大本命と目されていたダノンプレミアムが1週前に回避を表明。一転して様相がかわった2018年の皐月賞。デニムアンドルビーの全弟・キタノコマンドールと名牝ビリーヴの子・ジャンダルムという良血2頭を擁するのは名門・池江泰寿厩舎。ディフェンディング・チャンピオンが混戦を断つのか。個性と伸びしろに富む両騎の魅力を陣営に直撃した。

－：皐月賞(G1)にキタノコマンドール(牡3、栗東・池江寿厩舎)、ジャンダルム(牡3、栗東・池江寿厩舎)を送り込む池江厩舎ですが、まずは2連勝中のキタノコマンドールについて伺いたいと思います。その前に、ダノンプレミアム(牡3、栗東・中内田厩舎)が挫跖ということで、本命馬が1頭抜けるアクシデントが起きました。

兼武弘調教助手：そういう状況になりましたね。陣営のことを思うと、悔しいだろうなと思いますし、残念ですね。

－：そういう状況で挑む3歳牡馬クラシックとなります。キタノコマンドールは新馬戦の勝ちタイム(2分6秒1)が決して速くはなかったので、2戦目がどうかと思ってみていましたが、2戦目のすみれSはこの馬が強いことを証明しましたね。キタノコマンドールのデビュー前の評価と、デビュー戦を振り返っていただけますか。

兼：デビュー前は歩様に硬さが見られたので、どこまでやれるのかという思いがあったのですが、ジョッキーからは追い切りは悪くないという評価は得ていました。それでも、半信半疑といったところだったのですが、いざ競馬に行ってみたら、馬群の先頭に取りつく脚にものすごいモノがありましたからね。

厩舎の

－：これぞディープインパクト産駒という切れ味がありましたね。走っている姿を見ても、MAXで走っている時はそれほど硬いという印象はなかったですね。

兼：それは見られなかったですね。最後は内にヨレましたように、そういう課題もまだ残していましたけど、新馬だったからと言えるところもありますしね。

－：血統的にお姉さんがデニムアンドルビーということで、終いの瞬発力がある馬だと思うのですが、似ているところ、似ていないところをお気づきになったら教えてください。

兼：厩舎も違うので気性的なものは分からないのですが、こちらは普段オットリして、大人しい感じで、扱いやすい馬と思っています。

－：調教での終いの切れはどうでしょう。

兼：普段は、終いを尻上がりにラップを上げていく、いつもの池江厩舎のやり方でやっていますし、追い切りに関して言えば、ギュッと来られるように普段から調教はしています。

－：初戦と2戦目で調教内容を工夫したということはありましたか。

兼：初戦を使って放牧に出したのですが、初戦の時は追い切り後にちょっとケアして、体を回復させる期間を長めに取ったところがありました。前走に関して言えば、そこまで気を遣うことはなく、他の馬と同じメニューを消化出来ていたんじゃないかなと思います。まだ2戦しかしていないですが、前走で言えば、新馬戦の時よりは良くなった感じですね。

－：前走は新馬戦の時と比べたら、時計的には格段に速かったですね。

兼：そうですね。ペースが速くなった上で対応してくれたので。

－：しかも、距離も延びた上で上がりがコンマ3秒しか遅くないということは、この辺は素晴らしいですね。

兼：後ろからになって、長く脚を使っていましたから、それでも差し切れるという脚を持っているというのは良いことですね。

－：新馬戦と比べると、前半のラップで言ったら、4秒くらい違うのですが、それでも同じような脚で来るというあたりは、やっぱり使っての上積みがかなりあったということでしょうね。

兼：まあ、そういうことかもしれないですね。もともと持っている潜在能力が相当高いのかもしれないですし。

－：使ってみて、普段の歩様とかに何か変化はありましたか。

兼：新馬戦を使う前の歩様と比べたらマシですけど、やっぱり硬さは見せますよね。今回、4月5日に1週前追い切りをして、負荷をシッカリ掛けたのですが、さすがに多少の硬さは見られますね。

－：それは、シッカリ負荷が掛かったということですか。

兼：掛かった部分だとは思いますけどね。それをどのように回復させていくか、といったところですね。

－：それは、この馬の癖じゃないけど、キャラ的な一面だとこちらは捉えておいて良いですか。

兼：そう思っておいてもらっても良いかもしれないですけどね。

「他の馬と比べて、明らかにキャリアも浅いです。頭数が前回と違って増えますし、そういった状況に置かれて、どう対応出来るか、といったところが鍵になってくると思います」

－：結果が出ていますし、その歩様の硬さがレースでネガティブな方に行っているのだったら、話は別ですけど、多分走らせた方が良いフォームで駈ける馬だということですね。体重に関しては、新馬戦から－4キロとほぼ変わりなくつくられてきたようですが、今度はG1初挑戦ということで、馬体重的には絞るのか、輸送を考えてどうするのかというところを知りたいのですが。

兼：馬体重に関しては、もちろん3歳のこの時季ですし、増えて当然だと思っています。あまり深く馬体重に捉われることなく、この馬のベストコンディションで出せればといったところですね。

－：調整に関しては、今週の追い切りをビッシリやられて、来週はどうなりますか？

兼：調整程度くらいで良いかと思います。

－：これまで皐月賞に出走する馬たちというのは、だいぶライバルが絞られているとは思うのですが、僕らファンが注目するのは、キタノコマンドールがどの辺りまで通用するのかなというところがあるのですが、どういう感触でしょうか。

兼：まだ他の馬と比べて、明らかにキャリアも浅いです。頭数が前回と違って増えますし、そういった状況に置かれて、どう対応出来るか、といったところが鍵になってくると思いますし、もちろん対戦していない馬も多くいる中で、どれくらいのところまで来られるのか、やれるのかをポテンシャル的には楽しみにはしていますけどね。

－：期待値はかなりあるということですね。

兼：そうですね。期待感はあります。挑戦者という意味合いでは楽しみですね。

－：中山の直線で、キタノコマンドールの末脚が炸裂することを期待しています。

兼：はい、ありがとうございました。

叩いて上昇気配 ホープフルSの借りを返したいジャンダルム
皐月賞・池江寿厩舎陣営インタビュー(2P)はコチラ⇒