騎手時代に約20万人が来場した90年ダービーをアイネスフウジンで逃げ切った中野栄治元調教師が、
独自の視点で重賞の好調教馬を導き出します!
【毎日王冠】30年前伝説のレースを目撃!レジェンドが語る歴史が変わった瞬間
2025/10/4(土)
| 当週 美浦ウッド(稍重) | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 65.5 | 51.1 | 37.3 | 11.4 | 馬なり | ||
先週のスプリンターズS、ウインカーネリアンの勝利は感慨深かったなぁ。なにしろ三浦皇成騎手のJRAG1初制覇だからね。
レース後にはお祝いの電話を入れたけれど、喜んでたよ。ケガで苦労が絶えなかったからね。喜びもひとしおだったと思う。改めて「おめでとう!」と言いたいな。
さて、今週は日本ではG1がひと休みも、海外ではいよいよ凱旋門賞だ。日本馬3頭にはそれぞれチャンスがあると思うし、頑張ってほしい。
その凱旋門賞は過去に観戦したこともあるんだ。いつの凱旋門賞かって?忘れた(笑)
代わりに今週は海外研修時の話をさせてもらおうかな。僕がアイネスフウジンでダービーを勝ってから3年後の1993年、調教師になるためにイギリスに研修に行っていたんだ。こっちは何年だったか覚えている(笑)
なんで覚えているかって、あのコマンダーインチーフが英ダービーと愛ダービーを制した年だったから。コマンダーインチーフはその後日本で種牡馬入りして、レギュラーメンバーなどG1馬を送り出している。
コマンダーの勝ったアイルランドダービーを現地で観戦していたら、スタンドで後ろにいた若い夫婦から「中野さんですよね?」と声をかけられてね。
本当にビックリした。アイルランドだよ?(笑)。聞けば日本人で某大手会社に勤めている派遣社員の方で競馬ファンだった。当時はドイツに滞在されていたんだ。
その縁で食事をすることがあったんだけれど、「今度ドイツに来てください」っていうものだから、2回目の研修先にはドイツを選んで、そのご夫婦の家で過ごさせてもらったんだよ。95年だからちょうど30年前だ。
そのご夫婦と一緒に行ったのが、ドイツのケルン競馬場で開催されていたバイエルン大賞。当時はアラルポカルというレース名でね。
その年に日本のジャパンCを勝つランドが人気になる予定も、ランドが急遽出走を取り消してしまったんだ。そんなレース前から波乱模様のレースを勝ったのがウインドインハーヘア。名前は聞いたことがあるんじゃない?そう、ディープインパクトのお母さんだ。
後にディープインパクトがあれほどの活躍を見せるなんて当時はまったく想像していなかったよ(笑)。「日本人でこのレースを見たのは僕らだけじゃないか」って話にもなったし、貴重な体験をしたね。
あっ、さっき言ったランドだけれど、この馬にもちょっとした思い出がある。まあこの話はジャパンCの時に取っておこうかな。
また前置きが長くなってしまった。今週は毎日王冠の話なのに全然関係なかったね(笑)
毎日王冠のナンバーワンはホウオウビスケッツだ。前走の札幌記念は十分乗り込んでいたけど、結果的には太めが残っていたと思う。
それに比べて今回は体にも締まりがあって、今週のウッドでの最終追い切りは終いちょっと気合を入れただけでスッと反応していた。上積みは大きいと思うよ。
サトノシャイニングはダービー以来なんだけれど、イイ仕上がりだね。跳びが大きい馬で、1週前のCWでは良いフットワークで伸び伸びと走っていた。
シリウスコルトも良かったよ。1週前の3頭併せでは前に2頭を置いて、道中は掛かりながらも、なだめながら2頭の間に入れて闘魂注入。そこからの伸びも良かったし、うまく立て直してきたと思う。
最後にエルトンバローズ。1週前はサトノシャイニングに遅れたけれど、時計自体は速かったし、頭を低くして推進力があった。1度使って変わり身は大きいと思うな。
オウギノカナメ
日曜は東京10Rのオウギノカナメを狙ってみたい。前走は14着と大敗してしまったんだけれど、からまれると良くないのは逃げ馬の宿命だよね。半周コースですんなりハナならまた違うと見る。
プロフィール

【中野 栄治】Eiji Nakano
1953年大分県生まれ、東京都出身。父は大井の元調教師という家庭で育ち、1971年に騎手デビュー。数多くの活躍馬に騎乗し、約20万人が詰めかけた1990年日本ダービーをアイネスフウジンで逃げ切り伝説を作る。1995年には調教師に転身。短距離G1を2勝したトロットスターなどを育て、日本競馬にその名を残した名ホースマン。




