ベテラン馬券師・研究員Mの重賞回顧

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3/24日(土)、中山競馬場で行われた日経賞(4歳上、G2・芝2500m)は、中団からレースを進めた3番人気ネヴァブション(牡4、美浦・伊藤正徳厩舎)が、最後の直線で末脚を伸ばし、2番人気トウショウナイトに1/2馬身差をつけ、3連勝で初の重賞勝利に輝いた。
レースは後方に控えると目されていたインテレットが先導する意外な展開に。好位で流れに乗る1番人気マツリダゴッホは抜け出すタイミングを測っていた。
最終コーナーを迎えると各馬が先団に殺到し、その中から最初に抜け出したのはマツリダゴッホ。
そして大外からマクリ気味に上がってきたのは、2連勝中のネヴァブションと実績馬トウショウナイト。
結局ゴール前でネヴァブションが差し切って、3連勝で重賞初勝利に輝いた。
2着には連れて上がってきたトウショウナイトが入線。
最後に差されたマツリダゴッホは3着まで。
勝ったネヴァブションはデビュー当初は勝ち味に遅く伸び悩んでいたが、菊花賞では10着に敗れたものの昨年秋から頭角を現し始め、年明け2連勝と本格化の兆しを見せていた。
そして2連勝の勢いそのままに、今回のG2戦での見事勝ち名乗りを上げた。
遅咲きのこの素質馬が、きっとこれからの中長距離界を大いに賑わしてくれることだろう。

同3/24日(土)、阪神競馬場で行われた毎日杯(3歳、G3・芝1800m)は、中団後方からレースを進めた1番人気ナムラマース(牡3、栗東・福島信晴厩舎)が、最後の直線で大外強襲を決め、6番人気ヒラボクロイヤルに1.1/4馬身差をつけて優勝した。
レースはトーホウレーサーが引っぱる縦長の隊列で進んでいった。
ナムラマースは中団後方に控え折り合いに専念。
第3コーナーから徐々に追い出しにかかると、最終コーナーを回ったところで大外からいよいよエンジン点火。
逃げ込みを計るトーホウレーサーを一完歩ずつ確実に追い詰めると、余裕の脚色で差し切り、ゴール前を先頭で駆け抜けた。
2着にはさらに後ろから差を詰めてきたヒラボクロイヤルが入線。
3着以下は大混戦だったが、最後方から飛んできたニュービギニングが3着に入線した。
勝ったナムラマースはデビュー戦こそ5着に敗退したが、その後レコード勝ちを含む高い安定したレベルの競馬をこれまで披露してきた。
次はいよいよ大一番の皐月賞を迎えるわけだが、この馬の高い安定感と大人びたレース振りは、他の強豪たちに大きく見劣ることは決してないだろう。
高いパフォーマンスを存分に発揮して、大一番を盛り上げてもらいたいものだ。

3/25日(日)、中山競馬場で行われたマーチS(4歳上、G3・ダート1800m)は、最後方からレースを進めた9番人気クワイエットデイ(牡7、栗東・松元省一厩舎)が、直線でインから脚を伸ばすとそのまま抜け出し優勝した。
レースはヒシハイグレードが引っぱる速めの流れで進んでいった。
展開がガラッと変わったのは最終コーナー手前。
脚を溜めていた後方待機組が先行勢に襲いかかっていった。
多くの馬がコース中程から外めを衝いたのに対し、途中まで最後方にいたクワイエットデイがいつのまにかインからスルスルと脚を伸ばして先頭に立つと、そのまま真っ先にゴールを駆け抜けた。
2着には早めに抜け出していたトーセンブライトが入線。
3着にはクワイエットデイと同じく最後方からレースを進めた、ヒカルウイッシュが入線した。
1番人気ビッググラスは伸びきれず9着に沈んだ。
クワイエットデイはこれが35戦目の7歳馬で、ここまで3戦した重賞ではいずれも10着以下に大敗していたが、前走この毎日杯と相性の良い仁川Sで勝利を収めていた。
レース傾向も競馬予想にはやはり欠かせないものだと痛感させたれた今回のレースだった。

同3/25日(日)、重馬場の中京競馬場で行われた高松宮記念(4歳上、G1・芝1200m)は、中団からレースを進めた1番人気スズカフェニックス(牡5、栗東・橋田満厩舎)が、直線で末脚を爆発させ見事栄冠に輝いた。
レースは序盤から激しい主導権争いで始まった。
結局、ディバインシルバーがハナに立つも、息の入らない速い流れに。
最終コーナーを回ったところで各馬一斉に追い出し、激しい叩き合いとなった。
中団につけていたスズカフェニックスは、鞍上武豊騎手が抜群のタイミングで追い始め、コース中央から末脚を爆発さるとせ一気に先頭に躍り出て、最後は後続に2.1/2差をつけて快勝した。
2着には13人気ペールギュントが入線し、大波乱の立役者となった。
3着には阪急杯優勝馬、2番人気プリサイスマシーンが入着した。
優勝したスズカフェニックスは、これが初めての芝1200mだった。
それまでは破壊力抜群の末脚を武器にマイル前後の距離で活躍していたが、出遅れクセや勝ち味の遅さから、これまで出世が遅れていた。
しかし道悪などの悪条件が重なる中で、新境地ともいえる初の1200m戦でのG1制覇は、何よりこの馬の能力の高さを物語っている。
かつてはエキスパートが頂点に君臨するのがスプリント界の常だったが、中距離もこなせる同馬の出現は果たしてどのように捉えたらよいのだろうか。
万能型ニューヒーローの登場と讃えるべきなのか、それとも強力なエキスパート不在のスプリント界を憂慮すべきなのか…。