元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
楽しみな3歳馬勢ぞろい
2021/2/2(火)
皆様、こんにちは!今週はビックなニュースに思わず心がワクワクしてしまったのが田中将大投手の楽天復活です。NYヤンキースは毎年のごとく設定された値を上回り、贅沢税という資金を支払い、お金のない球団へと回していました。しかし、今年は贅沢税を払わないように年俸を規定値の中に入れるため注目されていましたが、寸前で田中投手よりも安く投手を獲得したことで、もしや!と思っていましたが、まさか本当に帰ってきてくれるとは……。メジャーでもエース級の彼が自分を育ててくれた楽天に脂がのっている間に帰ってくることに、またまた野球を見るのが楽しみになりました。我が巨人軍と対戦の時にはできれば出てこないで頂きたい投手です(笑)。
先週は中山開催から東京開催に替わり、東京・中京・小倉の3場開催でした。その中でも東京で行われた根岸Sを振り返りたいのですが、その前に同日行われた東京の新馬ではフィエールマンの妹エクランドールが堂々の登場でしたね。2着馬ホウオウサミットも非常に素晴らしい走りをしていました。前半ゆったりとしたペースからよーいドンの競馬になったとはいえ、終い33.1の末脚は素晴らしかったです。体も430キロと小柄なため、これからの成長次第では重賞やG1にも出てくることになるでしょうから見逃せません。
そして、私が重賞を勝っている馬よりも気になったのがセントポーリア賞を勝利したグレートマジシャン。走りがかなり好みです。ルメールのGOサインに直ぐに反応するところも素晴らしかったですし、何より走り方が綺麗。スタートでは少し後手を踏んでいましたが、そこもトレーニングで体が成長してくれば良くなるでしょうし、非常に楽しみな一頭だと思います。
それでは、根岸Sを振り返りましょう。最終的に1番人気になったレッドルゼルが見事なレースで勝利を挙げました。2021年、勝ち星が伸び悩んでいた川田君にとっても嬉しい2週連続の重賞制覇となったと思います。レースは前半1000mが非常に速いペースで流れていきました。このペースでは、さすがに先行勢は崩れます。その中、スタートからヘリオスが内へ進路を取った時、川田君のフィーリングが前は崩れると読んだと思います。そのためタイムフライヤーの後ろにつけ、じっくりと脚をタメるレースを選択しました。1200mや1400mで走ってきた馬だけに、次の1600mへの対応としてはここで我慢を覚えさせる必要があったからだと思います。
内の前が詰まる中、タイムフライヤーとルメールが距離短縮も何のそのと抜け出しを計りました。その矢先に、前の騎手のムチの動きを見た川田君は素早くムチを持ち替え、内へと進路を取ろうとしたところを外へと切り替えました。この冷静な判断力と切り替え力は流石だなと思わせる内容で、最後は差し切りました。距離への対応の練習を含めて勝ち切ることができたのは非常に大きかったと思います。個人的に中山よりも長い直線が良い馬だと思っていたのでコース適性もあったとは思いますが、この走りならばフェブラリーSも非常に楽しみになったのではないでしょうか。
2着には毎回いい走りをするワンダーリーデルが入り、親子厩舎でのワンツーフィニッシュとなりました。これで親子丼は数回目になるらしいですが、全て父が先着しているという結果は面白いですね。息子にとっては高い壁でしょうが、それでもこの経験が調教師として更なる成長を促してくれるのではないかと思っています。何より、この馬を引き継ぎ長く走れるようにし、2着とはいえ体調を整えてきているあたりは父譲りの才能を見せているんですけどね(笑)。
今週が終われば中京開催はいったんお休みになります。しかし、気になるのは馬場状態です。例年よりも使っている中京の馬場は見た目以上に厳しくなっている印象なので、適性も必要になってくるかもしれません。そんな中京では日曜日にきさらぎ賞が、東京では東京新聞杯が行われます。とりわけ、きさらぎ賞は非常に面白いメンツが揃いました。まずは前回のホープフルSで2番人気に推奨され、三浦君の初JRA G1勝利を期待していたランドオブリバティに注目しています。前回は1コーナーの入りから逃げるような素振りを出していましたし、左回りに替わってハミを変更してどうなるのか楽しみです。
才能豊かなヨーホーレイクやダノンジェネラルにラーゴムもいます。それらを差し置いて私のイチ推しはディアデラマドレの弟ディオスバリエンテ(※追記:来週の共同通信杯に出走予定となりました)です。前回負かしたボーデンが先週圧勝したことからも期待が上がっています。楽しみな3歳馬が沢山でてきているので、是非ここでも圧巻の走りを見せてほしいと思います。田中マー君のような大物の誕生なるのか!?その結果は今週末に!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。