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花田秀雄調教助手

デビュー以来、10戦して1番人気は一度のみ。派手さのないブラックタイド産駒という血統背景から来るものだろうが、デイリー杯2歳Sの勝利を皮切りに、朝日杯FS・皐月賞・日本ダービーという3度のG1で見せ場を残してきた実績を侮ってはいけない。花田秀雄調教助手いわく、8着に崩れた秋緒戦、神戸新聞杯の敗因は明確で、重賞を制した淀の舞台でテイエムイナズマが怖い存在に浮上してきた。

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敗因が明確な神戸新聞杯

-:テイエムイナズマ(牡3、栗東・福島厩舎)についてよろしくお願いします。今朝は幸ジョッキーが騎乗してCWで3頭併せの追い切りが行われ、花田さんはペースメーカーに騎乗して先頭を走り、幸ジョッキーが直線で最後に差してくるという形でした。動き自体は重く見えたんですけれど、後から時計を聞いたら79秒出ているということで、今のCWのコンディションから言えば、十分走っていますよね?

花田秀雄調教助手:いい負荷がかけられました。思ったよりちょっと速くて、もう少しペースを抑えたかったのですが、一週前ですし、ここでビッシリとやって、来週は軽めでいこうかなと思っています。

-:ビッシリやれたということは、体重面での不安はないということですね。

花:全く問題ないですね。飼い葉も食べていますし、その辺は全然気にしていないです。

-:ちょうど1年ほど前にデイリー杯を勝って、どこまで行くのかなと思ったけど、その後、少し足踏みが続いています。それでも皐月賞、ダービーと6着でまとめていて、特にダービーは不利を受けて、勿体無いレースでありながら6着でした。この馬の実力を見直したファンも多く、神戸新聞杯を楽しみにされていたと思います。休み明けでの敗戦となってしまいましたが、レースを振り返っていただけますか?

花:この馬はずっと厩舎にいたので、休み明けというのが初めてでした。それで少しやりにくい部分がありましたね。体重が減って放牧から帰って来て、それを戻しつつの追い切りだったので、どうしても手緩くなってしまっていたところがあります。その割にはいい感じにできていたし、ある程度まとまった身体で出せたと思ったんですけれど……。一番痛かったのは、直前での乗り替わりでした。予想外だったし、やっぱりずっと乗ってもらっているジョッキーじゃないと、ちょっとしんどいところがある馬なので、そういう色々な要素が重なって、少し物足りないトライアルになってしまったのかな、というのはありますね。



-:体重を戻しつつの調整で挑んだ神戸新聞杯ということで、使った後の疲れはありませんでしたか?

花:ちょっと腰に疲れは見えましたが、飼い食いも落ちていなかったですし、2歳時に比べたら回復は早かったですね。やっぱり少し大人になっているので、回復力が出てきている感じはありました。

-:ダービーを使って、初めての放牧に出て、体重は減ったけれども、精神的にはリラックスできて、リフレッシュしてきた状態ということですね。

花:そうですね。調教でも昔に比べて落ち着いている時間帯が長くなりました。休み明けの時はふわふわした感じの調教が多かったんですよね。“休んでいたから少し気合が足りなかったのかな”という感じだったんですけど、一回使ったらグッと気合が乗ってきました。馬をなだめるのがしんどいくらいの走りでしたが、それも本来の姿かなと思いました。

10/10(木) CWコースでナムラドキョウと併せ94.4-79.2-65.4-52.2-39.2-13.0秒(一杯)をマークした


潜在能力は天才Jのお墨付き


-:今朝も追い切るまでに、1コーナー付近の丸馬場で、結構長くウォーミングアップされていましたけど、ああいうところを走っても気を乱すことがなかったですね。

花:あそこが一番落ち着くんですよ。ビックリするくらい落ち着きます。ハミもかからなくなって、むしろ押していかないといけないくらいでした。あそこでいい具合にリラックスさせつつ、ウォーミングアップをしてから、いつも調教に向かっています。

-:イナズマはあの丸馬場が好きなんですね。

花:不安なところが何もないんでしょうね。生け垣に囲まれて何も見えないし、静かですし、バタバタしないので、イナズマにとってちょうどいい環境という感じですね。昔は行ってなかったんですけど、たまたま行った時に「あれ、大人しいぞ」と思って、そこから使い出したんですよ。

-:なかなか行かない場所だと思うのですが、丸馬場に行こうと思ったキッカケはなんですか?

花:僕が基本的に、調教を入れるときは丸馬場に行くんです。他の馬でも、あそこで左回り、右回り、8の字とウォーミングアップをしてから馬場に行くと、モタレがなくなって真っ直ぐ走れるようになるんです。この馬はモタレが全然なかったので、直接トラックに行っていたんですけど、徐々にかかるようになってきて、デイリー杯の後に“丸馬場に連れて行ってみようかな”と思ったのがキッカケですね。そうしたら、意外と行けるんだな、と。行ったらうるさそうなイメージもあって控えていたんですけど、むしろ大人しかったです。

-:メンコについてですが、毎日杯から皐月賞までの間に一回調教でメンコを外して、それで気合が乗ったのか、皐月賞の時、レースではメンコをつけていたんですよね。

花:アーリントンCと毎日杯の間は、馬の調子もあまりよくなくて、「ちょっと気合が足りないのかな」という話もあったので、幸さんと「刺激を与えるために、一度メンコをとってみようか」という話をしていたんですよ。それで、メンコを外して幸さんで追い切る予定だったのですが、その時に幸さんが騎乗停止で乗り替わりになったんですよね。それで、ユタカさん(武豊騎手)になったので、「一応メンコ外してみます。これでユタカさん判断して下さい」と言いました。そうしたら「やっぱり掛かるから、つけたほうがいいよ」と言われたので、また戻したんですよね。それで皐月賞に行ったら6着まで来たし、メンコをつけても外しても、そんなに変わりはないのかなと。でもメンコを付けておいたほうが、落ち着きはありますね。

-:皐月賞を上がってきた時のユタカさんのコメントはどうでしたか?

花:「走るよ」と言っていました。「大外枠で、出していくか控えるかどっちかしかない中、後ろでじっと我慢して、直線だけの競馬であそこまで来たし、能力あるよ」と言ってくれましたよ。折り合いも思ったよりは大丈夫だったみたいですし、あの皐月賞はかなりの収穫がありましたね。



得意の京都で一発の魅力あり


-:ダービーの上位馬はエピファネイアくらいで、その他のメンバーは大きな差のない実力・実績だと思います。距離は3000mですけれど、京都はイナズマに合うでしょうし、穴党は注目しておいた方がいい馬だと思うのですが、いかがでしょう。

花:ブレーキなく直線を向けたら、という感じですね。ブレーキがかかってしまうと、トビが大きいあの馬はギアが入らなくなってしまうので。京都は広いですし、流れる感じで行ってくれれば、それがベストかなと思います。

-:直線で、外からいい脚で伸びてくるイナズマを期待したいです。

花:そうなればいいですね。一応そう考えてはいますけど、枠順にもよりますしね。

-:もう皐月賞の時の大外枠というのは御免でしょう?

花:御免ですね(笑)。普通に回ってくればいいので、真ん中くらいで、できれば後入れの偶数番の方がいいです。

-:ダービーの時を見ると、装鞍所にあんまり行儀の悪い馬がいない方がいいですね。

花:そういうのは運次第なので……。前走は四位さんが乗って、一番後ろからの競馬だったんですけど、もともと幸さんとは”中団くらいで競馬しようかな”と話していました。だから今回はそういう感じになるかもしれないです。

-:春よりもオールマイティーさが出てきているということですね。

花:幸さんも自信を持っていますし、馬の後ろに入ってしまえば折り合いはある程度つけられるので、一番後ろじゃなくてもいけそうかなと。ゲートを出ないとわからないですが、ジョッキーの乗り替わりさえなければ大丈夫かなと思っています。



-:幸ジョッキーも、アーリントンC、皐月賞、神戸新聞杯と、騎乗予定ながら乗れずに、歯がゆい思いをしたと思います。大きなところを狙える馬だと思うので、期待していると思います。

花:そうですね。今回もチャンスはあると思います。

-:状態も神戸新聞杯からの上積みはあると見ておいたほうがいいですか?

花:上積みはもちろんありますね。

-:体重はどうですか?

花:途中で体重を量ってしまうと、飼い葉を増やしたり、減らしたり、というのをしたくなってしまうので、とりあえずはいつも通りに食べさせて、様子を見てという感じです。今までも身体つきを見ながらやってきましたし、神戸新聞杯の時も体重は量りませんでしたが、プラスマイナス0で競馬に持って行けましたしね。量るとしたら、来週の追い切り後は絶対に量らないといけないので(JRA発表の調教後馬体重発表のため)、そこですね。

-:見ている感じではどうでしたか?

花:今日、追い切った後はスラっとしていましたけど、よく食べるので、2~3日したらまた戻ってくると思います。

-:今日の追い切りを糧に、来週は坂路でサッとやる予定ですか?

花:来週は、時計はもうそんなに出さずに坂路で追うつもりです。

-:未知の上積みと、末脚に期待しています。最後に、菊花賞で一発大儲けを狙っているファンの方にメッセージをお願いします。

花:前走は色々と上手くいかないことがあったんですけど、大きいところを勝とうとしたら、やっぱり全てが上手くいかないと勝てないと思います。菊花賞は上手くいくことを願って、少しでもいいコンディションに持っていけるよう、あと10日間、きっちりやっていきたいと思います。




【花田 秀雄】 Hideo Hanada

トレセンに入って、まだ6年ほどという若きホースマン。テイエムイナズマとの 出会いによって、昨年のデイリー杯2歳Sを制し、人馬ともに重賞初制覇。日本 ダービー、皐月賞と大舞台を経験し、貴重な日々を送っている。


【高橋 章夫】 Akio Takahashi

1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて17年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。