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安藤勝己独占インタビュー


メジャーは本気では走っていないんですよ。



諸:安藤さん、本日は有難うございます。早速ですけど、安藤さんの昨年(2007年)を振り返ってみると、G1合計6勝。なかでもやっぱりダイワメジャー、ダイワスカーレット。この2頭は凄く光っていますよね。まず今日は、引退したダイワメジャーについて聞かせていただきたいな、と。

安:そうですね、メジャーに関して、僕は凄く運がいいと思っているんです。デムーロ騎手が乗れなくなって、急遽ピンチヒッターで回ってきてね。

諸:そこでキッチリと結果を出したわけですね。ダイワメジャーは、乗る際に神経を使う馬だったんじゃないかと思うんですけど、特に気をつけていた点はありましたか?

安:いえ、全然そんな感じじゃなくて凄く扱いやすいですよ。乗る前は少し緊張しましたけど、馬がだいぶ成長してちょうどいい時に乗せてもらったから(笑)、気持ちよく乗れたね。どちらかというと自分に合ったタイプかなって。

諸:安藤さんに合う馬というのは、どういう馬なんですか?

安:ひとクセあるような、追ってから渋い味があるような馬かな。

諸:メジャーの走りはどんな感じでした?あの馬は、パッと行くタイプというより、鉛の塊がドドドッ、ドドドッって加速がついて行くような走りに見えるんですけど。

安:そう、重量感が凄い。体が大きい事もあるんだけど、トビ一つ一つに重さがある感じで。機敏に動くタイプではなくて、自然に外回って早めに動いていく競馬が合うタイプだったね。あと、あの馬の走りの特徴は、相手に寄っていくと、また頑張るっていうところ。2~3番手にいて、4コーナー回って「どれが相手かな」って見極めて、そっちについて行けば、直線でもう一回伸びてくるんだよね。

諸:そういうレースでしたね。

安:という事は、メジャーは本気では走っていないんですよ。恐らくまだ隠し持った能力はあったと思うんだよね。一頭で抜け出しちゃったら遊んじゃうし、気を抜くから、先頭に行くスピードはあるんだけど、行きたくない。遊んでいるところに外からピューッと来られると、もう反応しない。だから、2~3番手につけて相手を見ながら寄って行くの。馬体を併せれば「あー、終わったかな」と思っても、またシュッと伸びるから。

諸:去年の安田記念ではさすがに差し切れないかな、と思ったんですけど、最後の最後でキッチリ交わして。

安:ええ、マイルチャンピオンシップでもそう。藤岡君のスーパーホーネットが来て、スーッと寄って行ったらまたスススーッとゴール前でメジャーが伸びて。脚は残っているんだけど、そうしないと力を出さないんだよね。

諸:そうなんですか。そのマイルチャンピオンシップのあと、引退レースの有馬記念でも3着に来たのは、私ビックリしましたけど、メジャーの距離適性についてはどのように感じられましたか?

安:距離はそれなりにこなすと思ったよ。1600とか2000なら自分から強引なレースをしても最後までしっかり伸びるから、ある程度強引なレースが出来たね。でも、有馬記念の2500くらいになると、どうしても人間が距離を意識して考え過ぎちゃって、ちょっと控えめな感じでレースをしたりするけど、本当は強引なレースをした方が良かったかもしれない。そこからまた頑張れるだけの根性も持っているから。

諸:有馬記念でそういうレースをするメジャーも見てみたかったですね。メジャーは引退までにドバイ遠征も含めて28戦していますが、安藤さんは12戦に騎乗されて6勝、そのうちG1が4勝と素晴らしい成績を残されています。振り返ってみて、安藤さんにとって、メジャーのベストの時はいつだったと思われますか?

安:僕が乗っている時はいつもベストの状態でした(笑)。だから、正直もっと乗りたいという気持ちはあった。これはナイショで、あまり言ってないんだけど、僕は、もう一年ね、引退を延ばして欲しかったの。なぜかと言うと、ドバイワールドカップを使って欲しかった。遠征したとき、調教でドバイのダートを走ったんだけど、その動きなんかシビれましたよ。素晴らしい動きをして、むっちゃ凄い走るな、と思って。ドバイに行ってダートのG1を使っても面白かったと思う。あのドバイのダートで調教した時の動きっていうのはね、今でも忘れられないくらい。

諸:そうなんですか!今だから話せる事実ですね。いやー、私もあと1年やって欲しかったなーって。今度は妹に託していきましょう(笑)。どうですか?スカーレットはメジャーと比べてタイプに違いがあると思うんですけど。

安:確かにまったくタイプが違うんだよね。乗り心地も、クッションも。メジャーはさっき話したように、重量感のあるタイプだったけど、反対に、スカーレットの方は良い意味で軽い感じ。同じ母から生まれたのに、お父さんが違うとあんなに違うのかなって。

諸:メジャーはサンデーで、スカーレットはタキオンですよね。一番最初にスカーレットに乗った時にはどのような印象でした?

安:最初はね、デビュー前に乗ったんだけど、スピードがあって、間違いなく走る馬だっていうのは分かったね。ただ、レースでどう乗るかっていうのは考えさせられたね。まだ若くて繊細なところがあったから。

諸:お兄さんとタイプは違うけど、走る馬の雰囲気は最初からあったんですね。私も、今までいろいろな牝馬を見てきましたけど、スカーレットは本当に強いですね。

安:そう、強いのももちろんだし、瞬発力もあると思うんだけど“しなやか”だから。ある程度流して行っても上がりをまとめちゃうから、後ろが捕まえにくいの。

諸:今年スカーレットは、大阪杯から始動予定ということで、安藤さんも昨日追い切りに乗られて。感触は凄く良さそうに見えましたが、いかがでした?

安:もともと凄く軽快な馬だからあれぐらい動いてくれるだろう、と思ってたんだよね。それより嬉しかったのは、久々に乗って、またリラックスした感じがしたことだね。馬自体が精神的に成長したんじゃないかなって期待を持たせてくれる。走法から考えても、2000くらいの距離がベストかな、と思うけどね。気性的にもマイルから2000くらいが、現状では競馬がしやすいと思う。

諸:2000の大阪杯の次に1600のヴィクトリアマイル、というローテーションも考えられますけど、距離の違いによって乗り方が変わる点はありますか?

安:いや、あの馬に関しては問題ないと思う。特に僕が「良いポジションを取りに行こう」と考えた事がないのに、自然に良いポジションに行っちゃうから。それだけスピードの乗りも良いし。

諸:スカーレットにとっての理想の時計、という形で行かせているわけですか?

安:そうですね、またホント、ゲートの上手い馬でね。スタートに関しては何にも不安が無い。もう馬に任せておけば、真っ先に出てくれるからね。

諸:今年もスカーレットは楽しみな一頭ですよね。

安:ええ、もちろん。今までも結果をずっと出している馬だから。崩れる事は無い、と思っているよ。


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安藤勝己

1960年愛知県生まれ。
1976年NAR免許を取得。岐阜・笠松競馬場を中心に騎乗する。
2003年JRA免許を取得。
JRA通算成績は813勝(3/20現在)
初騎乗:1980年 5月 11日 4回阪神8日 10R ヤマニンスキー( 1着/ 12頭)
初勝利:1980年 5月 11日 4回阪神8日 10R ヤマニンスキー


■主な重賞勝利
・07年マイルCS(ダイワメジャー号)  ・07年エリザベス女王杯(ダイワスカーレット号)  ・07年安田記念(ダイワメジャー号)
2007年はJRA賞(最高勝率騎手・勝率0.238)に輝いた。連対率も0.410という驚異的な数字を残し、G1も6勝をあげる大活躍をみせた。08年も既に4つの重賞タイトルを手にしており、勝利数、内容ともにトップクラスの活躍を続ける。





諸星由美

ターフライターとしてスポーツニッポンで活躍中。
数々の万馬券や高配当を的中させ、新聞だけでなくテレビでもその鋭い予想理論を発表し人気を博している。
ターフライターとして活躍するかたわら、美容カウンセラーとしても活動している。
著書に「キレイな女になりなさい」(05年・幻冬社刊)。

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