落鉄は大変!馬が一変するアクシデントと恐ろしい体験談とは…【永島まなみ騎手コラム】

まなみの学び

先週末は悔しさの残る開催となったまなみ騎手。切り換えて今週末は新潟競馬場で7鞍に騎乗します。展望、そして先週のプレイバックから、いきなりまなみクイズの延長戦、そして落鉄の影響や蹄鉄の思い出まで、今週も盛りだくさんでお届けします。

課題を残したスリールミニョン 視線は夏へ、その先へ

——今週末は土日共に新潟で計7Rに騎乗されます。実戦、追い切りに騎乗された経験のある馬を中心に伺いますが、まずは土曜の1R・3歳未勝利のサラサラヘアー、こちらは新馬以来2度目のコンビ結成です。

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新馬の時は砂を被ると進んでいきませんでしたが、最後砂を被らないところに出したところすごくいい脚で伸びてくれました。前走騎乗された瑠星さんにお話を伺うと、やはり「砂を被ると進んでいかない」とおっしゃっていましたね。

1800mはちょっと長いとは思いますが、砂被ると進んでいかない面を考えると1800mでフワフワした感じで運べば体力は持ってくれるのかなと見ています。理想で言えば砂を被らない位置で運ぶ形が良さそうです。

——そこまで大きくない馬ではありますが、直線坂のない新潟に変わるのはプラスなのでしょうか。

そうですね、直線が平坦になる分にはいいと思います。

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——日曜からはまず2R・3歳未勝利のハニーローリエ、こちらは前走笠松の交流戦に騎乗されて3着になっています。

笠松の時もいいスピードを見せてくれて、上手に競馬してくれました。追いだしてからもうひと踏ん張りしてほしいところはありますが、まずは中央場所で流れに乗れれば理想的です。

——感触からすると距離が1200mになるのはいかがでしょうか。

感触からすると1400mくらいあるほうがいいかもしれませんね。少しでもついていければと思います。

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——この日の最終レース・4歳上1勝クラスではグレイスカリヨンと3走ぶりにコンビを組まれます。その3走前は13番人気ながら6着まで差してきていましたね。

あの時は道中前の馬と離れたところでの追走でした。終いはいい脚を使ってくれましたし、もう少し前の馬たちについていければと思います。少しでも流れに乗りたいですね。

——ここ2走はスタートもあまり速くないようですが、やはりゲートはポイントになりそうでしょうか。

そうですね、必ずしもゲートが遅いわけではないのですが、終いに賭けたほうがいいタイプだと思います。

——先週の競馬の話に移りますと、やはり京都10R・橘Sスリールミニョンのお話は伺わなければいけないと思います。道中掛かり気味でラストは失速し9着という内容でした。

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調教の段階からハミを噛んでしまうところがあり、レースでもペースが前半600m36秒ということもあって、ずっとハミを噛むところがありました。それが一番の敗因かなと思います。

——先週のコラムにて、追い切りの内容から「より折り合いを気を付けていきたいです」とおっしゃっていました。返し馬からかなりテンション面が怪しくなっているのでしょうか。

返し馬や装鞍所などでは落ち着いてくれていて、そこまでイレ込んでいる感じはなかったんです。レースに行ってペースもかなり遅かったですし、道中1番のモンテシートの瑠星さんとも何度か接触するところがあり、そこでよりハミを噛んでしまうところがありました。

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※PN.まなるとさんご提供

——確かに、コーナーでは内にいたモンテシートに張られるような面が見受けられました。

そうですね、ミニョンには可哀そうなレースになってしまいました…。

——引いたのは内枠4番でしたが、まなみ騎手は早々に進路を外に切り換えられました。この意図を伺ってみたいです。

京都の芝のレースを見ていたら、直線真ん中から伸びる馬が多い印象でした。ミニョン自身あまり馬場の悪いところを走るのが得意ではないので、なるべく馬場の綺麗なところを走らせたいという意図がありました。

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※PN.まなるとさんご提供

——今回のレースにおいて、一番課題と感じた部分はどこでしょうか。

やはり道中の折り合いですね。マイルでも5着だった阪神JFはペースが流れていたので大丈夫でしたが、今回もファンタジーSと似たような流れで引っかかってしまったので、周りの流れに左右されるところはあります。

私自身もミニョンの折り合いをつけられるよう、今後も努力していきたいと思っています。

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——マイルのG1でも5着に食い込むなどしているスリールミニョンですが、より短距離馬に近づいてきているのでしょうか?

そうですね、お父さんのミスターメロディの血が出ていると感じますし、競馬を使ってきてかなり力が強くなっているところがあります。精神面は大人になっているようにいいところはあるのですが、パワーがついてきたことでより行きたい、行きたいというところはありそうです。

——仕切り直しですね。

そうですね、もう放牧に出ているのですが、夏競馬でまた期待しています!

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——そういえば先週末の土曜東京は、ペイシャケイブの回避などもあり1Rに騎乗した後12Rに騎乗するというスケジュールでした。PN.ソトワクノカズオさんPN.leyさんから「乗り鞍が1Rと12Rということで空き時間が長い1日だったと思いますが、その間は何をして過ごされていましたか?」というご質問が届いております。

いつもバレットをしてくれている姉はコニー(西塚洸二騎手)のバレットもやっているため新潟にいたので、自分の馬具の準備をしてからは調整ルームの自分の部屋で競馬中継を見ていました!

——間が6時間空くと気持ちの持っていき方が難しい気もします…。

もう5年くらい乗せていただいていますし(笑)、夏開催の時間が空く時よりもマシですね。

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——例えばこの空いた時間に競馬場の外に出ることは可能なのでしょうか?

それはできないんです。調整ルームか、競馬場の中にいるしかないんです。

——調整ルームのシステムについてはまた今度ファンの方からの質問コーナーで取り上げる予定です。読者の皆様、関連質問お待ちしています。

蹄鉄は重要!まるで違う乗り心地とは

そういえば今週、先週末にマルシェに乗せていただいたお礼をしに大久保龍志厩舎に伺ったんです。そうしたらちょうどハピの4兄妹がいて写真を撮らせていただきました!

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上からハピ、アウトレンジ、リトルハピ、クイーンハピの4兄妹
※まなみ騎手ご提供

——母クイーンパイレーツの子が4頭揃ったという話はお聞きしましたが、皆さんお顔が違いますね。

そうなんです、全然違っていて。可愛いです。

——貴重なお写真をありがとうございます。さて、ファンの方からの質問コーナーですが、先週のコラムでは"ゴールデンウィークは一人でタコ焼きを作った"という話になりましたが、「まなみとタコパしたい」という声をいただいております。

えへへ(笑)、楽しそうですね!

——ファンの方とタコパしているジョッキーの方は見たことがないです。先週いただいたタコ焼きの写真は大変綺麗なものでしたが、関西の方はみんなこのくらい綺麗なものを作れるのでしょうか。

たぶんみんな作れると思います!私も小さい頃から実家にタコ焼き機があって家族と作っていましたし、姉も妹もこのくらい作れます!

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※PN.まなるとさんご提供

——以前河原田菜々騎手との対談の際に、河原田騎手が「みんなでタコパしている時にまなみさんを呼んだ」という話をされていました。ジョッキー同士のタコパもよくあるのでしょうか。

あまり聞いたことはないですが、してる人はしてると思います(笑)

——先週と言えば、いきなりまなみクイズも反響がありました。特に5月3日はゴミの日。

ああ、すいません…(笑)

——「まなみんがどこまで祝日を理解しているのか気になります」というメッセージもありましたが、祝日は関係ない仕事ですもんね。

そうなんですよね、全然祝日は関係ないので、みんなと「今日祝日なんや…」という話になったりします。

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——なお次の祝日は7月21日です。こちらは何の日かご存知でしょうか。

…建国記念日ですか?

——先週、5月5日も建国記念日とおっしゃっていました。まなみ騎手の建国記念日、年に10回くらいありそうです。

あはは、言ってましたね(笑)。7月21日…なんの日だろう?

——"海の日"です。

あー、海の日。知らなかったです。今覚えました(笑)。

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※PN.ソトワクノカズオさんご提供

——まなみ騎手に関係のなさそうな日ではあります。これはちょっと難しいかもしれませんが、その次の祝日は8月11日です。何の日かご存知でしょうか?

終戦記念日ですか…?

——終戦記念の日は8月15日で、祝日ではありません…。

そうですよね…。天皇陛下の誕生日ですか?

——まなみ騎手、天皇陛下の誕生日も多いですよね。

あはは(笑)、8月11日…全然分かんないです…!

——"山の日"です。

山の日なんてあるんですか!へー…。

——永島まなみクイズは9割方答えが想像の斜め上を行くので恐怖感すらあります。

すいません、勉強します(笑)。知ってる祝日、元日くらいかもしれません…。

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——さて、そんな今週ですが、こんな質問が届きましたので紹介させていただきます。PN.ゆうがファンさんからのご質問です。「まなみさん初めてメッセージ送らせていただきます。先週のNHKマイルCで川田将雅騎手のアドマイヤズームに期待していましたが大敗してしまいました。落鉄の影響もあったとのコメントがありましたが、実際落鉄はどのくらい影響するのでしょうか。教えてください」というメッセージをいただきました。

レースに向けて装蹄師さんが厩舎の方々と話し合いながら、一頭一頭蹄鉄を打ってくださるんです。ただ人間も履き慣れない靴で歩いたり走ったりすると違和感があるのと同じで、返し馬などで落鉄したりすると走りづらいとも言われるんです。

私も実際落鉄した馬に乗っていると、普段はもっとグーっとハミを取ってくれる馬なのにハミを取ってくれず、進んでいかなかったりしたことがあります。

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以前中京でシゲルバクハツに乗せていただいた際(24年9月16日中京11R)、向正面くらいからまったく進んでいってくれなかったことがあって、おかしいなと思ったら落鉄していました。

馬にとって、蹄鉄は人間でいう靴なんです。落鉄しながら勝つ馬もいますが、蹄の厚さも変わってくるのでバランスが悪くなりますし、レースに影響すると思います。

——確かに、普段履いていない靴を履いて走れと言われたり、片方だけ違う靴だと大変です。馬も違和感はあるでしょうね。

そうなんです。やっぱり1つ以外の脚が違うと、打ち換えをしてもやはり他の3本の脚とは違うところもあると思うので、レース前に落鉄した馬は走りづらいとよく言われるのも分かります。今回のようにレース中に外れると、川田さんがおっしゃるようにバランスが悪くなるところがあります。

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——これは素朴な疑問なのですが、4つ付いている蹄鉄のうち、乗っていてどこが一番影響がないのでしょうか。

どこというのはないかもしれません。4つの脚で走っている生き物なので、基本どこかが外れると影響はあると思います。

——先ほどお話にあった時のシゲルバクハツは4つ中3つの蹄鉄が取れた記憶があります。

あれはビックリしました。それまでに乗せていただいたことのある馬だったので、レースが終わって、担当者さんに「全然いつもと違います…」という話をしていたんです。

そうしたら後日お会いした時に「かなり落鉄していた」という話を伺ったんです。3つ外れたのを見たのは担当者さんも初めてだとおっしゃっていましたね。

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——3つ外れることのほうが難しそうですものね。そもそも落鉄したタイミングというのは乗っていて正確に分かるものなのでしょうか。

私の場合、分かる時もあれば分からない時もあります。川田さんは外れた際にパっと分かると思います。

——外れた時に音などはあるのでしょうか?

音はないんです。急に外れて前から蹄鉄が飛んできたりします!

——音もなく外れて急に飛んでくるのは怖すぎます。実際当たったりしてケガをされる方もよくいらっしゃるのでしょうか?

私はないんですが、当たったと聞いたことがありますし、これはもう防ぎようがないんですよね。今年に入ってからも何度か聞いています。いつ飛んでくるか、どこに飛んでいくかは分からないので。

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そういえば昨年、私も一度乗せていただいた須貝厩舎の馬に川田さんが騎乗された際落鉄して、その鉄が落鉄した馬の尻尾に絡まったというケースがありました(24年8月10日、中京9R・木曽川特別ローレルキャニオン)。

——今確認しましたが、本当に蹄鉄がローレルキャニオンの尻尾に絡みついていますね…。

尻尾に蹄鉄が絡みついているのがパトロールビデオなどにも映っているんですよね。私も初めて見ました。みんな「なんかすごいな…」と言っていたくらいです(笑)。大きな事故にならなくて良かったです。

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※PN.水無月さんご提供

——落鉄した場合は係の皆さんが馬場に拾いに行くことになると思います。どのあたりで落ちたかの説明は義務に近いのでしょうか。

鉄であったりムチであったり、終わってから「落としました」と申告することはよくありますね。落鉄に気づいていない場合は説明できないので、ハロー掛けの方が気づいて見つけてくださったり、次のレースの返し馬に乗っているジョッキーなどが「○○に蹄鉄が落ちています」という感じで申告するんです!

——ジョッキーも申告するのですね。

しますします。踏んでしまうとザ石に繋がってしまうので。私も見つけたことがあります。その時も「鉄が落ちています」と申告しました。

——面白いお話です。たまにゲートの前で蹄鉄の打ち直しが行われる光景があります。これもまた個体差はあると思いますが、打ち直しは基本的にマイナスなのかはジョッキー目線で伺いたいところです。

かなりマイナスだと思います。イレ込む馬もいますし、プラスになることは何もないですね。

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※PN.水無月さんご提供

——競馬において蹄鉄はかなり大きなウエイトを占めていると思います。競馬学校でも装蹄という授業はあるのでしょうか。

装蹄という授業はないですが、何度かどのような感じでやっているかを勉強はしました。ちょっとかじったくらいです。競馬学校では自分の担当馬がいるので、担当馬を装蹄師さんのところに連れていって装蹄する場面は何度か見せていただきました。

——いくら爪の部分とはいえ、爪に釘を刺していくのはなかなか文字にすると怖いものです。基本的に高橋厩舎の皆さんはおとなしく装蹄されているものなのでしょうか。

基本みんなおとなしいのですが、中には怖がりな子もいて、装蹄が大変だったという話は聞きますね。苦労するみたいです。金づちで叩く時の「カンカンカン」という音がするのですが、その音が苦手な子がいるんです…。

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※PN.ソトワクノカズオさんご提供

鉄を打っている部分はそこまで神経が通っていないので痛みはないようなのですが、音もそうですし、打ち終わるまでずっと片足を上げられるのでそれが嫌な子もいます。慣れていない子はストレスですよね。

——他に何か蹄鉄関連で思い出はありますか?

思い出…あ、昔フェリという子に勝たせていただいた際(2月19日阪神4R)、地下馬道で右足の太ももを蹴られてしまったんです。その時の蹴られた跡がまだ右太ももに残っています。

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痛みをこらえて写真に収まるまなみ騎手

——まだ残っていたんですね…。

うっすらですけど残ってます!2年くらい前なのですが、蹴られた時の跡が線のようになって残っているんです。だいぶ綺麗になったんですけどね。

——今週もまた為になるお話をありがとうございました!そういえばPN.おふとんさんから「函館民です!まなみんを現地で見たいのですが、今年は函館に来てくれるのでしょうか?」というメッセージをいただいております。

すいません、たぶん行かないと思いますね…。現在のところ、夏は小倉から中京に転戦していく形になると思います!

——今週もありがとうございました!来週もよろしくお願いいたします。

よろしくお願いします!

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ペイシャフラワーの追い切りに騎乗するまなみ騎手

いつも永島まなみ騎手コラム"まなみの学び"をご覧いただきありがとうございます!コラム開始1年半、ここまでまなみ騎手に色々な質問に答えていただきました。

"ファンの皆様と共に歩む"コラムとして、これからもファンの皆様の質問を幅広く頂戴し、ご本人に聞いていこうと思っております。

競馬に関すること、そして日常生活について、永島まなみ騎手にこれだけは聞いてみたい!ということをぜひご応募ください。頂いたご質問、メッセージは上記のようにご本人に届けさせていただきます。

すべてのご応募はメールにて受け付けております。メールの件名に「まなみ騎手へ」、本文にお名前(ペンネーム)を記載の上、以下のアドレスまでご質問をお願いいたします。皆様ぜひご投稿よろしくお願いします!
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