
競馬YouTuberとして一躍名を挙げ、各媒体に引っ張りだこの佐藤ワタルが、地方&海外レースを展望。若くして人並み外れた知識量、分析力を披露する。
【南部杯】豪華メンバー集った一戦は展開利見込める馬!
2020/10/11(日)
コースのポイント!

小回りコースが多い地方競馬場の中でも、盛岡競馬場は異質の存在と言える。芝コースの外に存在するダートコースはコーナーの幅も大きく、直線も300mあることから、どちらかといえば地方競馬場というより東京競馬場のイメージで臨みたいコースだ。
スタートから3コーナーまで上り坂となり、3コーナーから下り坂。そこからロングスパート勝負となるため、求められるのは末脚のキレだけではなく、持続力。近年の勝ち馬であるコパノリッキー、ルヴァンスレーヴは共に2000mのG1を制している点に注目したい。
◎サンライズノヴァ
以前はローテーションや展開を問う馬だったが、ここ1念で完全に本格化。先行策まで取れるようになった。昨年の南部杯は5番手追走から早めに動いて差し切るこれまでにない形。もしかすると盛岡のコース形状自体が合っている可能性がある。
今年はフェブラリーS3着の後に挑んだかしわ記念で、スローペースの影響を受けて届かず3着。前走のプロキオンS差し切りもそうだが、この馬は中盤が締まるレースのほうが合う。前がやり合えばちょうどいい展開となりそうだ。
○モズアスコット
18年の安田記念覇者で、今年のフェブラリーSで芝、ダートのG1を共に勝つ快挙を成し遂げた。4走前の根岸Sで初めてのダートながら圧勝し適性を証明。フェブラリーSも圧勝だったのだが、前走のかしわ記念では6着な敗れてしまった。
考えられる敗因としては一周コースが約3年ぶりだったこと、そしてスローペースが合わなかったことが考えられるが、精神的な問題の可能性も残されている。横山武史騎手とは初コンビ。新味が出せるかどうか。
▲ワイドファラオ
2走前のかしわ記念で初G1制覇を果たした新鋭。昨年秋はみやこS5着、チャンピオンズC14着と実績馬の壁に阻まれてしまい、今年も根岸S5着、フェブラリーS12着と、一線級相手では厳しいかと思われていたが、かしわ記念では楽に先手を奪うとマイペースに持ち込み、直線で更に突き放すレースぶりを見せてG1ウィナーの仲間入り。
前走は距離が長いと思われていた帝王賞でも、展開利があったとはいえ4着。距離短縮はプラスで、インティとの兼ね合い次第で上位食い込みはある。
△アルクトス
マイルの高速決着になればこの馬にとっては好都合だろう。昨年の南部杯では1.34.5の好時計で2着。その前のプロキオンSでは時計勝負の一戦を1.21.2の好時計で勝っている。コーナーワークに難があるのか、ここ2年の連対5回は全てワンターンのコース。そういう意味では札幌の1700mから距離短縮は大きなプラスと言える。2走前のかしわ記念はそこまで速いダートでもなく、スローペースの影響もあった。高速馬場でペースが流れれば前進はある。
△インティ
昨年のフェブラリーS勝ち馬。それ以降勝ち星からは遠ざかっている。ただ敗因は明確で、5走前の帝王賞は距離。4走前のみやこSは超ハイペースに巻き込まれてしまった。前走のフェブラリーSはハイペースに加え内枠。揉まれないレースを好むだけに外枠か逃げたほうがパフォーマンスが上がっている。初コンビの戸崎圭太騎手がどう乗ってくるかに掛かっているだろう。
△ゴールドドリーム
17年チャンピオンズカップから昨年のチャンピオンがカップまで4着以下が一度もなかった堅実派。以前ほどのパフォーマンスではないものの、前走の平安Sでは58kgを背負いながら強力メンバー相手に3着に踏ん張った。距離短縮は間違いなくプラス。問題は休み明け。昨年の南部杯も5月以来の実戦で3着に敗れたように、以前から休み明けはポカがあるタイプ。年齢的にも休み明けは少々不安が残る。
△モジアナフレイバー
大井生え抜きのエース。歳を重ねて競馬が上手くなっており、昨年の帝王賞こそ5着だったものの、秋の南部杯はあわやの4着。勝島王冠も楽な競馬で勝利するなど、その力は中央勢と互角のレベルに達している。
今年はドバイ中止の影響でドバイまでカラ輸送となってしまった不運があり、帝王賞は仕上がり途上で完敗。立て直し、復帰戦の千葉ダートマイルは馬なりのまま圧勝した。ただ、まだ良化途上だけに昨年ほどの状態にはないと思われる。
プロフィール
佐藤ワタル - Wataru Sato
1990年山形県生まれ。アグネスフライトの日本ダービーを偶然テレビで観戦して以降、中学生、高校生、大学生と勉学に勤しむ時期を全て競馬に費やした競馬ライター。『365日競馬する』を目標に中央、地方、海外競馬の研究を重ねている。ジャンルを問わない知識は、一部関係者に『コンビニ』とまで評されている。早稲田大学競馬サークル『お馬の会』会長時代に学生競馬団体『うまカレ』を立ち上げたり、北海道の牧場などに足繁く通うなど、若手らしい行動力を武器に、今日も競馬を様々な角度から楽しみ尽くしている。現在はサラブレ、一口クラブ会報などでも執筆中。血統派で大の阪神ファン。甘党でもある。