過去10年攻略データ

夏季競馬の短距離重賞の充実を図るため、1994年に『札幌スプリントステークス』として創設。1997年から札幌競馬と函館競馬の開催順序が入れ替えられたため、舞台を函館競馬場の芝1200mに移して『函館スプリントステークス』に改称された。6月半ばに行われているレースだが、秋の大一番・スプリンターズSで好走する馬が多く、すっかり定着した『サマースプリントシリーズ』の開幕戦であるとともに、秋を占う意味でも軽視できない一戦をデータで解析したい。

前走G1組は要チェック!

[前走レース]目立つのが高松宮記念、桜花賞、NHKマイルCといったハイレベルのG1戦。特に3歳馬は適性距離よりも長い桜花賞、NHKマイルCを使ったあとに適距離のスプリントに戻って好走というパターンが目立ち、近年でも16年の勝ち馬ソルヴェイグは桜花賞17着、同2着のシュウジはNHKマイルC12着、17年の勝ち馬ジューヌエコールは桜花賞9着から一気の変わり身を見せた。
古馬では高松宮記念のほか、ヴィクトリアMから参戦した馬が5頭のうち3頭馬券に絡んでいる。京王杯SC組は2勝を挙げているが、人気を集めて着外に沈んだ馬も多く、悩ましい存在だ。

前走レース別成績
レース名 成績 勝率 連対率 複勝率
京王杯SC2-0-0-820.0%20.0%20.0%
桜花賞2-0-0-166.7%66.7%66.7%
高松宮記念1-2-1-145.6%16.7%22.2%
NHKマイルC1-1-1-89.1%18.2%27.3%
CBC賞1-1-1-710.0%20.0%30.0%
阪神牝馬S1-0-0-150.0%50.0%50.0%
彦根S1-0-0-0100.0%100.0%100.0%
安土城S1-0-0-0100.0%100.0%100.0%
ヴィクトリアM0-1-2-20.0%20.0%60.0%
韋駄天S0-1-0-90.0%10.0%10.0%
鞍馬S0-2-0-90.0%18.2%18.2%
道新スポーツ杯0-1-0-00.0%100.0%100.0%
阪急杯0-1-0-00.0%100.0%100.0%

年齢別成績 前走着順別成績
年齢 着別度数 前走着順 着別度数
3歳3-2-2-14前走1着3-2-1-16
4歳2-3-2-10前走2着0-1-1-7
5歳3-1-3-39前走3着2-2-1-6
6歳1-2-2-25前走4着0-1-0-5
7歳1-1-0-11前走5着0-0-1-8
8歳以上0-1-1-16前走6~9着1-1-1-24
前走10着~4-3-5-49

過去10年注目データ

[年齢]過去10年、3歳馬と5歳馬が3勝、4歳馬が2勝。そして6歳馬と7歳馬が1勝ずつ。昨年は古馬が意地を見せたが、その前2年は3歳牝馬が連勝。短距離のレースは牝馬、3歳馬が多く活躍する傾向にあるが、このレースも斤量差を利して3歳馬、特に牝馬の活躍が目立つ。その一方で17年3着のエポワス、09年2着タニノマティーニと2頭の9歳馬が健闘。7歳を超えると信頼度は下がるが、前走成績が悪くない馬、コース巧者には一応の警戒が必要だ。

[前走着順]前走から連勝を果たした馬は3頭。過去10年で5頭が前走3着以内から勢いを付けて勝ち上がり、2着馬も前走3着以内が5頭。前走で連対している馬は要チェック。前走4~5着馬は不振で、中途半端に掲示板を確保した馬よりも、思い切って前走で掲示板を外した馬から狙うのが過去のデータからは得策。特に前走G1で大敗した馬の巻き返しは要チェックだ。

[枠順]枠番別では1~3枠が2勝ずつを挙げ、2着も5回。アベレージで見ると内枠が有利。特に1枠と3枠のアベレージが高い。ちなみに巡り合わせかと思うが、4枠の連対が1度もなく、昨年は1番人気のナックビーナスが3着、2番人気のワンスインナムーンが8着と鬼門になっている。

馬番別で馬券絡みがないのは「11」「12」「15」の3つ。「1」は過去10年で(2.1.3.4)と6回の馬券絡みを果たしている。

[脚質]昨年はセイウンコウセイが逃げ切って、前年の高松宮記念以来となる復活V。過去10年で4角先頭から3頭が馬券絡みを果たし、2~5番手に付けた馬が7勝、2着6回とローカルの小回りコースらしい先行有利の結果を残している。穴の期待は前が飛ばして先行馬が崩れた時の差し馬で、人気薄も度々台頭している。先行激化が予想される時は人気薄の差しを警戒しておきたい。

1番人気は不振

過去10年、1番人気は(2.2.1.5)と不振。好走馬の人気を見ると、かなりバラけていて、重賞勝ちの実績を持ちながら、2ケタ人気の低評価となり、それを覆しているパターンもあり、掴みどころがないレースといえる。穴党も積極的に穴狙いができるレースだ。

人気順別成績
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1番人気2-2-1-520.0%40.0%50.0%
2番人気2-1-1-620.0%30.0%40.0%
3番人気2-1-1-620.0%30.0%40.0%
4番人気1-1-1-710.0%20.0%30.0%
5番人気0-1-1-80.0%10.0%20.0%
6~9番人気2-2-2-345.0%10.0%15.0%
10番人気~1-2-3-491.8%5.5%10.9%

プラスαデータ

人馬とも『西高東低』

東西相まみえる北海道の重賞だが、出走頭数に勝る関西馬が過去10年で8勝、2着8回と大きくリード。3着は関東馬が7回と意地を見せていて、複勝率は東西互角だが、勝率、連対率は西優勢となっている。
ジョッキーの方も似たような傾向で勝鞍、勝率、連対率は西がリード。3着は美浦所属のジョッキーが7回とリードして、複勝率は美浦所属のジョッキーが上回っている。またジョッキー個人では池添騎手が2勝、丸田騎手が違う騎乗馬で(1.1.1.1)と好相性。15年は14番人気アースソニックで2着、16年は12番人気ソルヴェイグを勝利に導いている。

[キャリア]勝ち馬の最少キャリアは17年のジューヌエコールと16年ソルヴェイグの6戦。最多キャリアは14年ガルボの40戦。複勝圏突入は幅広いレンジから出ているのだが、勝ち馬に関しては4頭が10戦以下、20戦を超える馬も4頭勝っている。キャリアはあまり気にしなくていいだろう。

[乗り替わり]過去10年、前走と同じコンビ、乗り替わりのコンビがともに5勝。2着も同じコンビが6回、乗り替わりのコンビが4回とほぼ互角。3着は乗り替わりのコンビが9回と大きな差が出ている。ただし、出走頭数は乗り替わりのコンビが多く、アベレージは勝率、連対率が前走と同じコンビがリードし、複勝率も同率と、コンビ継続は鞍上の手応えの良さを表しているともいえる。

[当該コースの騎手成績]2014年以降に行われた函館芝1200mで最も多く勝っているのは岩田騎手の17勝。2位が池添騎手の13勝で、以下勝浦、吉田隼騎手が12勝。三浦騎手が11勝、丸山騎手が10勝と続く。岩田騎手は132回の騎乗で複勝率が40%超えのハイアベレージを誇るのだが、人気サイドが多く、回収率は高くない。勝率では2位の池添騎手が岩田騎手を上回っている。

[馬体重]勝ち馬の最低体重は09年グランプリエンゼルの432キロ。最高体重は13年パドトロワの536キロ。好走馬は幅広いレンジから出ていて、過度に気にする必要はないが、連対馬は比較的大型の馬が多く、3着馬は比較的小柄な馬も度々顔を出している。

[種牡馬]過去10年、複数の勝ち馬を出しているのは2勝のクロフネで、出走頭数が多いこともあるが、2~3着もそれぞれ1回と上々の相性を誇る。複数の好走馬を出している種牡馬が意外と少なく、クロフネを除くとマンハッタンカフェ、キングカメハメハ、ファルブラヴ、ダイワメジャーの4頭で、マンハッタンカフェは4頭いずれも違う馬で全て掲示板を確保。クロフネ以上の好相性を示していた。3歳馬が活躍しているレースだが、古馬になって再度好走した馬はおらず、種牡馬成績からも分かるように2度目以降の出走は大きな壁となっている。

データの決断

秋のスプリンターズSを目指して、新興勢力の台頭も気になるところだが、今年は激走期待値の高い9歳馬ティーハーフを狙い撃ちしてみたい。過去にタニノマティーニ、エポワスといった好走馬が出ていて9歳という年齢は問題ナシ。今年に入って2戦連続3着のあと、前走はG1の高松宮記念で差のない5着と衰えも見られない。狙って見る価値は十分あるだろう。
※ティーハーフは出走回避となりました。