いよいよ秋の中央開催が開幕。来年のクラシックを目指す、いわゆる王道系の馬も次々にデビューしてくるので、POGもこれからが本番だ。
そして、秋の阪神に有力馬を多数用意していたのが角居厩舎。昨年は2歳馬が少なかったが、今年は良血馬も揃っており巻き返しが期待される。

開幕週には2頭。土曜日の1600m戦を予定しているのはハリケーンバローズ(牡2、栗東・角居厩舎)。「血統的にはダートも面白そうですが、スピードもありそう。まずは芝でどんな走りを見せてくれますか」と吉岡助手。
鞍上はMデムーロ騎手。Uncle Mo産駒は日本での出走回数は少ないが、いい意味で未知数のところもあり、どんな走りを見せてくれるのか楽しみである。
このレースには、エアスピネル(牡2、栗東・笹田厩舎)も予定。関西の記者に評判の馬を聞いたところ、真っ先に挙がった馬である。それもそのはず、8月26日の坂路では上がり12秒1の時計を出し、1週前の坂路も軽く52秒3をマークと動きは良好。血統も、母は秋華賞を勝ちオークスなどGⅠ2着が2回あるエアメサイア。半姉のエアワンピースは3連勝し、重賞も狙える素質を感じさせた馬。調教、血統から期待は高まるばかりだ。

同日の牝馬限定1400m戦には、角居厩舎のエルビッシュ(牝2、栗東・角居厩舎)が注目の一頭。
「しっかり負荷をかけてここまで調整できている。距離は融通が利きそうだが、いい動きでスピード勝負にも対応できそう」と吉岡助手。母は毎年のように評判馬を輩出している期待の繁殖牝馬。初仔のアドマイヤオウジャと2番仔のエルノルテは新馬勝ちしており、この馬も初戦から行ける。
同じレースを予定しているショウナンマシェリ(牝2、栗東・梅田智、父キンシャサノキセキ、母ショウナンカッサイ)は、8月26日の坂路で先行したとはいえ新潟2歳Sで4番人気になっていたウインミレーユ(牝2、栗東・梅田智厩舎)に先着。1週前はウッドで上がり12秒1をマークし、能力の一端を感じさせる。母は新馬、ききょうSと連勝し、阪神JFでも4着したショウナンカッサイ。母から早熟性の高さも見込め、2歳戦から勝負できる。

ハリケーンバローズ
牡、栗東・角居、Uncle Mo×Naughty Mambo
POGシメイ

エアスピネル
牡、栗東・笹田、キングカメハメハ×エアメサイア
POGシメイ

エルビッシュ
牝、栗東・角居、キングカメハメハ×シーズオールエルティッシュ
POGシメイ

日曜日の阪神2000m戦は、POGでも人気のラニ(牡2、栗東・松永幹厩舎)が武豊騎手で出走。
「母親もそうだったが、あまり自分から走る気を出さないタイプ。ただ、気合いを乗せて促すといい動きを見せる。大物感がある」と松永幹師。母は天皇賞(秋)を制したGⅠホースのヘヴンリーロマンス。 初仔のアウォーディーは目黒記念4着、2番仔のアムールブリエは交流重賞2連勝中と、繁殖牝馬としても成功している。3番仔のラニにも大きな期待をかけて良かろう。

 関西に比べると、関東はエース格の堀厩舎が東京に照準を合わせているせいか小粒。目立つのは国枝厩舎のダイワチャーチル(牡2、美浦・国枝、父ハービンジャー、母ダノンフローラ)だ。1週前のウッド調教では、稽古駆けするミッキーグローリー(牡2、美浦・国枝厩舎)を追走して併入。外目をまわって12秒台の上がりなら合格点だ。母のダノンフローラは新馬勝ちしながら4戦で引退したため大成できなかったが、その半兄にダービー3着のハイアーゲーム、半弟に重賞2勝のダイワマッジョーレがおり、先々まで見込める。

 その国枝厩舎だが、待望の期待馬が入厩してきた。ルージュバックを姉に持つケイブルグラム(牡2、美浦・国枝厩舎)である。筋肉質で520キロある馬体と聞いていたので、ダートのイメージも持ったが、父や姉を考えれば芝でも大丈夫だろう。個人的にも複数のPOGで取ったので、特に頑張ってほしい。そして、もう一頭はウォリアーズクロス(牡2、美浦・国枝厩舎)。海外セリで購入され、シルクRで募集されたのは最近のこと。それでもすぐに満口になったというのだから評判は高いのだろう。その人気の裏付けになったのが国枝厩舎に所属が決まったこと。
今年の国枝厩舎はPOG本取材の3月時点で、「銀河系軍団」と呼ばれるほど有力2歳馬が揃っており、その後も千葉セリの高額馬が複数入厩。お腹いっぱい状態だと思うのだが、そんな状況にもかかわらず、この馬は国枝厩舎に入ることが決定。相当な期待馬でなければ、今更国枝厩舎に入ることはあるまい。そんな背景を考えての注目馬である。

 他厩舎では、パローマ(牝2、栗東・角居)。半姉は牝馬3冠のアパパネで、母のソルティビッドに初めてのディープという点でも興味深い。

新規入厩ではないが、再入厩の新馬組もPOG人気馬が目立つようになってきた。
東京を目指すと思われる堀勢は、マウントロブソン(牡2、美浦・堀、父ディープインパクト、母ミスパスカリ)、ウムブルフ(牡2、美浦・堀、父ディープインパクト、母ウミラージ)、関西では石坂厩舎お馴染みの血統シンハライト(牝2、栗東・石坂、父ディープインパクト、母シンハリーズ)が帰厩。デビューに向けての調教が始まる。東京、京都開催が待ち遠しい。


ラニ
牡、栗東・松永幹、Tapit×Heavenly Romance
POGシメイ

ケイブルグラム
牡、美浦・国枝、ディープインパクト×ジンジャーパンチ
POGシメイ

ウォリアーズクロス
牡、美浦・国枝、Warrior’s Reward×Dattts Cool
POGシメイ

ウムブルフ

姉がGⅠ馬という血統でPOGでも人気のウムブルフ