【勝者に学ぼう】中山牝馬Sを知り尽くす松岡正海騎手に聞く"レースのポイント"

昨年中山牝馬Sを勝ったクリノプレミアム

昨年中山牝馬Sを勝ったクリノプレミアム


■中山牝馬ステークス

松岡正海騎手の優勝歴
2013年マイネイサベル
2022年クリノプレミアム

——松岡騎手は昨年クリノプレミアムに騎乗して中山牝馬ステークスを勝ちましたが、久し振りに跨がったクリノプレミアムの印象はいかがでしたか。

松岡騎手(以下、松):かかる馬で厩舎で調整した方が良いタイプだったこともあって競馬当日に久々に乗りましたが、古馬になって力が付いた印象を受けましたね。この馬は返し馬でサーッと行くとかかるのでダクしかしませんが、ちゃんとそれが出来て落ち着いていました。ただもう少ししたらかかるかも、というギリギリの感じではありました。

——ハンデ53キロで大外16番枠でしたが、伊藤伸先生とはどのようなレースプランを考えていらっしゃいましたか。

松:ハンデも枠も特に気にしていませんでした。やはりかかることがポイントだったので、この馬のリズムでレースをすることだけを考えていました。

——それで見事な結果が出ましたが、勝因はどういったところにあったと思いますか。

松:馬の能力が高い、というひと言に尽きますね。かかって調整が難しいので成績にムラがありますが、上手く噛み合えばやれる力のある馬です。

——ブービー人気での勝利でした。この勝利は松岡騎手にとってどのような意味がありますか。

松:まあ人気は気にしていなかったですよ。自分がケガから帰ってきて、こういう馬に乗せてもらえることを意気に感じていましたし、先生のために頑張ろうと思っていました。勝って先生も喜んでくれて、心に残る1勝です。

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——もう1勝はマイネイサベルです。

松:この馬はクセを掴んでいて使える脚も分かっていたので、ペース判断だけ考えていましたね。どの馬の後ろにつけていこうか、くらいで。自分の意図した乗り方が出来るように調教やレースで乗りながら馬を作っていきましたし、中山牝馬でも思い通りのレースが出来ました。

——マイネイサベルはどういうところに良さがある馬でしたか。

松:フットワークが素晴らしかったですね。2歳の頃から目を引く存在で、水野先生に「その馬良いですね」って言ったら、マイネルさんの馬だよということだったので「乗せてください」と。新潟2歳ステークスのときもあまり人気は無かったけど、自信がありました。

——早い段階から能力を感じていたんですね。ところで松岡騎手にとって、中山牝馬ステークスはどのような印象を持つレースですか。

松:もう古馬ですしやりたい競馬が芽生えていてスタイルが出来つつある馬ばかりなので、変わった戦法はしませんよね。4月には同じ古馬牝馬重賞の福島牝馬がありますけど、あちらは福島牝馬ステークスを勝ちたいっていう馬が出てくるイメージです。

それに比べると中山牝馬の方は、本場開催ということで終いを伸ばす競馬をしたり、ここでの結果を踏まえて次は2000に延ばしてみようかとか距離適性の指針を探ったり、次を意識するような素質馬が多く出走してくるイメージです。

——そのようなイメージのある中山牝馬ステークスで勝利を挙げるために必要なのはどういうものでしょう。

松:自分が勝った2頭はどちらも流れに乗って競馬が出来ましたが、そういう、流れに乗るとかは最低条件ですね。古馬は自分の競馬のスタイルが出来ているので、そのスタイルを重視して乗るのかそれともそのときの展開に合わせて乗るのか、が大事になりますが、スタイルに固執し過ぎて流れに乗れなかったり、展開に合わせ過ぎてスタイルを崩しても良い結果には繋がりませんからね。

流れに乗ったうえで自分のスタイル、個性を発揮出来るような馬が重賞でも活躍出来ると思います。

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——今年はウインピクシスとのコンビで臨みます。

松:そうですね。これまでウインピクシスの個性を生か形を考えながら競馬をしてきていますし、大きいところを勝てるように逆算しながら使ってきましたから。楽しみですね。