関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!


高橋:田辺騎手、お仕事終わりでお疲れのところすみません。よろしくお願いします!

田辺:大丈夫ですよ、よろしくお願いします。

高橋:(資料を見ながら)田辺騎手、福島の二本松市のご出身だそうですが、二本松市ってどんなところですか?

田辺:結構、田舎というか…ここ(美浦)と似ていますね。

高橋:じゃあ、落ち着く感じで(笑)。

田辺:はい、落ち着きます(笑)。

高橋:ずっと二本松市で育ったんですか?

田辺:はい、そうです。

高橋:競馬は身近な存在でした?

田辺:そうですね、家から福島競馬場まで車で15分くらいですし、父親が競馬ファンなので小さい頃から競馬を見ていました。

高橋:じゃあお父さんにくっついて競馬場に行っていたんですね。

田辺:くっついてというか…、半強制的でしたね(笑)。遊園地か公園に行くぞって言われた時は大抵、競馬場に行っていたんで。 レジャーと言えば競馬場でした(笑)。

高橋:馬も近くで見られるし。

田辺:馬には興味無かったんですけどね、動物が嫌いなので。今は全然大丈夫ですけど、小さい頃は犬でも猫でも全て近寄りたくなくて。

高橋:ええ!動物が嫌いだったんですか!それでなぜ競馬に結びついたんですか?

田辺:僕、凄いチビだったんですよ。

高橋:じゃあ、背のことがあってジョッキーになろう、と。

田辺:うーん、何ですかね。父親が競馬ファンだったっていう事と、背が小さい、体重が軽いという事と、あとは高校を受ける前に受験が出来たので「競馬学校に落ちても普通に高校を受けられるな」っていう事で。まあ、やっぱり父親に洗脳されたようなものですかね。父親と父親の友達から「ジョッキーになれ、なれ」と言われて。

高橋:競馬学校の騎手過程が狭い門だっていうのは知っていました?

田辺:いや、知らなかったです。一次試験で受かって「半分くらい残っているのかな」と思っていたんですけど、二次試験の時には凄く少なくてビックリしましたけどね。凄い優秀な人たちが残っているのかと思いましたもん。「間違って受かった人間がいたらいけないんじゃないか」と思って。僕、運動はともかく勉強は本当にダメですから。本っ当に!勉強はダメですから!

高橋:二回言うほど「勉強がダメ」という事に自信が(笑)。

田辺:自信あります(笑)!多分、中学校の時の成績を競馬学校の受験の時に見せるんですけど、その時点でアウトだと思っていましたもん。

高橋:「この子はちょっと…」って(笑)。

田辺:「洒落にならないねえ」みたいな(笑)。

高橋:アハハ(笑)!本当に勉強は苦手だったんですね。運動神経はどうでした?何か賞を取ったりしましたか?

田辺:あー、運動神経は普通だと思うんですけど、テニスをやっていて、それは結構いいところまでいきましたね。僕右利きなので右腕ばっかり太くなっちゃって。

高橋:おおー、本当ですね。テニス筋がついて。

田辺:そうなんですよ、テニス筋がなかなか取れないんですよ。

高橋:へー。ちなみに動物嫌いは競馬学校に入ってから直ったんですか?

田辺:そうですね。でもぶっちゃけ、最初は馬も凄いイヤで。二次試験の時に、結構強制的に乗せられるんですよ。「え、ここで?うわぁー」みたいな。

高橋:「恐いー」って。馬が好きになった、というか抵抗が無くなったのはいつ頃からですか?

田辺:競馬学校に入って半年くらいはイヤだったかな?もう、勉強が嫌いだったのにそれよりも馬に乗る時間の方がイヤでしたもん。

高橋:まだ勉強の方がいいって。乗るの本当にイヤだったんですね。

田辺:イヤですよ。何を考えているか分からないし。乗ると内股に馬の体が当たって温かいのがもう…。跨った瞬間に、体温のあったかいのが凄く伝わって来て。あと、ニオイも気になりましたね。

高橋:動物を飼った事が無いと、慣れていないからニオイにビックリしますよね。私も初めてトレセンに来たときはビックリしましたよ。馬がたくさんいる事にも驚いて「馬だー!」って騒いでたら「トレセンなんだから当たり前じゃん」って言われて。田辺さん、乗馬経験も無かったんですよね。

田辺:当然無いです。

高橋:同期には乗馬経験がある人もいますよね?

田辺:半分くらいじゃないですかね。

高橋:みんなで「キツくない?」とか言ったりしませんでした?

田辺:みんな強がってたんじゃないですかね。「楽勝、楽勝」とか言ってましたから(笑)。

高橋:目を泳がせながら虚勢を張って(笑)。競馬学校に入って困った事はありました?

田辺:ありますよ、坊主にした事ですね。坊主にした事無かったんで、困りましたねえ。

高橋:初めての坊主はどうでした?

田辺:これはヤバい、と思いましたね。だってもう…、輪郭とか隠せないんですよ?

高橋:アハハ(笑)!頭の形も出ちゃいますもんね。在学中はずっと坊主なんですよね?

田辺:そうです。でも実習で厩舎に来た時は少しチェックが緩くなるので、今までは5ミリで青々としていた頭が2センチくらいに伸びて「よっしゃ!」みたいな。バリカンじゃなくてハサミで切ってもらったりして。まあ、見た目が同じだから単なる自己満足なんですけど。

高橋:「俺はハサミで切ってるんだぞ」って(笑)。でもオシャレな坊主もありますから、またこれからもしてみようかな、とか思いませんか?

田辺:もう絶対に坊主にはしないですよ。だって、メンズは髪を伸ばしたくても伸ばせない状態になっちゃう可能性がありますから(笑)。いろんな髪型が出来るうちにやっておかないと。そのうちイヤでも坊主というか、無くなる日が来るかもしれないですから。

高橋:今のうちに伸ばしておこう、と。競馬学校での生活が続いて「技術が上がってきたな」という手応えはありました?

田辺:いや、僕はそういうのは分からなかったです。

高橋:競馬学校って実技の試験があるんですよね?それで落ちちゃった事はありませんでしたか?

田辺:無かったですね。

高橋::じゃあ実技は特に問題が無かったんですね。

田辺:うーん、それは問題が無いかどうかは分からないですけどね。ただ、学科の方はマズかったですけどね。校長室に呼ばれたりしましたからね、無気力っていう事で。僕、全部の授業で寝ていて、社会か何かの時に「そんなに眠かったら部屋で寝てなさい!」って言われて、そのまま部屋に戻って寝ていたんですよ。そうしたら今度は校長室に呼ばれて「君はもう辞めなさい」って言われたり。その時はちょっと焦りましたけど。

高橋:その後は学科もこなして。

田辺:……起きてはいましたけどね。こなせないんですよ、僕は。

高橋:勉強を覚えているかどうかは別にして、起きてはいたんですね。

田辺:そうです。だから僕らの下の代は、授業の最中に寝るっていう事は無かったと思いますよ。厳しくなっていったから。

高橋:「田辺ルール」が出来たんですよ、きっと(笑)。

田辺:いや、でも僕よりもっと寝ている人もいたんですけど、何故か僕だけが言われて。どうも僕が寝ていると目立つらしいんですよ。うつ伏せに寝れなくて、後ろにのけぞる形で寝ちゃうんですよね。でもその格好って「寝ないで頑張ろう」っていう姿勢が見えませんか?うつ伏せはもう完全に確信犯じゃないですか。

高橋:努力を見せているんですね。

田辺:そう、努力を見せているのに、僕だけ呼び出しをくらって。「小西先生の方には連絡をしておくから。荷物をまとめておきなさい」みたいな。

高橋:怖いですね。その師匠の小西先生はどういう先生なんですか?

田辺:ウチの先生はしっかりされてます。特に「ああしろ、こうしろ」とうるさい事は言われないです。

高橋:管理をされたりする事は。

田辺:全然無かったです。

高橋:長く所属していても居心地が良くて。

田辺:居心地良いですね。

高橋:さきほどお邪魔させていただいた時に思いましたけど、厩舎は明るくて良い雰囲気ですよね。

田辺:そうですね。そうじゃないと働いていても楽しくないですからね。

高橋:田辺さんってそういう楽しい雰囲気が好きなんだろうなって思います。

田辺:そうなんですよ。あんまりピリピリした感じとかは苦手ですね。仕事の事で厳しいのはいいですけど、仕事と関係の無いところで厳しいのはちょっとイヤですね。私生活では自由が欲しいですね。

高橋:オンとオフの切り替えをしっかりして。

田辺:そうですね。(資料を見ながら)そういえば身長が伸びたんですよ。このJRAのホームページでは163になってますけど、こないだ健康診断の時測ったら165センチになってました。

高橋:えー、そうなんですか。

田辺:普通に伸びてきましたね。でも幼稚園、小学校の頃はずっとこれ(両手を腰にあてるポーズ)ですよ。

高橋:ああ、「前へならえ」の時に列の先頭だったんですね。いいなあ。凄い憧れですよ。

田辺:そうですか(笑)?でも、集会の時に一番前だと、見られているから寝れないし良くないですよ。

高橋:身長が伸びるのはジョッキー的にはどうなんですか、嬉しいものなんですか?それとも「ヤバい!」みたいな。

田辺:僕は嬉しかったですね。やっぱり私生活を重視したいんで。

高橋:アハハ(笑)!

田辺:やっぱり、いくらかでも身長が高い方が一般受けするんじゃないかなって。

高橋:163と165じゃだいぶイメージが変わりますね。

田辺:ですよね!

高橋:ジョッキーで165センチっていったらかなり大きい方ですよね?

田辺:うーん、でも今はもっと大きい人がいっぱいいるじゃないですか。だからあんまり「背、高いよな」とか言われないですね。「重いよな」とは言われますけど。僕、体重重いんです。

高橋:そうなんですか?普段の体重は何キロですか?

田辺:52キロです。身長は2センチ伸びましたけど、体重はこの資料に書いてあるとおりですね。

高橋:レース前にはかなり体重を落として。

田辺:いや、そうでもないです。斤量が軽いレースはあまり乗りませんし。だから今週のラジオNIKKEI賞のスーパーシズクンも迷ったんですよ。斤量が52キロなんで。

高橋:普段の体重と同じですもんね。

田辺:はい。迷っているうちに水曜日になっちゃったんで「乗せていただきます」みたいな(笑)。

高橋:アハハ(笑)。スーパーシズクン、良い成績じゃないですか。

田辺:そうですよね?だからもうちょっと斤量が重いと思ったんですけどね。3歳同士だし、男の子だし。まあ、ある意味ハンデですよね。人間に対してのハンデですよ(笑)。でもこの馬は好きなんで。

高橋:スーパーシズクンのどういったところが好きなんですか?

田辺:素直なんですよね、癒し系で。初心者が乗るような大人しい馬です。癒し系はやっぱり良いですね。

高橋:そうですか。逆に苦手なタイプはいますか?

田辺:女の子はあんまり好きじゃないですね。いや、女の子は好きですけど、女の馬は好きじゃないです。

高橋:言い直しましたね(笑)。

田辺:ソッチ系と間違われると良くないですから(笑)。

高橋:素直な馬以外に好きなタイプっていますか?

田辺:ちょっとズルいくらいの馬が好きですね。ちょっとズブいくらいの方がやりがいがあるじゃないですか。いろいろ「どうやって走らせてやろうか」っていうエスっ気を掻き立てられるんで。あと、人気は無い方が好きですね。人気の馬だとある程度手堅く乗るじゃないですか。前に行ったり、外を回したり。人気の無い馬だと指示もあまりなくて、ある程度自分の思ったように乗れるし、上手く行けば「ほら、勝ったでしょ」みたいな。

高橋:「どうやって乗ろうか」って考えるのは好きですか?

田辺:好きですね。成績が停滞している馬だったら、今までとは違ったレースをしてみようと思います。逃げていてダメだったら控えてみたり、後ろから行っていたら今度は逃げてみたり、外を回さないで内にいたり。それがたまにハマるんですよ。

高橋:良いペースで勝っていますけど、勝率や連対率など数字でこだわっているところはありますか?

田辺:今年に入って一ヶ月か二ヶ月の間は勝率が良かったみたいなんですよ。出来ればそこで終わっておきたかったですね。でもそこをキープしようとすると、馬を選ばなきゃいけなくなるじゃないですか。僕は頼まれた順に乗せてもらっているので、そういう数字は全然気にしないですよ。

高橋:頼まれた順番で馬に乗って、その結果が出るわけですもんね。特に馬を選んだから勝つペースが良くなった、というわけじゃなくて、いつも通りにやって上手く行ってるなあという感じで。

田辺:そうです。だから来年はまた普通のペースに戻りますよ。

高橋:ええー(笑)!

田辺:来年からっていうか今週からかもしれませんけど。特に変わった事もしてませんし。僕、今まで3着になる事が多かったじゃないですか。その3着に来るところが今年は1着になったりして上手く回っているんですよ。

高橋:実際に、今年は3着の割合が今までに比べて低いですもんね。でも3着が多かったって言っても、人気薄で3着に入るケースが多いですよね。高配当を出しちゃった時は何か感じます?

田辺:それは「嬉しいな」と思いますよ。

高橋:先ほどのお話しだと田辺騎手の騎乗馬は頼まれた順に乗せてもらうという事で。

田辺:そうです。エージェントがいないので、来る者拒まずで、先に声を掛けていただいた順に決めていますね。もし後からもっと良い馬を頼まれても全部断って。単純に頼まれた順番で決めているので、厩舎側とモメる事もないですね。「先約があるのですみません」って言って。それで後から頼まれた馬に勝たれちゃったりしてね(笑)。

高橋:えー!どう思いますか、そういう時は。

田辺:いや、もう慣れましたけどね(笑)。

高橋:厩舎別での成績を見ると、所属している小西厩舎に次いで久保田厩舎でたくさん勝っていますね。

田辺:そうですね。「相性が良いね」ってよく言われるんですけど、乗せてもらっている馬の事を考えると僕はもっと久保田厩舎で成績を残せるんじゃないかって思っているので、自分では相性が良いとは思っていません。攻め馬にも乗せてもらって、馬の癖は掴んでいるつもりなので。レースに行って「え、この馬で勝ったの?」っていう感じの馬はいないですね。

高橋:大体は田辺さんが感じた手応え通りの結果になる事が多いんですか?

田辺:「やっぱりこの馬は勝つんだ」みたいな。レース前に馬の癖を知れるので。

高橋:久保田厩舎の馬に限らず、レースで乗る馬には調教でも乗っておきたいな、と思います?

田辺:そうですね。調教で乗っておいた方がレースに行った時もしっくり来ますね。

高橋:競馬場ごとの成績では、出来すぎな話ですけど、地元の福島で一番勝っていますね。

田辺:それはでも、僕は意識していないですよ。逆に福島出身をアピールしないで欲しいくらいですもん。東京都出身を気取りたいくらいですから。「車は品川ナンバーです」みたいな。地方出身者にしてみれば憧れの土地って言ったら東京しかないじゃないですか(笑)。電話だ、すみません。「・・・はい、ありがとうございます」。

高橋:着メロ、木村カエラちゃんでしたね。カエラちゃん、好きなんですか?

田辺:いや、僕、その時その時の一位の歌を着メロにしているんで、誰の歌か分からない事もありますよ。一位の曲だったら間違いないじゃないですか、流行に乗り遅れないようにしないと(笑)。

高橋:アハハ(笑)!洋服も結構好きですか?今着ているTシャツも凄いな、と思って見ていたんですけど。

田辺:服買うの好きですよ。このTシャツ着るとき痛いんですよ、固くて。

高橋:普段の洋服は何系ですか?

田辺:僕はメンズエッグ系です。

高橋:おお!?

田辺:「おお!?」ってなんすか(笑)?

高橋:ギャル男系ですねえ(笑)。

田辺:はい、ギャル男ですよ(笑)。でも雑誌みたいにあんなにはいかないです。

高橋:前髪がシューッて。

田辺:はい、M字バングは…、あ、その形はM字バングって言うんですけど(笑)。

高橋:アハハ(笑)!頭のてっぺんをワッサーッてさせたり。そういうの髪の毛を「盛る」って言うんですよね?

田辺:はい。「鬼盛り」とかね。凄くたくさんスプレーを使いますね。

高橋:盛った事あるんですか?

田辺:まあ、はい。まあまあ。そんなにしないですけどね。でも盛れば身長も少し高くなりますから。

高橋:凄い、結構流行をチェックするタイプですね。

田辺:そうですね。若い人の流行についていきたいんで、メンズエッグだけじゃなくていろんな雑誌を見ますよ。それ系の雑誌がいっぱい出てるじゃないですか。

高橋:それで雑誌を見て、洋服を選んで。気になる洋服があったら迷わず買っちゃいますか?

田辺:買っちゃいますね。だいたい安いんですよ。安いですよね?マルキュー系は。

高橋:ああ、そうかもしれないですね。

田辺:他のところで売ってる服より若干安いんで、パッと買っちゃいますね。僕、高い服を買って毎年それを着るっていうのが好きじゃないんですよ。ワンシーズンだけで終わりにして、その後は仕事着にしたり。

高橋:寝間着にしたり。

田辺:ああ、僕、寝間着にはしないですね。パンツ一丁で寝ているんで、一年中。

高橋:ええ?冬でもですか?

田辺:はい、暑がりなんですよ。まあ寝る時にTシャツ一枚くらいなら分かりますけど、パジャマを着ている人の気が知れないです。パジャマ着ます?

--:いや、私は冬だったらスウェットみたいなのを着ちゃいますよ。それで毛布をかけて羽根布団をかけて。

田辺:もったいない!裸だったら毛布を直に地肌で感じられるんですよ?スウェットなんか着ちゃ毛布でも何でも関係ないじゃないですか。

--:私、今まで肌触りという快楽を捨ててたわけですね。

田辺:そうです(笑)。

高橋:今の電話、騎乗依頼を受けたみたいな会話でしたね。

田辺:ちょうどスーパーシズクンの依頼をいただきました。

高橋:わー、良かったですね。ところで今の電話で「サプリを飲んでいるから大丈夫です」ってお話しをされてましたね。

田辺:はい、僕サプリを凄く飲むんですよ。調合してもらっているくらいで。1日に20種類くらい飲んでるんじゃないですか。朝はバナナを食べてサプリを飲んで、って。

高橋:それが朝食代わりで。栄養素はカンペキ!みたいな。

田辺:カンペキです。だってもうヤバいじゃないですか、年取ってくると。ヤバいっすよね?

高橋:ヤバいですよ。私もサプリ飲んでます。

田辺:タバコは吸います?

高橋:いえ、吸わないです。

田辺:タバコはヤバいらしいですよ。1本吸うごとにレモン5個分のビタミンCが破壊されるらしいですから。

高橋:本当ですか?

田辺:本当です。まあ、レモンよりイチゴとかの方がビタミンCの量が多いらしいですけど。

高橋:何かメチャクチャ詳しくないですか?

田辺:最近そういう本を読んでいるので。長生きしようと思っているから(笑)。

高橋:いいですねえ(笑)。そういえば田辺騎手は今年3月に通算100勝をされましたけれども、ゴールをした時の気持ちは?

田辺:うーん、100勝のちょっと手前から結構リズム良くポンポンポンと行けたので、自分では「あ、これで100勝か」っていう感じで。安産でした(笑)。

高橋:今年は良いペースですよね。既に自己最高の勝ち星をあげて。

田辺:そうですね。減量の時も一回良いペースだった年があるんですけど、その年にケガしたんですよ。夏くらいまでは良いペースで勝てていたんですけど、ケガをしてから止まっちゃって。

高橋:さっき読んだ資料の中に「落馬してから吹っ切れて積極的にインを突くようになった」というようなインタビュー原稿がありましたけど。

田辺:ああ、よく怒られるんですけど。レースの最中、危ないから逃げ道を作るんであんまりラチ沿いギリギリを走る人っていないんですけど、僕は入っちゃうんですよ。「そこはダメだろう」って言われる事もあるんですけど「じゃあどこがあるんだろう?」って思ったり。だって、外を回していたら勝てないですもん。

高橋:また分かり易い理由ですね。インを突くと怒られる事もあるんでしょうけど、上手く行く事もありますよね?

田辺:はい、たくさんありますよ。

高橋:今までの中で「上手く行ったな」って思える会心のレースはありますか?

田辺:会心ですか。その100勝の時のレースなんですけど、ノリさんが逃げてて、僕は2番手か3番手だったんですよ。それで内が結構空いていたのでそこに入って。3コーナー手前くらいで「コレ、入っていいのかな?」って迷ったし、逃げている馬の内側に入るなんてなかなか無いんですけど、上手くいきました。

高橋:レース後、ノリさんに注意されたりしましたか?

田辺:いや、注意されるかなあと思ったんですけど、何も言われませんでした。あの時は結構空いていたんですよ。「ここで行かないでいつ行くんだ」っていうくらい。そのまま抜けて勝って「ラッキー」みたいな。凄く恵まれたレースで「かたじけない」っていう感じでした。

高橋:これだけ順調だと、洋服を買う量が増えたりしませんか?

田辺:いや、それは変わらないですね。服に限らず、最近はそんなにお金を使わないです。前は入っただけ使っていましたけど。

高橋:大人になったんですね。

田辺:特に買いたいものも無いし。やっぱり新宿に行かなくなるとお金はそんなにかからないですね。昔はお酒もガンガン飲んでいたんですけど、最近はそれほど飲まないですし。

高橋:じゃあだいぶ遊んで今は落ち着いて来たんですね。

田辺:そうですね。身も心も落ち着いて。やっぱりお酒を飲みすぎて体に活性炭素が溜まっちゃうと良くないですからね。老化しちゃうから(笑)。

高橋:サプリを調合して飲んでる意味がなくなっちゃう(笑)。完全に将来を考えて健康路線にシフトチェンジしてますね。見習わないと。じゃあそろそろまとめで。今後の目標を教えてください。

田辺:目標は現状維持ですね。怪我をしないで。普通がいいです、僕は。上の人は上の人でプレッシャーがあるだろうし、成績があがらなければ「乗らなきゃ」とか「勝たなきゃ」っていうプレッシャーがあるだろうし。今は一番ちょうど良いところにいるのかな、と思いますね。

高橋:今の生活で何不自由なく。

田辺:何不自由ないですね。ここであまりに良過ぎる馬が回ってきたりすると流れがズレてくるんですよ。ドキドキしちゃうじゃないですか。「この馬、1億以上するのか」とか(笑)。

高橋:緊張しちゃって(笑)。田辺さんて肩の力が抜けているように感じますけど、力んで失敗した事とかないですか?

田辺:力んで失敗した事ですか…、追い切りの時計ですかね。

高橋:アハハ(笑)!

田辺:あんまり細かく指示をされると、いろいろ考え込んじゃいます。

高橋:そうなんですか。えーと、じゃあ目標は現状維持で普通にいきたい、という事で。でも普通って素晴らしいんですよね。欲張ったりすると良くない時もありますからね。あまり出過ぎず(笑)。

田辺:そうですね。だから、こうやってちょっと勝っている時にポッと取材をされるのもどうかと思うんですよ。成績が元に戻ってもずっと取材を続けてくれればいいですけど、大概は来ないですからね(笑)。

高橋:じゃあこれから定期的に話を聞かせてください(笑)。

田辺:来ていただけるなら(笑)。

高橋:じゃあまた厩舎にお邪魔させてください。今日は有難うございました!




田辺 裕信

1984年福島県出身。
2002年に美浦・小西一男厩舎からデビュー。
JRA通算成績は113勝(09/7/1現在)
初騎乗:2002年3月 2日 1回 中山3日 2R アルファジェネラス( 8着/16頭)
初勝利:2002年8月 3日 2回 新潟7日 12R ヒノデツートン


2009年3月に通算100勝を達成。その後もコンスタントに勝ち星を重ね、現時点で過去最高の勝利数をマークしている。 今週末のラジオNIKKEI賞ではスーパーシズクンとのコンビで出走を予定。自身初となる重賞制覇の期待がかかる。




高橋摩衣

生年月日・1982年5月28日
星座・ふたご座 出身地・東京 血液型・O型
趣味・ダンス ぬいぐるみ集め 貯金
特技・ダンス 料理 書道(二段)
好きな馬券の種類・応援馬券(単勝+複勝)

出演番組
「Hometown 板橋」「四季食彩」(ジェイコム東京・テレビ) レギュラー
「オフ娘!」(ジェイコム千葉)レギュラー
「金曜かわら版」(千葉テレビ)レギュラー
「BOOMER Do!」(J SPORTS)レギュラー
「さんまのスーパーからくりTV」レギュラーアシスタント


2006年から2008年までの2年間、JRA「ターフトピックス」美浦担当リポーターを務める。 明るい笑顔と元気なキャラクターでトレセン関係者の人気も高い。 2009年より、競馬ラボでインタビュアーとして活動をスタート。 いじられやすいキャラを生かして、関係者の本音を引き出す。