元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
風
2016/2/18(木)
それでは、先週の競馬を振り返りましょう。まずは、京都で行われた京都記念。前日の晩に降り続いた雨の影響により、不良馬場発表だった朝から少し改善されたとはいえ、非常に重くなった馬場で、見事復活優勝をしたのはサトノクラウンでした。前週のサトノダイヤモンドに続く重賞制覇で、春一番ではなくサトノ旋風が巻き起こりましたね。今回はルメールが関東での騎乗があるためか、鞍上にはミルコが選ばれましたが、今回はこれが好を制したと言っても良いのではないかと思います。スタート直後、復活した藤岡佑介君とスズカデヴィアスが逃げを打つと、その後ろにつけ、ぴったりと3番手を追走しました。いつもならスタートやスタート後も遅い馬ですが、今回のスタートは万全でしたしね。そこから、馬場状態を考え3番手につけたのが、本当にミルコらしい騎乗だったと思います。その後もペースとしてはかなり遅めのなか、早々と4コーナーから仕掛けると、後続の猛追を許すことなく勝利しました。
2着には牝馬のタッチングスピーチが入りましたね。この馬は本当に、夏を越えてから一番成長した馬と言ってもいいほど、良い走りをしますね。今回の走りで馬場の心配もいらなくなりましたし、スローの中でも2着に入る末脚も見られましたし、去年のショウナンパンドラの再来になる日も近いのではないでしょうか。京都では春一番、サトノ旋風にミル一番と多くの風が吹き付けた週となりました。
圧巻だったのは土曜に東京で行われたクイーンCでした。女王メジャーエンブレムの力に脱帽させられましたね。スタートも抜群、ハナを行けば11秒台を刻み、最後までその脚を鈍らせることなく勝ったのは脅威としか言いようがありませんね。体付きからも1600mまでかなと思っていましたが、あれだけ言うことをきいてスタートも上手い馬となるとルメールが言うように2000mも2400mも走りきれると思いますね。新馬戦から手綱を握るルメールとメジャーエンブレムのコンビは、日本レベルに収まる馬ではないのかも知れません。ルメールのスタートの良さと無駄のないコース取りはこの馬にぴったりですし、今後も本当に楽しみです。ここで、頭ひとつと言うよりふたつは抜け出した女王が本番でも圧倒的な勝利を見せるのか、はたまた周りの騎手達も女王に「簡単にやらすことはないぞ」とハナを奪い、馬群に女王を入れるのか。本番での戦い方にも注目していきましょうね!
今週は2016年、初の中央G1フェブラリーSが行われます。まず、注目を集めるのがノンコノユメになるのではないでしょうか。今までも参加レースのほとんどで、上がり最速の脚を使ってきた馬ですし、内ラチを突き抜けることのできる根性もありますしね。ただ、ズブいところもあるため、展開次第では難しくなることもあるでしょうが、それでも力は超一流といっても過言ではないでしょうね。その次は同一G1の3連覇がかかるコパノリッキーになるでしょう。誰もしたことがない偉業と騎乗する豊ちゃんはセットに見えますからね(笑)。ここで、さらっと新しい記録を作り出すかも知れません。
その他にはベストウォーリアや復調してきたグレープブレンデーにモンドクラッセもいますしね。個人的にはモーニンのスピードは距離が保てばと注目しています。以前のように、ヴァーミリアンやカネヒキリ、ホッコータルマエだけに注目しとけばいい環境から全てにチャンスがある今年のダート路線は混戦極まりありません。是非、あの感動を東京競馬場で味わってみて下さい!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。