チャンス襲来

奇跡が起きた。そう、我らが阪神タイガースが今日6月2日(土)の西武戦で、なんと10得点を奪って快勝したのである。

交流戦が始まって4試合で奪った得点はわずかに5点。その脆弱な攻撃力からサッカーチームのような得点力と揶揄されるなど、もはや阪神ファンのほとんどが諦めムードだった。

1点ビハインドの6回表、2アウト満塁のチャンスで4番の糸井選手に満塁ホームランが生まれ、逆転。そのまま逃げ切った。ここ最近、満塁はしっかり潰して台無しにしてきた阪神にとって、満塁はチャンスではなく、むしろピンチであった。打った瞬間はちょうど東京12Rが始まろうとしていた時だったが、思わず取材中に声が出てしまったのは言うまでもない。

ただまだ状況は芳しくない。この攻撃力が今回限りでないことを願うばかりだ。

阪神と一緒というわけではないが、土曜は筆者の馬券成績も逆転勝ち。7R終了段階で何も当たらずふてくされていたところ、8Rから当たり始め、メインレースで逆転、プラスで1日を終えることができた。コラム推奨馬3頭は全て3着以内。日曜もこの調子を持続させたいところだ。

安田記念(G1)は◎リアルスティール。安田記念と言えばペースが速くなることで父サンデーサイレンス系は切れ味を活かすことができず、過去に何度も人気を裏切ってきた『歴史』があるが、今年に関してはハナ候補ウインガニオンが大外に入ったことで、そこまでペースも上がらないはず。そうなるとチャンスが出てくるのは父サンデー系のディープインパクト産駒である。

以前リアルスティールは今回と同じくドバイターフから安田記念に挑み、11着に敗れた。あの時は少頭数の8枠で前に壁を作れず思いっきり掛かってしまった。それに加えて緩い馬場と緩いペースで持ち味を活かすことができず、参考外と言っていいだろう。欧州マイル女王ミエスクを祖先に持つ馬で、近親にも名マイラーが多いだけに、マイル短縮がマイナスだとは考えにくい。

○はサトノアレス。前走京王杯SCはその次に安田記念が控えていたこともあり、あえてスタートから出さずに乗っての3着。負けて強しという内容だった。反応が良く内枠を苦にしないタイプのディープ産駒で、枠に特に不安はない。折り合いがつけばこの相手でも戦える。

同じく折り合い次第になりそうなのは▲モズアスコット。元々連闘を視野に入れていた調整だったことからローテーション自体に抵抗はないのだが、今回は距離延長が不安材料。ポテンシャルはGI級でこのメンバーでも戦える力はある。元々距離短縮してパフォーマンスを上げてきた馬だけに、折り合い一つだろう。

悪くない枠の並びとなったアエロリット、復帰後2戦の内容、そして血統的に安田記念が合っていそうなキャンベルジュニアあたりの一発にも期待したい。

<安田記念 最終結論>
◎ ⑪リアルスティール
○ ②サトノアレス
▲ ⑩モズアスコット
☆ ④アエロリット
△ ①⑤⑧⑨⑫⑭⑮

阪神11R・グリーンSは降級戦で人気になりそうだが◎レジェンドセラー。昨年以降挙げた3勝は全て右回りのように、この馬は右回りのほうがパフォーマンスが上がる。今年1月のアメリカJCCは7着だったものの、距離不足に加えて展開的にも厳しいレースであった。今回は阪神外回り2400m替わり。昨年末、この舞台で行われたオリオンSで準オープンクラスを卒業している相性のいいコース替わりで前進を狙う。

日曜は難解なレースが多いが、東京10R・由比ヶ浜特別は◎ティルナノーグで攻めてみたい。2歳時はクラシック候補だったこの馬も、歳を重ねるにつれて母系の血が出てきたのか適距離が短くなりつつある。3着だった今年2月の周防灘特別は距離短縮で後方からじっくり脚を溜めてのものだった。今回も距離短縮でじっくり脚を溜めれば見せ場を作れる可能性は十分だ。名手の手綱捌きに期待したいところである。

阪神10R・洲本特別はこれまた一発を狙った◎ドルチェリア。初めての半周競馬、初めての1400mとなるが、元々集中力が課題の馬で、一周コースでは取りこぼしが多いタイプ。母テンザンデザートは現役時代ラベンダー賞や菜の花賞を勝ったスプリンターで、距離短縮はむしろプラスではないか。揉まれない外枠もいい。休み明けも苦にしない気性だけに、間隔が空いているのも気にならない。新しい一面が見られることを期待したい。

さて、阪神タイガースの明日6月3日の予告先発は藤浪投手。大器と言われた逸材もここ数年伸び悩んでおり、2軍落ちを経験するようになった。しかも相手の西武ライオンズの予告先発は、昨年まで阪神タイガースの一員であった榎田投手である。2軍落ちを経験した藤浪投手が自らの課題と向き合い、新たな一面を見せてくれることを期待したいところだ。