JRA史上複勝最高払戻金を演出した新・穴男
2010/7/8(木)

中谷雄太騎手
高:よろしくお願いします。
中:よろしくお願いします。
高:複勝16110円の払い戻しでしたけれども、結果をご覧になったときはどんなお気持ちでしたか?
中:たまたま検量室で配当金を見たときに「金額がおかしいな」と思いました(笑)。「あれ?16110円って見たことないな」って思っていたら、記録だというので「そうなんだ」と。
高:514票の的中だったようですよ。
中:羨ましいですね(笑)。
高:アハハ(笑)。中谷さんは買えないですもんね。レース前に手応えは感じていらっしゃいましたか?
中:先生は自信を持っていました。「ちょっと走りそうだぞ。掲示板くらいには来ると思う」と聞いて乗せてもらいました。返し馬も良くて「乗りやすい馬だな」と思いました。今回が2戦目だったので、ちょっとまだ競馬に慣れていないかな、というところがあってスピードに乗るのが遅かったんですけど、内々を回ってキレイな競馬をしてくれたので良かったと思います。でもやっぱり勝ちたかったですね。
高:そのヴィヴィアンの次のレースでは7番人気のマイネルナロッサに騎乗して勝利をあげられて。先週も5番人気のビコーペグーで勝っていますよね。

中:オーナーや調教師、牧場関係者や厩舎スタッフのみなさんをはじめとした周りの方々に応援していただいて、良い馬に乗せてもらっているおかげです。
高:去年と比較しても騎乗数も多いですし手応えを感じていらっしゃるんじゃないか、と思いますけれども。
中:まだまだです。まだ全然…。やっぱり常に上を見ていないといけないと思うので。もっともっと自分が結果を残さないと騎乗依頼も増えないので、結果を出さなければいけないな、と思っています。でも今年はコンスタントに乗れるようになって、競馬の勘も戻って来ているかな、という気はしますね。「勝たなくてはいけない」という気持ちがあるので、勝利度数はまだまだですけど、掲示板に載るケースが増えたところは去年との違いが表れているかな、と思います。
高:近年、騎乗数が増えてきた要因はどういうところにあると思いますか?
中:加藤征弘先生のところに一昨年一年間お世話になったんですけど、そこで「まだ自分が騎手としてやれるな」という自信を付けさせてもらえたのが大きいと思います。厩舎の走る馬に乗せていただける機会もあって、そこで自分でも「もう一回できるな」という自信を付けさせてもらいました。
高:どういう経緯で加藤先生の厩舎でお世話になることになったんですか?
中:最初は「厩舎の調教を手伝ってくれる騎手を誰か探してくれないか」という話だったんです。それで「それなら僕を乗せていただけますか」と話したら「じゃあ所属になったらどうだ」ということになって、厩舎の所属にさせてもらったんです。
高:そうなんですか。
中:その前の年くらいまでは正直「もういいかな」と思った時期もありました。成績もかなり低迷していたので「もう潮時なのかな」って。でも心残りがあったんですよね。
高:心残りが…。
中:「もっとこうすればいいんじゃないか?」「もっとこう変えればいいんじゃないか?」と思うことがまだまだあったんです。例えば牧場に行ったり、厩舎の手伝いをしたり、やることをやり切った上で乗れないならしょうがないと思えますけど、そこまでやり切った感じがなかったんですよ。
高:まだまだやれることがある、と。
中:そうですね。それで「もう一度見つめなおしてやってみよう」と。去年札幌に行かせてもらったときも「来年が勝負だな」という気持ちで、月曜日も一日も休まないで牧場回りをしました。それが今に繋がって、乗せてもらえているのかな、と思っています。もっと早く気付けば良かったけど、今だから気付けるところもあるでしょうから…。今は「これで乗せてもらえなくなってもしょうがない」と思えるくらいやれていますよ。
高:いいですね。
中:やっぱり一生懸命やらないと次のステージに繋がらないと思うんですよね。次のステージ、つまり騎手を辞めたあと、助手になるにしろ調教師になるにしろ、競馬と関係ない職に就くにしろ、一生懸命やり切らないと、騎手に未練も残るだろうし…。今、僕より若くてもたくさん乗れていない子たちがいっぱいいますけど、そのまま辞めてしまっても次に繋がりませんから。
高:はい。
中:一生懸命やることでいろいろ学びますからね。「こういう行動はしない方が良かったかな?」とか「ああいう言い方はしない方が良かったかな」とか。やってみなければ分からないですしね。また僕らはトレセンという閉鎖的な世界の中だけで働いているので、一般社会のことをそれほど知りませんからね。本当、世間はそれほど甘くないし、周りの人に助けてもらわないと。
高:厳しいですもんね。
中:僕も今、多くの人に助けてもらっていますからね。だから逆に僕が助ける立場になったら、人の力になりたいと思っています。
高:なるほど。
中:本当に牧場の方たちにもお世話になっていますしね。あと、浅沼先生というデルマの冠名の馬主さんも去年の夏頃から本当にお世話になっていて、かなりたくさん乗せていただいているんですよ。そのおかげで競馬勘を取り戻せたところがあると思っているので、本当に感謝しています。まだ浅沼先生の馬で勝っていないので、それが一番今年やり残していることですね。早く勝って恩返しをしたいな、と思っています。
高:本当に多くのオーナーに支えられていらっしゃるんですね。中谷さんは調教にもたくさん騎乗されていて、厩舎との繋がりも広いんじゃないですか?
中:はい。いろんな厩舎に乗せていただいてますね。
高:調教では一日平均どのくらいの騎乗数になりますか?

中:追い切りの日は5~6頭。多いときには7頭乗せてもらうこともありますよ。
高:ビッシリですね。今年ももう半分過ぎましたけれども、ここまでの間で一番印象に残っているレースは何ですか?
中:ザッハーマインですね。ダービーの次のレースだった富嶽賞。自信を持って乗ろうと思って、しっかりと結果を残せましたから。でもそのレースでも反省することはいっぱいありますよ。大分追い出しを我慢したつもりだったけど、まだちょっと早いのかな、とか。
高:100点満点といえるレースはそうありませんか?
中:なかなか無いですね。レースが終わったあとに反省することは多いですよ。勝っても内容に納得できないこともありますしね。
高:中谷さんがレースで騎乗するときに心がけているのはどんなところですか?
中:昔から「一生懸命にひとレースひとレース手を抜かずに乗ろう」という気持ちで乗っています。関係者に納得してもらえるレースをしたいので、出来るだけ積極的に乗りたいと思っています。最近は、僕のことをまだ知らないオーナーの馬に乗せていただくことも多いので、そういう方たちにも納得してもらえるレースをしたいと思っています。
高:なるほど。ではそろそろ中谷騎手も次の調教に向かわれますので、最後に、今、中谷さんが欲しいものを教えてもらえますか?
中:欲しいものですか?お金ですね(笑)!まあ、お金は僕が成績を残していけば後から付いてくるものだと思っていますから、まずはたくさん乗って、仕事を充実させたいです。あと、今は週によって騎乗馬の量と質にバラつきがあるので、両方のレベルを安定させたいですね。どんな馬でも任せてもらえるようになりたいです。
高:ありがとうございます。では本当の最後に、ファンへ向けてメッセージをお願いします。あの複勝を取った方にもお願いします(笑)。
中:えー、514票、馬券を的中された方はおめでとうございました(笑)。僕が乗っているレースは配当も面白くなると思います。これからも頑張りますので、ぜひ僕から買ってみてください(笑)。
高:ありがとうございました。応援しています。
中:ありがとうございました。
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■出演番組
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2006年から2008年までの2年間、JRA「ターフトピックス」美浦担当リポーターを務める。明るい笑顔と元気なキャラクターでトレセン関係者の人気も高い。2009年より、競馬ラボでインタビュアーとして活動をスタート。いじられやすいキャラを生かして、関係者の本音を引き出す。 |