
元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
玄人受けするレース作り
2025/9/23(火)
皆様、こんにちは!夕方、外に出ると鈴虫の鳴き声が聞こえ始め、秋の訪れを感じています。早くも1年の4分の3が過ぎるのかと驚きつつも、2025年も悔いのないように色々なものを食べていきたいと思っています(笑)。

さて、阪神競馬場で行われた神戸新聞杯は川田君がエリキングに騎乗し、3週連続の重賞勝利を飾りました。このレースは、まさに玄人好みする巧みな騎乗が随所に見られたと思います。勝利騎手インタビューでは「次の準備をしながらも勝てて良かったです」と話していましたが、その内容は緻密でテクニカルなものでした。
想像以上のスローでペースが上がらない展開のなか、ただ勝ちに行くだけなら早めに動く選択肢もありました。しかし、次の菊花賞で3000mを勝ち切るためには、そこで動いては厳しくなることが明らかでした。そこで川田君はエリキングを我慢させることを選択したのです。
まだ仕上げきっていない段階で、次を見据えた教育的な騎乗を選んだ我慢でした。この判断はプロ中のプロの選択だと唸るほどでした。「菊花賞のための準備」と第一声で発するも、その言葉以上に奥深い内容が詰まったレース運びで、本番が非常に楽しみになりました。

いよいよ秋G1の開幕です。中山競馬場ではスプリンターズSが行われます。春秋のスプリントG1制覇に向けてサトノレーヴに注目が集まっています。相棒のモレイラと共に勝利を掴んでほしいと願っています。他にも、香港からの刺客ラッキースワイネスや復活をかけるナムラクレアにルガル、ママコチャなど豪華メンバーが集まります。ぜひ中山競馬場で、その結果を見届けてください!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。