ワグネリアンのダービーが担当馬の初G1制覇!友道厩舎の藤本助手が語る『真実』
2018/8/4(土)
-:ダービーを勝って、ご自身の夢を最高の形で叶えられて、どんな気持ちでしたか。
藤:やっぱりこの仕事は素晴らしいなと思いましたね。この仕事をやっていて、良かったなと。ダービーなんて勝ちたいと思って勝てるレースではないですし、まず出走することが難しいですから、それを一発目で出て勝てたというのは、やっぱり感無量ですね。
-:一発目ですか。もちろん運もありましたかね。
藤:運もやっぱり大きいと思いますね。もう1回発走したら、また違う結果になるでしょうし。
-:逆に、あの外枠が良かったかもしれないですしね。
藤:そうですね。もし2番、4番のいい枠を引いて、「よしチャンスだ!」と言っていたら、負けていたかもしれないので。
-:それで、前に行く意識もなかったでしょうからね。
藤:そうなったら、祐一さんと先生の作戦もまた変わってくると思うので。
-:ダービーを勝たれて、競馬観が変わられたことは何かありますか。
藤:いろいろな人から「おめでとう、おめでとう」という声をいただきました。知らない人からも声を掛けられますし、やっぱりダービーの重みも感じますね。それが、栗東でダービーを勝った次の週にたくさん言われて、函館に移動して来たら、こっちはこっちでまた知らない人たちから言われたわけで……。やっぱりダービーは違うんだなと。それに、ダービーの日はだいたいよる7時ごろに競馬場を出発したのですが、スマホをみたらたくさんのお祝いメッセージが送られてきて、周りの人にも恵まれているのだなと改めて思いました。
-:例えば、美浦の人からも、顔は一方的に知られているわけですからね。今後に関しては、また機会があれば取材できればと思いますが、秋以降の展望はいかがですか。
藤:秋は、まず神戸新聞杯(G2)から始動と聞いています。とりあえず目の前の一戦を戦って、古馬と戦うのか、その後はわからないですけど、「平成最後のダービー馬は強いな」と言われるような競馬をしたいです。これからは恥ずかしい競馬はできないので、もっともっとG1を勝ちたいですし、やっぱり種牡馬として名前を残して欲しいと思っています。種牡馬になれるように、僕が少しでもサポートできたらなと思っています。
-:G1制覇、ダービー制覇という目標をクリアしてしまったわけです。次はどういう目標があるのですか?
藤:JRA賞・最優秀3歳牡馬の可能性は十分にありますし、来年以降も賞を獲れるようがんばりたいですね。
-:まずは神戸新聞杯に。これからホースマンとしての目標はどういった思いになりましたか?
藤:僕は馬の贔屓はしないことを心がけています。極論、ダービー馬でも未勝利馬でも、同じような扱いはしているので。やっぱり「先生が苦労して馬を持って来ている」という話を聞いているので、先生の要望に応えられるように、恥ずかしくないように自分の仕事をしっかりしたいです。僕自身、決して取り立ててすごいホースマンとも思っていませんし、今回の勝利も厩舎一丸となっての勝利だと思います。ダービーを制したことのあるスタッフの話を参考に進めた結果、運良く勝たせていただいただけです。
先生にしてもオーナーさんにしてもそうですけど、やっぱり僕らは、現場で最後の最後に託される立場にあるので、そういう人たちに少しでも恩返しができたらなと思っています。これで満足をせずに、もっともっと、という思いもありますし、少なくとも僕の関わる馬に関しては、一つでも上の着順を目指して、馬のためにも先生、オーナーさんのためにも頑張りたいですね。
-:今後の活躍を期待しています。
藤:ありがとうございます。
プロフィール
【藤本 純】Jyun Fujimoto
1980年生まれ、京都府出身。京都競馬場近くの学校に通っていた当時、大の競馬好きだった教師の話がキッカケで競馬に興味を持つ。一時は地方競馬のジョッキーを目指したが、その夢を断念。ノーザンファームでの牧場経験を経て競馬学校厩務員過程へ。
以前に在籍していた厩舎でも重賞活躍馬の調教に携わっていたが、担当制の厩舎で、自分の担当馬でG1を勝ちたいという夢を追いかけ転厩。2017年3月から友道康夫厩舎に籍を移した。友道厩舎では、デビューから手がけた担当馬としてはワグネリアンが初。見事にG1どころかダービーを制す、強運ぶりを発揮。年齢面からも今後のさらなる活躍が期待されるホースマン。