過去10年攻略データ

牡馬クラシックレースの初戦で、1939年にイギリス2000ギニーをモデルとした「横浜農林省賞典四歳呼馬(よこはまのうりんしょうしょうてんよんさいよびうま)」を創設。第1回は横浜競馬場の芝1850mで施行されたが、横浜競馬場の閉鎖に伴い、1943年からは東京競馬場の芝1800mへ、1949年から施行場を中山競馬場の芝1950mに移し、現在の「皐月賞」へと名称を変更。翌1950年から芝2000mで行われている。小回りかつゴール前に急坂があるトリッキーな中山コースで勝利の凱歌をあげるのはどの馬か? 過去10年のデータから勝ち馬を導き出してみる。(2011年は東京競馬場で施行)

トライアル組、そして…

[前走レース]過去10年で4勝ずつを挙げているのがトライアルのスプリングSと共同通信杯からの直行組。後者は元々クラシックの登竜門と言われていたレースだが、2012年からは出走機会4年連続勝利を挙げるなど好相性。そこで賞金を上積みして、ひと息入れるのが最近のトレンドとなっている。今年は上位3頭が間にレースを挟まず直接本番へ挑む。定番のトライアル組ももちろん要注目。弥生賞組は勝利こそ1回だが、2着馬が5頭、若葉S組は勝鞍こそないが、2着馬が3頭出ている。

前走レース別成績
レース名 成績 勝率 連対率 複勝率
スプリングS4-1-2-379.1%11.4%15.9%
共同通信杯4-0-1-733.3%33.3%41.7%
弥生賞1-5-3-322.4%14.6%22.0%
毎日杯1-0-0-109.1%9.1%9.1%
若葉S0-3-1-200.0%12.5%16.7%
アーリントンC0-1-0-20.0%33.3%33.3%
京成杯0-0-2-30.0%0.0%40.0%
きさらぎ賞0-0-1-80.0%0.0%11.1%
すみれS0-0-0-90.0%0.0%0.0%

前走着順別成績
前走着順 着別度数
前走1着8-5-4-52
前走2着2-3-2-26
前走3着0-0-2-21
前走4着0-2-0-8
前走5着0-0-0-6
前走6~9着0-0-2-21
前走10着~0-0-0-11

過去10年注目データ

[前走着順]過去10年、勝ち馬は前走2着以内で、中でも前走1着は8勝と、前走からの勢いは非常に重要。前走5着以下からの巻き返しは非常に困難で、馬券絡みは3着馬が2頭。09年セイウンワンダー、11年ダノンバラードともに重賞を勝っていた。

[枠順]枠番別では全ての枠で2回以上馬券絡みがある。連対率が最も高いのは2枠だが、6~8枠が2勝ずつを挙げていて、数の上では外めの枠がやや優勢。
馬番別で馬券絡みがないのは「1」と「8」の2つ。イチかバチか狙ってみるのも面白い!?

[脚質]小回りで直線の短い中山で行われるレースだが、過去10年で4角先頭から押し切った馬はゼロ。逃げた馬を見ながら進む好位勢の数字もいいが、アベレージで目立つのは中団待機からの差し馬。4角10番手以下の追い込みも度々利いて、展開は柔軟に考えて推理したい。

1番人気は不振

過去10年で1番人気は2勝と不振。昨年は7、9、8番人気、一昨年は9、4、12番人気の順で決着し、1番人気はともに7着と敗れて大波乱となった。6番人気以下の馬も3勝を挙げ、人気薄からでも狙えるレース。むしろ信頼できるのは本番よりも前走の人気で、前走1番人気が(6.7.6.23)のハイアベレージ。前走1番人気で重賞を勝ってきた馬は信頼度が高くなっている。

人気順別成績
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1番人気2-2-1-520.0%40.0%50.0%
2番人気1-3-0-610.0%40.0%40.0%
3番人気2-1-2-520.0%30.0%50.0%
4番人気2-1-2-520.0%30.0%50.0%
5番人気0-0-0-100.0%0.0%0.0%
6~9番人気3-3-3-317.5%15.0%22.5%
10番人気~0-0-2-830.0%0.0%2.4%

プラスαデータ

過去10年、2着は全て関西馬!

ここ2年は関西馬がワン・ツー・フィニッシュ。その前4年は関東馬が連勝していて、過去10年では関西馬6勝、関東馬4勝。連対率、複勝率は関西馬が大きく上回るが、勝率は関東馬の方が上となっている。ちなみに2着は全て関西馬で、過去10年1度も連対は外していない。
騎手では栗東所属が6勝、美浦所属が4勝で、蛯名、岩田、M.デムーロ騎手が2勝。内田博騎手の1勝、3着2回、福永騎手の2着3回が目立つ。M.デムーロ騎手は集計対象前を含めて10回の騎乗で4勝と相性抜群。掲示板を外したのは1度しかない。また、過去10年2着は全て栗東所属のジョッキーで、連対率、複勝率は大きく上回る。

[キャリア]勝ち馬が出ているキャリアは4~7戦。特に4戦、5戦は4勝ずつと多くの勝ち馬が出て、アベレージも高い。今年は3戦無敗のサートゥルナーリア、ダノンキングリーが無敗での戴冠を狙うが、3戦の馬は2着、3着をそれぞれ2頭出ているものの、過去10年で(3-2-2-17)と勝ち馬はゼロ。そのジンクスを破ることができるか注目。また、8戦を超える馬は馬券絡みがなく、6戦、7戦の馬は勝ち馬が1頭ずつ出ているが、少しアベレージが落ちる。

[乗り替わり]昨年は前走と同じコンビの馬が1~4着。人馬の呼吸も大事な若駒の一戦とあって、アベレージで見ると乗り替わりはマイナス。乗り替わりで馬券圏内に入った9頭のうち7頭は重賞勝ちの実績があり、残る2頭も重賞で2着の経験があった。また乗り替わったジョッキーも百戦錬磨の名手ばかりで、騎乗馬に力があれば上位進出も可能だ。

[当該コースの騎手成績]2014年以降、中山2000mで最も多く勝鞍を挙げているのは26勝の戸崎騎手。2位が21勝のC.ルメール騎手だが、騎乗機会が戸崎騎手の1/3以下で、勝率39.6%、連対率56.8%、複勝率67.9%とアベレージでは圧倒している。以下、田辺騎手が18勝、内田博、蛯名騎手が17勝、そこから少し離れて柴山、吉田豊騎手が11勝、石橋脩騎手が10勝と続く。

[馬体重]中山で行われた皐月賞馬の最低馬体重は14年イスラボニータの462キロ。最高馬体重は17年アルアインの518キロで、好走馬の馬体重は幅広く、馬格はあまり気にしなくていい。中山というとパワーが勝ったタイプが強いイメージもあるが、良馬場で行われた16年、17年の勝ちタイムが1分57秒台という高速決着でイメージに固執すると危険。それよりも重要なのが、プラス体重で出走してきた馬の不振で、過去10年で勝った馬は1頭もいない。

[種牡馬]過去10年ディープインパクト、ステイゴールド、ネオユニヴァース産駒が2勝ずつ。キングカメハメハ産駒は1~3着が各1回。ディープインパクトとキングカメハメハ産駒は出走馬も多く、勝率は高くないが、コンスタントに産駒を上位へ送り込んでいる。
今年は出走馬がいないのだが、ルーラーシップ産駒が17年に2頭が出走して12番人気ダンビュライトが3着。昨年はサンリヴァル1頭が出走して9番人気2着と人気薄が2年連続好走。これは来年以降も覚えておきたい。

データの決断

ホープフルSで圧巻の強さを見せたサートゥルナーリア、このレースと相性抜群の共同通信杯を制したダノンキングリーが無敗で激突。どちらが連勝を伸ばすのかが注目される皐月賞だが、ともに過去10年で勝ち馬が出ていないキャリア3戦。付け入るスキは十分あると見て、ここは連勝が止まった共同通信杯2着のアドマイヤマーズをプッシュしたい。共同通信杯を勝っていれば更に良かったが、臨戦過程は申し分なく、トリッキーな中山コースで柔軟な立ち回りができる脚質は大きな強味。鞍上・M.デムーロ騎手の意地にも期待したい。