2400mなら勝つ。ラッキーライラックは断然人気を背負った桜花賞で2着に敗れたが、前半1000m通過58.7秒という速めの流れを先行して1頭だけ粘った。担当の丸内永舟調教助手は、1600mよりオークスの2400m向きと断言。最内枠を引いて競馬の選択肢がなかった桜花賞のリベンジにかける手応えを聞いた。

桜花賞は「これで負けたらしょうがない」

-:オークス(G1)に向かうラッキーライラック(牝3、栗東・松永幹厩舎)について、お聞きします。1番人気に推された桜花賞は期待されていたのですが、勝ち馬(アーモンドアイ)に1馬身3/4差、及ばませんでした。

ラッキーライラック桜花賞前のインタビューはコチラ⇒

丸内永舟調教助手:やっぱり1番人気の1番枠という条件で、枠順発表されてからレースが難しくなりましたね。「1番枠は桜花賞で何年も絡んでいない」など、色々なデータや不安説もあり、結果的にこの馬には不向きなレースをしたんですよね。包まれないためにゲートから出して先行させなきゃいけなくなる、そうしたら元々ゲートが速い馬なので、トップスタートを切ってしまい、瞬間的にハナに立っている感じになりました。それを抑えて下げたというところで、ハミを若干噛んだんですよ。流れ的にも(1000m通過が)58秒7で行って、上がりが34秒5。終い鈍った、と言われるけど、58秒7で行って、33秒台で上がったら、勝ち時計が(1分)32秒台になりますよね。アルテミスSと被りましたね。あの時も、2戦目でゲートを出したら速すぎて、抑えて若干力んで最後鈍って……。

丸内永舟調教助手

桜花賞前に続き丸内永舟調教助手にラッキーライラックについて伺った

-:ただ、アルテミスSの時とは直前の過程が全然違っていて、体調の度合いからしたら、桜花賞の方がだいぶ良かったと思います。1枠1番という極端な枠順で、やれることは限られる状況でしたから。

丸:頑張ったと思うし、振り返ればやっぱり強いなと思いました。結局、前に行った馬は上位にいないですし、しかも、当日の7レース(芝1600m戦)を(松永幹夫)先生と控室で観ていて、外から差したんですよね(勝ち馬バティスティーニ)。ユタカさんが内で粘っていたんですけど、内も止まりはしないけど伸びる馬場ではなかったし、外の方が伸びる馬場だった。

「1番枠だから外に出すのも……」という話をしていました。結果「完璧に乗った」と言われますから。ジョッキーの心理も2頭では違いますよね。ラッキーライラックは上手く乗って当たり前の状況、勝ち馬アーモンドアイは、もし出遅れて届かなくても人気通り。やっぱりそういう心理というか、2人が積み上げてきたものの差なんだろうけど、観ていてかわいそうに思いました。

-:丸内さん自体もかなりヘコんだレースだったと思うのですが。

丸:いや、そんなことはないですよ。帰ってきて、時計を見て、これで負けたらしょうがないなという感じだったので、(石橋脩)ジョッキーもしんどかったと思うしね。

-:自分の悔しさというよりは、むしろ馬のこと石橋ジョッキーに気配りできる余裕が、まだあったということですね。

丸:余裕があったというか、落とすとしたらマイルのここ、という思いも心の奥にはあったんですよ。

ラッキーライラック

「落とすとしたらマイルのここ、という思いも心の奥にはあったんですよ。長い距離を走る馬に急かした競馬をすると取りこぼしは出てくるんです」


-:それは、馬が持っている特性がマイルでは少し短いから、ということですか?

丸:そうですね。やっぱり昔やっていたアムールブリエなどもそうだけど、長い距離を走る馬に急かした競馬をすると取りこぼしは出てくるんです。

-:それでも、ラッキーライラックならやってくれるんじゃないかと思っていたファンも多くて、1馬身3/4で負けた結果を見たら、あの時ああ乗っていたら勝てたんじゃないか、極端にもっと中団から行ったらどうだっただろうか、など考えられるかと思います。

丸:そういう選択肢を与えてもらえなかったのが1枠1番。圧倒的な人気馬というのもあったから。

-:負けはしましたけど、逆に。

丸:「強いわ」という思いはありますね。

距離が延びてこそ良さが出る

-:ラッキーライラックのゲートの良さや出して行こうと思ったら出して行けるところなど、改めて分かったのが桜花賞だったと思います。短期放牧を挟んで帰ってきて、丸内さん自身が乗られて2週前追い切りをCWコースでやられましたが、どんな感触でしたか?

丸:やっぱり良いなとは思いましたし、中間も急かさなくて良いんだという感じで乗っています。折り合い面だけ気にして、馬の後ろで我慢をさせるように乗っています。前まではやっぱり抑えなければいけない場面もあったんですけど、今はちゃんと折り合って後ろで我慢しています。ゴーサインを出せば行ってくれるので、これで良いなと思っています。

ラッキーライラック

5月9日、オークスに向けて1週前追い切りを消化した

-:馬場入りは正面から入られたのですか。

丸:いや、今週は向正面で、本当に2周目で追い切る感じです。だから、いつもの正面から出る追い切りよりも半周長いんですよ。しかも、2周目の大外を回っているから、けっこうな負荷を掛けている。

-:CWコースで1周目のゴール板を通る時も観させていただきましたけど、すごく落ち着いていましたね。

丸:ノビノビしていましたね。ゆっくりのスピードでも行きたがったりしないので。

-:あのスピードでも折り合えているということは、距離が延びてこそ良さが出るということですね。

丸:そうそう。

-:それで、直線に向いて抜けてきた訳なんですけど、その時の追い出してからの反応はいかがでしたか?

丸:反応は良かったし、前の馬とその先にあるゴール板を見ていていました。1回目の追い切りなので、坂路でいうと54~55秒というあたりの時計をイメージしていました。

-:2週前ということで逆算すれば、あと1~2本やって良くなるというところですね。

丸:前回も前々回もそうですけど、大体2週前追い切りは何かやっていくんだぞ、という準備の追い切りだから、あれくらいで良いんじゃないかなと。

初の2400m「向くと思っています」
ラッキーライラック陣営インタビュー(2P)はコチラ⇒