【日本ダービー】クラシック大一番に向けて確かな成長力を見せるファンダム

これまで無敗と底知れない力を秘めるファンダム

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日本ダービー
ファンダム
辻哲英調教師

——前走の毎日杯で馬、厩舎共に重賞初勝利をあげました。レース内容を振り返ってください。

辻調教師(以下、辻):初めての長距離輸送での競馬で、レースの前々日に輸送して、前日にスクーリングをして臨みました。スタッフの話では、競馬場に到着してからもカイ食いが落ちることもなくイレ込むこともなく、いつも通りの雰囲気で過ごせたようですし、レース当日も同様にいつも通りの雰囲気に見えました。

ある程度人気になっていたので勝ててホッとはしましたが、結果よりも内容を重視していたので、道中で少しハミを噛んでいたりコーナーで左手前で走っていたりと、課題が目立つ一戦だったと思います。

重賞だからといって私たちのやるべき仕事が変わる訳ではありませんし、どの馬のどのようなレースでも、目標にしてきたレースで結果を出せるのは嬉しいものです。それが今回たまたま重賞だったということで、厩舎初の重賞勝ちだから特別嬉しいという感じではなく、結果を出せてホッとしたという気持ちが強かったです。

——この中間の過ごし方を教えてください。

辻:前走後はノーザンファーム天栄へ放牧に出して、レースの約1ヶ月前に帰厩しました。ずっとこの馬にとってのテーマとなっている、折り合い面と手前の替え方を中心に調整を進めています。

——5/21(水)に行われた1週前追い切りの狙いと動きの評価をお願いします。

辻:1週前なので、ある程度しっかりやっておきたいと思っていました。2週前と同様に、前に目標を置きつつ後ろからピッタリついてもらう形で、後ろからのプレッシャーを感じながらどれだけ折り合えるかの確認と、遠くに置いた前の目標に追いつくために伸ばしたときの反応を見てもらう、という感じでジョッキーに乗ってもらいました。

ジョッキーの話では、多少ハミを噛んでいたけどコントロールも難しくなく、馬自身が消耗していることもなかったようですし、折り合い面に関しては割りと良かったのかなと思います。手前の替え方に関しては、馬が自分から手前を替えたようですが、直線に入ってすぐに替えた訳ではなくしばらく経ってから替える感じだったようなので、まだそこまで器用さはないのかなという印象です。

——前走時と比較して状態面はどのような印象をお持ちですか。

辻:毎日杯に向けての過程と比べて苦しい調教を課していますが、体調面の問題もありませんし乗り越えてくれているかな、という印象です。毎日杯のときの帰厩後1本目と比べて今回の帰厩後1本目の方が息の入りが良かったですし、2週前と1週前追い切りでも同様の印象を受けるので、その辺りは馬が少し成長してくれているのかなと感じます。

——東京芝2400という舞台適性への見通しは。

辻:調教の動きからも、右回り左回りは特に気にしなくてもいいかなと思います。距離に関しては、元々距離が延びても大丈夫なように取り組んできましたし、そういう調教の反復をしてきました。結果がどう出るかは正直分かりませんが、私たちができることをやって送り出すだけです。

——いよいよダービーです。辻先生はダービーというと過去のどのレースを思い浮かべますか。

辻:どれかひとつは選べませんね。アイネスフウジンが勝ったダービーが初めて観たダービーで、私は当時小学生でした。武豊さんのファンだったので、ハクタイセイを応援していましたよ。それから毎年欠かさず観ていますが、どのダービーも思い出に残ります。

——辻厩舎にとってダービー初挑戦です。最後に意気込みをお願いします。

辻:どのレースでも特別な意気込みというものはなくて、私たちはその馬の100%の能力を発揮するにはどうしたらいいか常に馬のことを考えて、できる限りのことを丁寧にコツコツとやり続けるだけです。

そういう日々の繰り返しのなかで、目標としたレースを勝てればとても嬉しい。それはダービーでも他のレースでも変わりはないので、今回も当たり前のことを当たり前にやり続けていくだけです。