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年明けて完歩が合わず「跳びが大きくなった」

-:年明けの変化はどうでしたか?

藤:1月26日に帰厩しましたね。弥生賞に向けて調整していく過程を振り返ると、調教助手や乗り手1人1人に時計感覚ってあると思うのですが、僕は馬の完歩を数えるんですよね。それが全然合わない……。年明けから合わなくなって、あの馬の一歩が少し大きくなっていたのか、歩幅が変わっていたのです。けっこう大きくなっていたので、馬の成長もありますし、良いのか悪いのかはやってみないとわからないなとは思っていたのですけど、跳びが大きくなっているのは間違いなかったですね。

藤本純調教助手

▲ワグネリアンの追い切りに騎乗する藤本助手(2月撮影)

-:完歩の変化がみられた状態で弥生賞にいって2着、皐月賞も7着に敗れてしまいました。敗因はどう感じられますか?

藤:弥生賞は言い方こそ悪いですけど、トライアルでしたから。もちろん勝ちたかったですよ。しかし、一線級を相手にどこまで末脚が通用するのか、どういう競馬をしてくれるのか、ジョッキーも僕も思っていました。連勝は止まってしまったのですが、悲観する内容じゃなかったと思いますし、距離があと200m長かったら…。皐月賞はいろいろな面で逆転はできるなと思っていたんですよ。だから、弥生賞は万全の態勢で良い競馬もしてくれたと思いますし、次に繋がるなと思いました。皐月賞は正直、ダノンプレミアムが回避した時点で“この馬が一番強い”と思っていました。ただ、結果的には重馬場はあの馬には良くなかったですね。硬いパンパンの馬場じゃないと合わないと思うので。

-:雨は上がっていましたが、春の中山特有の疲弊した馬場状態でしたね。

藤:あとはどうしてもテンションが高い馬なので、コースで落ち着かせることを重点に置いた調教をしていたんですよね。しっかり乗り込んではいたのですが、ビッシリ時計を出すわけではなかったので。パドックで消耗して終わってしまうのが嫌だったので、その辺が裏目に出てしまったのもあるんじゃないかと思います。

-:弥生賞の時というのは、仕上げとしてはけっこうやっていた記憶があります。正直、薄手の馬じゃないですか。傍から観ていると、上積みという点でちょっと大丈夫なのかな……と思った記憶があります。

藤:いや、弥生賞からビッシリ仕上げましたね。弥生賞はかなりやったと思いますよ。春3戦を予定していましたけど、3戦目の一発目としてはかなりやっていたと思いますよ。

藤本純調教助手

▲皐月賞1週前の追い切り後

-:しかも、先を見据える立場であろうはずなのに、そこがちょっと不思議に感じるというか、意外に感じた記憶があるのですが。

藤:3連勝しているということもあったから、このまま連勝を途切れさせたくなかったというのもありますし。

-:そして、皐月賞に関しては、テンションを考慮した仕上げであったということですね。滞在というか、1泊することに関してはいかがでしたか?

藤:弥生賞、皐月賞と中山の環境は決して向いていなかったですね。確か弥生賞の時はすごく強風が吹いていて、それでカイバを食べなかったんですよね。東京の時はバリバリ食べていたので、何の心配もしていなかったですけど……。

-:僕が藤本助手と個人的にお話させてもらったのは皐月賞の週で、その課題を挙げられていた記憶がありました。

藤:ええ。皐月賞の時は2回目の中山だから慣れるかなと思ったら、確かその日もけっこうな雨があって、また食べなくて、中山とは相性が悪いのかなと思いましたね。

-:確かシュヴァルグランが「中山だと寝ワラだから、それを食べて増える」みたいな話がありましたが、そういうのが逆に。

藤:あの馬は食に興味がないというか、普通のものしか食べないから、そこは助かりますけどね(笑)。

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