ブラックバゴが得意の小回りコースで初重賞制覇を狙っている。3歳春までクラシック戦線の重賞で活躍しながら低迷したが、ノド手術の効果と後方から末脚を活かすスタイルに変わってから成績が上昇した。古馬になってからの3勝はすべてコーナー4つの2000m戦。斎藤誠厩舎2頭出しのもう1頭、クラウンディバイダも担当する久保勉厩務員が、初重賞制覇への『秘策』を語ってくれた。

－：函館記念(G3)に出走するブラックバゴ(牡6、美浦・斎藤誠厩舎)についてうかがいます。この馬の普段の性格はどうですか？

久保勉厩務員：普段はおっとりしていますよ。このまま顔を触ってもいいくらい。全然平気ですよ。

－：さっきから見ていると、凄くかわいいですよね(笑)。

久：全然競馬と違うんですよ。

－：どこからスイッチが入ってきますか？

久：馬場に入る前かなぁ。地下馬道とか、ここだと観客の前を通るところで一気にスイッチが入ってくる感じがありますね。

－：装鞍所ではどうですか？

久：程よく入りますけど、返し馬に行く前が一番キツイですね。

－：彼なりのスイッチがあるんですかね(笑)。

久：そうでしょうね。返し馬もドーンと入っていく感じで行って、競馬では進んでいかないですよね。その辺が3歳の時とは全然違ってきたかなという感じはありますね。

－：3歳の時は逆に…。

久：前めの方へ行って、道中も掛かって掛かって。

－：結構引っ掛かっている印象がありましたね。

久：青葉賞の時とかね。あれで4着に来れるんですから、力はあるのかなと。

－：その頃より競馬の形が定まってきたというのはあるんですか？

久：どちらかといえば、終いを生かす方がいいですね。板に付いたのが去年のアメジストSかな。乗っていた石橋(脩騎手)も「前へ行くよりは後ろからの方が」と言ってくれたので。元々ゲートもそんなに速くはないのでね。飛び出したらガツンと掛かっていくような感じだったので。

－：アメジストSの時は、けっこう時計も速かったですよね。

久：速かったですね。あの後に前めに行ってもらったら「後ろからの方が良かったよ」と言っていたので。ノドの手術をして、それが良くなって。そこからこうやって走るようになってきたから、多少なりとも苦しいところがあったんじゃないかな。

－：馬場的なところはどうですか？

久：去年も走っている場所だから苦にはしないと思いますけど、あとは半年ぶりがどう出るかですね。鞍上も岩田くん(康誠騎手)で期待できるので、頑張ってもらいたいなと思いますね。

－：日曜日は雨が降るという話です。

久：こっち来てからもずっと雨ですもんね。雨、重馬場も経験しているので大丈夫だと思います。切れる馬だからと言われますけど、どちらかといえばロングスパートをかけて、自分から動いていった方がいい感じはありますね。

－：終いから来ていると切れていると思われますけど、そうではなく…。

久：マクリ加減で行った方がね。

－：前にいると持続力があると言われますけど、そうではなくて。

久：後ろからでも長くいい脚を使えると思います。あとはフルゲートになってからの競馬がどうかですね。

－：そういうタイプだと捌きづらいですか？

久：そうそう。モタつくところもたぶん出てくると思いますけど、そこは鞍上も知っているだろうから。

－：コーナリングの巧さとかは感じますか？

久：悪くはないですね。中山でも去年の函館でもうまい具合に立ち回ってくれているのでね。その辺は心配ないと思います。

－：脚元とかはどうですか？

久：これだけ調教をこなしているので、今のところ心配はないですね。

－：ツメは結構しっかりしていますよね？

久：そうですね。体が大きい割にはガチッとしっかりしているからね。

－：枠は選びますか？

久：そればかりはね。内枠だったら嫌かな。

－：それは捌き方の問題ですか？

久：その問題は出てくると思う。

－：内に入って精神的に…、とかはありませんか？

久：それはたぶん大丈夫だと思いますけど、内枠はちょっと避けたいなと思います。だいたいそんな事を言っていて内枠みたいなパターンで(笑)。

－：今はシルク(レーシング)がヒットしていますけど、その先駆けのような感じがありますよね。

久：シルクさんもいい馬を抱えていますからね。その中で、この馬もいい結果を出せれば。

－：普段はおとなしいということですが、レースではメンタルの特徴が強い馬だと思います。特にケアしているところとか注意されているところはありますか？

久：元々カイ食いが細くて、ここまで増えなかったですね。これも去年の年明けから食べられるようにはなってきましたね。もうちょっと華奢だったと思いますよ。

－：今数字を見たら一気に上がっていますよね。

久：ドーンとね(笑)。実が入ってきているのかな。

－：これくらいあって芝だと脚元が心配になってきますよね。

久：今のところ全然問題ないですね。飛びもきれいだし、かといって小回りで窮屈そうに走っている訳でもないので。この馬なりに器用なところがあるんでしょうね。

－：ジョッキーも選ばない馬ですね。

久：こういう感じの馬だから続けて乗ってもらった方がいいですよね。でも、京都の時も池添(謙一騎手)があんな感じで乗っていましたからね。たぶんスタートして進んでいかないんでしょうね。促していかないとダメだった言うくらいですから。どこからかでハミを噛むんでしょうね。以前ならガーッと行っていたところが抜けてきていますから。

17年11月に重馬場で行われたアンドロメダSを勝利

－：今回は前へ行くパートナーもいます。

久：速そうですよね、今回。うまい具合に展開が向いてくれないかと思うんですけど(笑)。どっちも走るので頑張ってもらいたいですね。

－：もう1頭は他の方が？

久：僕です(笑)。(クラウン)ディバイダも。

－：たまたま池添厩舎に昨日行ったんですけど、1頭回避しましたが、2頭同じで。

久：ウチは出ますので、前がどれだけ引っ張ってくれるかで、いいところはありそうですけどね。どちらも具合がいいので頑張ってほしいですね。

－：凄く穏やかないい顔をしていますね。

久：それが競馬に行くとグッと力んでいる顔をするんですよ。

－：日曜日、その顔も楽しみにしています！

巴賞4着からの巻き返しを狙うクラウンディバイダ