研究員ヤマノの重賞回顧

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1月20日(日)、中山競馬場で行われた京成杯(3歳、Jpn3・芝2000m)は、中団を追走した松岡正海騎手騎乗の1番人気マイネルチャールズ(牡3、美浦・稲葉隆一厩舎)が、最後の直線で馬群を割って抜け出すと、12番人気ベンチャーナインの猛追をクビ差しのぎ切り優勝した。
さらにクビ差の3着に4番人気アイティトップが入線した。

見事人気に応えたマイネルチャールズは、これで本番皐月賞への第1関門クリアといったところだろうか。
今回のレースは必ずしもスムーズだったとは言えないかもしれないが、この混戦を抜群の勝負根性を見せて制したことは、非常に意義深いだろう。
今年のクラシック戦線を賑わす存在として、有力視できそうだ。
こうして能力を見せたマイネルチャールズだったが、彼にとって何より心強いのは、パートナーである松岡騎手の存在なのかもしれない。
昨年もサンツェッペリンを京成杯で勝利に導いた彼。
その勝利が周知のとおり、後の皐月賞でタイム差なしのハナ差2着の激走へと繋がったわけである。
今年もまた上手くいくとは限らないが、勝利後の彼のインタビューからは、今年も大仕事をやってくれそうな予感が感じられた。
ただ単に勝利を喜ぶだけでなく、自分の今回の騎乗を反省し、馬の成長ぶりをつぶさに観察して褒め讃える松岡騎手の真摯な姿勢。
それは更なるステップへの大きな糧となるはずで、その先に広がっているのは洋々たる未来なのかもしれない。


同1月20日(日)、京都競馬場で行われた日経新春杯(4歳上、G2・芝2400m)は、中団で流れに乗り、最後の直線で鋭く伸びた安藤勝己騎手騎乗の3番人気アドマイヤモナーク(牡7、栗東・松田博資厩舎)が、2番人気ダークメッセージに1.1/4馬身差をつけて優勝した。さらに3/4馬身差の3着には12番人気テイエムプリキュアが入線。1番人気のアドマイヤジュピタは4着に敗れた。

こうして1番人気アドマイヤジュピタが敗れた今年の日経新春杯だが、1着アドマイヤモナーク、2着ダークメッセージは前走万葉Sで、3着、2着。今回の人気も3番人気、2番人気だったわけだから、ハンデ戦の斤量差等を考えれば、予想できない結果ではなかっただろう。
だが、三連単は驚きの46万馬券。
勿論、大波乱の立役者は3着のテイエムプリキュアに他ならない。
このテイエムプリキュアの激走には驚かされたが、実は全く考えられない話でもなかったのだ。
ご存知のように、馬には調教駆けするタイプとしないタイプがいる。
今週の美浦坂路で1番時計を出したアラビアンホワイトは前者にあたり、12番人気で、結果、16着。
ところが、同じく調教駆けするタイプのテイエムプリキュアは同じく12番人気ながら3着と激走した。
同じように調教駆けするタイプの2頭の今回の取捨を判別する方法は何かなかったのだろうか?
調べてみると、ヒントはやはりあった。
アラビアンが出した今回の時計は、自己ベストとほとんど変わりないものだったのに対し、プリキュアが出したタイムは一昨年マークした自己ベストを明らかに上回るものだったのだ。
時計が“一般的に速いかどうか”というより、“その馬にとって速いかどうか”がポイントなのは当然のことかもしれない。 しかし、このような僅かな異変を敏感にキャッチできるかどうかが、馬券的中の分岐点なのかもしれない。