大井の大先輩・戸崎圭太を目標に

-:乗っていて、その他に意識していることはありますか?

笹:馬のリズムは崩さないようにしたいなと。いくら前が有利だと言っても、無理やり行って馬のリズムが崩れてしまったら、それは違うかなと思うので。ファンの人から見ると「何で行かなかったの?」と思われるかもしれませんが、そこは大事にしていきたいところですね。圭太さん(戸崎圭太騎手)の競馬を観ていると、そういうところがすごく上手です。すごくお手本のような感じなのですが、近付けられれば。

-:昔から戸崎さんとはしゃべらせていただく機会があったのですが、騎乗で何をテーマにしているのかを聞くと、常に「リズムだ」と。

笹:圭太さんの競馬を観ていると、多分そうだと思いますね。

-:あとは「レースの組み立てだ」と仰っていましたが、以前、聞いた時には「笹川君は若いのにレースの組み立てが違うな」と言っていました。

笹:どうなんですかねぇ、ハハハ(笑)。本当に圭太さんはすごいですよね。中央に行っても崩れないというか、やっぱり人間はどうしても調子が良いとか悪いとかがありますが、圭太さんは波がないというか、いつも良い競馬をしているイメージがあるので。それってすごいことですよね。

「少なくとも1年被っておきたかったですねえ。僕が実習生の時、圭太さんが大井では最後の頃でした。一緒に併せ馬とかをして、『うわっ、すごい』と思って。その時は『戸崎圭太騎手と併せ馬をしている』という感じで」

-:やっぱりあれだけ成績を残すには理由があるんですね。

笹:あるんですね。やっぱり良い馬に乗っているからとかじゃないと思いますよ。

-:いつ聞いても、本人は毎回「良い馬に乗っているから」と言いますけどね。

笹:自分ではそう言うけど、それだけじゃないと思います。

-:この前も「最近の若手で目に付く子は誰ですか?」と言ったら「笹川君」と言っていましたね。

笹:いえいえ、そんな(笑)。

-:直接話す機会はあまりないですか?

笹:いや、(南関に)来たら……。でも、そこまでしゃべっていないかな。僕、ちょうど被っていないんですよね。

笹川翼

-:2013年に入れ替わりと。

笹:少なくとも1年被っておきたかったですねえ。僕が実習生の時、圭太さんが大井では最後の頃でした。一緒に併せ馬とかをして、「うわっ、すごい」と思って。その時は「戸崎圭太騎手と併せ馬をしている」という感じで。だから、関わりはほぼないですね。ただ、僕が中央に乗りに行くと、すごく面倒を見てくれるというか、やっぱり色々と教えてくれますね。コースの特徴を教えてくれるので、すごく憧れというか、カッコ良いというか。

-:やっぱり一目置いているんですね。

笹:人間性も素晴らしいというか、カッコ良いなと思いますね。

-:それを継げるような存在になりつつあるのかなと。

笹:いや、なりたいですね。ちょっとでも近付けるように。

ゆくゆくは確固たる理論を

-:先ほど「感覚派だ」とおっしゃっていましたが、日々の鍛錬というか、そういったケアをしていることはありますか?

笹:トレーニングというか、土日のうち週1回はマッサージと体幹トレーニングをちょっと入れてやっているくらいですかね。行けない週もありますが、なるべく行くようにはしています。

-:このところは騎乗数も相当に増えていますからね。

笹:そうですね。1開催6日競馬だと時間がないから、本当に止めて欲しい、フフフ。いや、冗談ですよ(笑)。でも、お盆はお客さんが入っているし、ありがたいですね。

-:6日競馬は大変だと他のジョッキーも仰っていましたが、それだけにタフですよね。先ほど中央に来た際の話がありましたが、中央での騎乗数が大体10戦ほどです。感触というか、印象はいかがでしたか?

笹:芝は良いですよね。芝は軽いですし、乗っていて気持ちが良いですしね。競馬はこっちと違う感じですよね。距離も向こうの方が長いですよね。そんなに出して行かないというか、それこそリズムじゃないですけど、大事なのだなと思いますよね。

-:乗っている限りでは、そこまで感覚の大きなズレとかまでは感じるほどではなかったですか?

笹:そこまでではないですね。まあ、こっちでやっていることの延長線という感じかな。でも、コースによっても違いますし、沢山乗ったらまた難しさを感じるのかもしれません。

笹川翼

▲今年はヴィクトリアマイル当日にJRAで騎乗

-:基本的に、初モノに対してネガティブには捉えないタイプですね。

笹:ですね。

-:やっぱり勝負師向き。

笹:フフフ、イチかバチかみたいな感じじゃないですか。

-:その勢いで、これからも成績を上げていきたいですね。

笹:勢いに基づきつつ、理論みたいなものを確立していければ良いですけどね。

-:ちなみに、まだ3/4ほど残りはありますが、今年の成績を振り返っていかがですか?

笹:(成績表を見ながら)う~ん、2着が過ぎません?2着ではダメなんですよ。何かやっぱり甘いんですよね。

-:その2着を抜け出すには。

笹:やっぱり競馬の組み立てとか、仕掛けどころとかじゃないですか。それが大事だと思います。今日(8/16)も3回あったし、しかも差し返されて、「えっ~」と僕もビックリしました。でも、あれも仕掛けどころ一つで違う感じなので、またシッカリと(映像を)見て、明日また同じ失敗をしないようにしないといけないですね。

-:フランスでは新たな経験が待っています。そして、ここまでも素晴らしい成績を残していながら、まだまだ高い志を持っていることを聞かせてもらいました。改めてファンに向けて、ここを見て欲しい、というところがあれば教えて下さい。

笹:今までは新人という扱いだったでしょうが、今後は奥深い騎乗を目指していきたいです。その変化を見てもらいたいですね。それに伴って成績も出せれば。今も見てくれると思いますが、そこをちょっと注目して見てもらいたいですね。考えて乗ってはいますのでね。

-:また、フランスの土産話もお聞かせください。よろしくお願いします。

笹:そうですね。ぜひ、よろしくお願いします。

笹川翼