名門が4年連続複数頭出しへ。例年の如くBIGレースに有力馬を送り込む、栗東の池江泰寿厩舎。今年は個性溢れる3頭を日本ダービーへ送り込んでくる。ダービーの条件、現在の高速馬場で、前走からどんな伸びをみせてくれるのか。厩舎のスポークスマンが語ってくれた。
※5月23日(木)、左寛ハ行のため、出走回避が発表されました

心身の成長が噛み合ってきたクラージュゲリエ

-:日本ダービー(G1)に3頭出しで挑む池江泰寿厩舎ですが、活躍が宿命付けられた厩舎といっても過言ではありません。ダービーに出すことの意義や意識は毎年、強いのではないでしょうか。

兼武弘調教助手:ダービーというのは頂点であり、それはみんなが目指す舞台でありますからね。素質馬を抱えさせてもらっているわけで、毎年ダービー出走させようという思いで、みんないますしね。今年は3頭予定しているのでね。

-:まずクラシック1冠目の皐月賞でクラージュゲリエ(牡3、栗東・池江寿厩舎)が5着と人気を覆す走りでしたね。

池江泰寿

兼:そうですね。皐月賞でも5着で、頑張ってくれたと思います。少し勝負どころで、瞬発力の差でちょっと置いていかれましたけど、それでもよく食らいついていった感じですね。しっかりジワジワと伸びてくれた感じで、価値のある5着でしたね。

-:タイプ的には、やっぱり瞬発力勝負よりはしぶとい脚といいますか、持続力勝負に長けていそうに思えます。

兼:そうですね。長く良い脚を使うタイプに見受けられますね。

-:ただ、やっぱり気性面の激しさがありながら、徐々に良くなってきましたか?

兼:そうですね。2歳の頃から、なかなか気持ちを抑えられない部分があったのですが、一つ歳を重ねて、少しずつ気性面も大人になってきている感じですね。皐月賞前くらいから体が大きくなりつつあると感じていましたし、今回帰ってきてからも、さらに良くなっている感じに思えました。成長しているのがよく分かりましたね。

-:と言うことは、体もそうですし、精神的にも、ですか。

兼:そうですね。精神面もだいぶマシにはなっていますよね。

-:心身の成長のタイミングが近いことに理由はありますか?

兼:イレ込みが酷くて、カイ食いもその分良くなかったですけど、その辺は安定してきていますよね。

-:前回の馬体重は490kg。今回さらに増えるということはありますか。

兼:まだ計量はしていないですけど、490からさらに増えていてもおかしくないですけどね。成長する時期ですから当然なのですが、この馬に関しては、ハッキリと成長が見て取れるというのはありますね。

池江泰寿

-:改めて見ても、レースでは20キロくらい体重が増えていますからね。

兼:そうですね。明らかに子供っぽいような体つきから、一つずつ階段を昇っているような感じはありますね。

-:しかも、当初は北海道でのレース。そう考えると、輸送で減る分というのは、基本的にない訳で、輸送した競馬の中で、490キロになっているというのは、かなり中身が変わってきているんでしょうね。

兼:確かに何回か輸送を経験している馬ではありますし、前走も追い切り後の体重と、競馬前の体重はそんなに変わっていないですからね。それも、精神面での安定が見られてこそと思いますし、だいぶ気持ち的に落ち着いてきた証拠じゃないかなと思いますね。

-:その辺は、この馬に関して何か日々の調教で取り組まれていることはあったのですか。

兼:特にあるわけではありませんが。2歳の時は、イレ込むことが懸念材料としてあったので、気を付けてやっていましたし、札幌に持っていったというのは、むしろそういうところもありますし、合いそうという見立てもあったんですけどね。

-:成長が見られる中で、距離は初めての経験になりますが、いかがでしょうか。

兼:当初は競馬で行きたがるような素振りが見られたので、距離に関しては心配なところもありました。しかし、最近は折り合いに関して進境が見られるので、この距離になっても、上手く脚を溜められれば、楽しみですね。ロスなく回れれば、チャンスが出てくるのではないかと思っています。

池江泰寿
池江泰寿

▲1週前追い切りは外のサトノルークスと併せ馬

-:折り合いはもう問題ないですか。

兼:今はだいぶ良くなっているので。もちろん距離が400m延びる訳ですから、どうなるか分からないですけど、以前よりは心配していないですね。

-:折り合いや気性面という部分では、お兄さん(プロフェット)もやられていて、何か似たようなところはありますか。

兼:いや、そこまで似ているという感じではないですけどね。渋太い脚というのは、確かに似ている感じですけど、この時期に急激に成長しているのはこの子の方かなと。

-:ただ、キンカメ産駒で、他のキンカメ産駒の話も今回、伺ったのですが、父の産駒は穏やかな子もいて、ちょっと使ってから目覚めるようなタイプかなと思っていました。

兼:ただ、お母さんのジュモーも池江厩舎で管理していた時期があった馬なのですが、気性が激しかったです。2歳当時の気の荒さは、そういうとところでしょうね。それに似て、体の成長と共に、気性の方も落ち着いてきたんでしょうね。上手く嵌まれば、チャンスはあるんじゃないかと思っています。

-:この馬は1週前追い切りを水曜に行いました。

兼:そうそう。5月15日に追い切りを消化しましたけど、来週1本シッカリやれば、整うんじゃないかと思っています。

2億超の良血・サトノルークス
日本ダービー・池江泰寿厩舎インタビュー(2P)はコチラ⇒