらも、「3回使ったし、これで放牧に出すかもしれませんね。復帰させて、小倉のダート1700mを目指すかもしれません」という。本格化の兆しあるこの馬を妙味あるうちに追いかけるのは面白いかもしれない。


もう1レース取り上げよう。土曜の東京4R・障害未勝利で6番人気に推され6着だったルグランパントル(セ6、美浦・栗田博厩舎)。「ダートが良くないですね」と、騎乗した石神深一騎手は仕方ないという表情でレースを振り返る。東京の障害3000mコースは道中は芝、直線はダートというコース設計。石神騎手が触れたのはこの部分。確かにルグランパントルはそれまでのキャリア34戦中、33戦が芝。ダートは未勝利の時に1度だけ経験し、1着から1.8秒離された8着に敗れていた。「直線を向くまで楽に2着はあると思いました」と言うように、手応えも悪くなかった。

ただ収穫もあったと石神騎手は口にする。「初障害だった前走は道中引っ掛かったのですが、今回は折り合いがしっかり付きました。賢い馬ですよ。次は中京を使ってみるといいかもしれません」と語るように、中京の障害コースはオール芝コース。芝では準オープンまで出世したこの馬にとって、待望の舞台と言えるだろう。石神騎手も手応えを掴んでいるだけに、次走が楽しみでならない。

ちなみにこのレースを制したのがコウユーヌレエフ(牡4、栗東・斉藤崇厩舎)。わずかな練習期間で障害試験を好タイムで合格し、将来を嘱望されているジャンパーだ。「前日スクーリングをしたことで、前走より落ち着いていましたね。飛越も安定していました。最後直線で物見していたようにまだまだ余裕がありましたよ。これからが楽しみです」と笑顔で話したのは、騎乗した森一馬騎手。

コウユーヌレエフの生まれ故郷は熊本県。2年前に震災に見舞われ、今年も豪雨被害を受けた熊本に勇気を届ける活躍を期待したい。

レース後、ジョッキーたちから発されるコメントは様々である。
「うまくいった」
「調子が良かった」
「馬が強かった」
etc…

もちろんこれらのコメントも非常に重要ではあるのだが、よりオイシイのは、負けたジョッキーのコメントだろう。検量室に引き上げてくるジョッキーの表情はそれぞれ違う。悔しそうな表情を浮かべて戻ってくるジョッキーも多い。道中の不利、自身のミス、理由は様々だが、彼らのコメントこそ、次に繋がる。このコーナーでは現場にいたからこそ知りえる敗因、そしてジョッキーの表情などを取り上げながら、次走以降妙味のある馬を挙げていきたい。