毎週の注目重賞をテーマに競馬ラボ研究員がデータを精査。競馬ビギナーにも分かりやすく レースのポイントを教えます!あなたが選ぶ本命馬はこのデータをかいくぐれるか?
【皐月賞】無敗馬2頭にスキあり!
2019/4/7(日)
牡馬クラシックレースの初戦で、1939年にイギリス2000ギニーをモデルとした「横浜農林省賞典四歳呼馬(よこはまのうりんしょうしょうてんよんさいよびうま)」を創設。第1回は横浜競馬場の芝1850mで施行されたが、横浜競馬場の閉鎖に伴い、1943年からは東京競馬場の芝1800mへ、1949年から施行場を中山競馬場の芝1950mに移し、現在の「皐月賞」へと名称を変更。翌1950年から芝2000mで行われている。小回りかつゴール前に急坂があるトリッキーな中山コースで勝利の凱歌をあげるのはどの馬か? 過去10年のデータから勝ち馬を導き出してみる。(2011年は東京競馬場で施行)
トライアル組、そして…
[前走レース]過去10年で4勝ずつを挙げているのがトライアルのスプリングSと共同通信杯からの直行組。後者は元々クラシックの登竜門と言われていたレースだが、2012年からは出走機会4年連続勝利を挙げるなど好相性。そこで賞金を上積みして、ひと息入れるのが最近のトレンドとなっている。今年は上位3頭が間にレースを挟まず直接本番へ挑む。定番のトライアル組ももちろん要注目。弥生賞組は勝利こそ1回だが、2着馬が5頭、若葉S組は勝鞍こそないが、2着馬が3頭出ている。
過去10年注目データ
[前走着順]過去10年、勝ち馬は前走2着以内で、中でも前走1着は8勝と、前走からの勢いは非常に重要。前走5着以下からの巻き返しは非常に困難で、馬券絡みは3着馬が2頭。09年セイウンワンダー、11年ダノンバラードともに重賞を勝っていた。
[枠順]枠番別では全ての枠で2回以上馬券絡みがある。連対率が最も高いのは2枠だが、6~8枠が2勝ずつを挙げていて、数の上では外めの枠がやや優勢。
馬番別で馬券絡みがないのは「1」と「8」の2つ。イチかバチか狙ってみるのも面白い!?
[脚質]小回りで直線の短い中山で行われるレースだが、過去10年で4角先頭から押し切った馬はゼロ。逃げた馬を見ながら進む好位勢の数字もいいが、アベレージで目立つのは中団待機からの差し馬。4角10番手以下の追い込みも度々利いて、展開は柔軟に考えて推理したい。
1番人気は不振
過去10年で1番人気は2勝と不振。昨年は7、9、8番人気、一昨年は9、4、12番人気の順で決着し、1番人気はともに7着と敗れて大波乱となった。6番人気以下の馬も3勝を挙げ、人気薄からでも狙えるレース。むしろ信頼できるのは本番よりも前走の人気で、前走1番人気が(6.7.6.23)のハイアベレージ。前走1番人気で重賞を勝ってきた馬は信頼度が高くなっている。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 2-2-1-5 | 20.0% | 40.0% | 50.0% |
2番人気 | 1-3-0-6 | 10.0% | 40.0% | 40.0% |
3番人気 | 2-1-2-5 | 20.0% | 30.0% | 50.0% |
4番人気 | 2-1-2-5 | 20.0% | 30.0% | 50.0% |
5番人気 | 0-0-0-10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
6~9番人気 | 3-3-3-31 | 7.5% | 15.0% | 22.5% |
10番人気~ | 0-0-2-83 | 0.0% | 0.0% | 2.4% |
過去10年、2着は全て関西馬!
ここ2年は関西馬がワン・ツー・フィニッシュ。その前4年は関東馬が連勝していて、過去10年では関西馬6勝、関東馬4勝。連対率、複勝率は関西馬が大きく上回るが、勝率は関東馬の方が上となっている。ちなみに2着は全て関西馬で、過去10年1度も連対は外していない。
騎手では栗東所属が6勝、美浦所属が4勝で、蛯名、岩田、M.デムーロ騎手が2勝。内田博騎手の1勝、3着2回、福永騎手の2着3回が目立つ。M.デムーロ騎手は集計対象前を含めて10回の騎乗で4勝と相性抜群。掲示板を外したのは1度しかない。また、過去10年2着は全て栗東所属のジョッキーで、連対率、複勝率は大きく上回る。
[キャリア]勝ち馬が出ているキャリアは4~7戦。特に4戦、5戦は4勝ずつと多くの勝ち馬が出て、アベレージも高い。今年は3戦無敗のサートゥルナーリア、ダノンキングリーが無敗での戴冠を狙うが、3戦の馬は2着、3着をそれぞれ2頭出ているものの、過去10年で(3-2-2-17)と勝ち馬はゼロ。そのジンクスを破ることができるか注目。また、8戦を超える馬は馬券絡みがなく、6戦、7戦の馬は勝ち馬が1頭ずつ出ているが、少しアベレージが落ちる。
[乗り替わり]昨年は前走と同じコンビの馬が1~4着。人馬の呼吸も大事な若駒の一戦とあって、アベレージで見ると乗り替わりはマイナス。乗り替わりで馬券圏内に入った9頭のうち7頭は重賞勝ちの実績があり、残る2頭も重賞で2着の経験があった。また乗り替わったジョッキーも百戦錬磨の名手ばかりで、騎乗馬に力があれば上位進出も可能だ。
[当該コースの騎手成績]2014年以降、中山2000mで最も多く勝鞍を挙げているのは26勝の戸崎騎手。2位が21勝のC.ルメール騎手だが、騎乗機会が戸崎騎手の1/3以下で、勝率39.6%、連対率56.8%、複勝率67.9%とアベレージでは圧倒している。以下、田辺騎手が18勝、内田博、蛯名騎手が17勝、そこから少し離れて柴山、吉田豊騎手が11勝、石橋脩騎手が10勝と続く。
[馬体重]中山で行われた皐月賞馬の最低馬体重は14年イスラボニータの462キロ。最高馬体重は17年アルアインの518キロで、好走馬の馬体重は幅広く、馬格はあまり気にしなくていい。中山というとパワーが勝ったタイプが強いイメージもあるが、良馬場で行われた16年、17年の勝ちタイムが1分57秒台という高速決着でイメージに固執すると危険。それよりも重要なのが、プラス体重で出走してきた馬の不振で、過去10年で勝った馬は1頭もいない。
[種牡馬]過去10年ディープインパクト、ステイゴールド、ネオユニヴァース産駒が2勝ずつ。キングカメハメハ産駒は1~3着が各1回。ディープインパクトとキングカメハメハ産駒は出走馬も多く、勝率は高くないが、コンスタントに産駒を上位へ送り込んでいる。
今年は出走馬がいないのだが、ルーラーシップ産駒が17年に2頭が出走して12番人気ダンビュライトが3着。昨年はサンリヴァル1頭が出走して9番人気2着と人気薄が2年連続好走。これは来年以降も覚えておきたい。