今週は菊花賞(G1)。このレースでPOGファンが思い浮かべるのは、菊花賞そのものだけでなく、いわゆる「伝説の新馬戦」。

7年前になるが、デビュー前から評判だったアンライバルド、リーチザクラウン、ブエナビスタの3頭が、菊花賞当日の新馬戦(芝1800m)で対決。ハイレベルな高速上がりの決着で、アンライバルドがその名の通りライバル2頭を完封した。そのアンライバルドは後に皐月賞を制覇、2着のリーチザクラウンはG1こそ勝てなかったが、ダービーで2着し、重賞は2勝。ブエナビスタはG1を6勝と大活躍。更に当時は8番人気と目立たぬ存在ながら3強に続く4着に入ったスリーロールスが、菊花賞を制している。更に付け加えると5着だったエーシンビートロンも交流重賞を勝ち、9歳になっても健在。9月にはオープンのエニフSを勝っている。

そして、翌年の菊花賞デーでは、後のJC勝ち馬ローズキングダムと、後にドバイワールドカップや有馬記念、皐月賞を勝つヴィクトワールピサがワンツー。これだけ活躍馬が出てくれば、関係者も菊花賞デーの新馬戦を意識するもの。それ以来、この日の新馬戦は「伝説新馬」になるのではと注目され、JC&菊花賞勝ち馬エピファネイアのほか、ダノンバラード、トーセンスターダムと重賞勝ち馬が、この菊花賞デーの新馬戦を勝ち上がっている。

ただ、この頃は外回りの芝1800m戦。昨年から内回りの芝2000m戦に変わり、少々小粒になった感は否めない。さて、今年は「伝説新馬」と呼ばれるレースになるのか。

注目の出走予定馬だが、栗東で評判が高いのはドレッドノータス(牡2、栗東・矢作厩舎)。
ドラフトの頃はデビューは遅いと聞いていたが、予想以上に仕上がりが進んで9月に入厩。ゲート試験後も放牧に出さず調教を積み、この時期にデビュー。POGで取った私としても嬉しい誤算だ。
「血統馬で入厩当初から雰囲気はあったが、ここにきてグンと良くなってきた。ジョッキーもいい感触を掴んでくれている様子」と矢作師。鞍上は武豊騎手を予定している。母は重賞3勝のディアデラノビアで、半姉も重賞3勝のディアデラマドレと斬れ者が並ぶ一族。母系の良さがしっかり出てくれば、菊花賞デーに勝ち上がった偉大な先輩も見えてくる。

これに対するは、ファスナハト(牡2、栗東・庄野厩舎)。半兄にセントライト記念勝ち馬クォークスター、セレクトセールで1億円を超える高額だったエスオンマイチェスがいる期待の血統。調教の動きも良く、初戦から計算できる。

他には、近親に海外G1勝ち馬のシーキングザパールや、シーキングザダイヤがいるクロークス(牡2、栗東・梅田智厩舎)も出走を予定している。

ドレッドノータス
牡、栗東・矢作、ハービンジャー×ディアデラノビア
POGシメイ

ファスナハト
牡、栗東・庄野、マンハッタンカフェ×フェスタデルドンナ
POGシメイ

クロークス
牡、栗東・梅田智、コンデュイット×プルーフオブラヴ
POGシメイ

クロークス

▲調教中のクロークス


同日の芝1400m戦で注目は、母がG1勝ち馬のクラシックリディア(牝2、栗東・石坂厩舎)。坂路54秒8-12秒7は、終いがかかり気味だったことを考えれば合格点。母からは目立った活躍馬が出ていないが、この馬によって母の名を再度高めたい。

菊花賞デーも楽しみだが、前日の芝1600m戦にも楽しみな馬が出走。ヴィブロス(牝2、栗東・友道厩舎)は、開幕週の新馬で快勝したシンハライト(牝2、栗東・石坂厩舎)と並ぶノーザンF日下厩舎期待の牝馬。
「環境に慣れる毎に動きも上向いている。姉も稽古はそう動くタイプではなかったし、イメージの重なるところは多々ある。実戦で良さが出そう」と友道師。
その調教は、1本目こそ新馬大楽勝のマカヒキにちぎられたが、ここ2週は終い12秒前半で上がっており、水準には達している。全姉はヴィクトリアマイル連覇のヴィルシーナで、2歳戦から急ぐ必要もない。末はオークスか。

モーリスの半弟ピッツバーグ(牡2、栗東・矢作厩舎)は先週デビューの予定を1週延ばした。そのぶんの上積みは見込めよう。

クラシックリディア
牝、栗東・石坂、ハービンジャー×ブルーメンブラット
POGシメイ

ヴィブロス
牝、栗東・友道、ディープインパクト×ハルーワスウィート
POGシメイ

ピッツバーグ
牡、栗東・矢作、ダノンシャンティ×メジロフランシス
POGシメイ

クロークス

▲姉同様の活躍に期待がかかるヴィブロス


東京開催では、芝2000m戦にマウントロブソン(牡2、美浦・堀厩舎)が登場。POGでも上位人気になった馬で、開幕週で惜しくも敗れたウムブルフに並ぶ堀厩舎の評判馬だ。調教の動きは目立たないが、この厩舎はドゥラメンテ、ゴールンデバローズなど、叩いてから能力発揮する馬が多く、初戦は先に向けての内容を見せてくれればいい。

関西からはタイセイヴィクター(牡2、栗東・矢作厩舎)が遠征予定。1週前は同厩のドレッドノータスに併せ馬で少差遅れたが、楽な手応えで6F81秒台を出しており心配ない。

同日の牝馬限定マイル戦は血統馬が並ぶ。シャリオドール(牝2、美浦・戸田厩舎)は母サプレザが英国G1サンチャリオットSを3連勝。日本でもマイルCSで3着が2度あるので、覚えている人も多かろう。

ヘラルドスクエア(牝2、美浦・手塚、父キングカメハメハ、母コロンバスサークル)は、オープン馬コロンバスサークルの初仔。その母の弟にはダービーフィズ、クレスコグランド、妹にはマンハッタンフィズと重賞勝ち馬が並び、この母にも期待がかかる。

デイジーベル(牝2、美浦・上原、父ネオユニヴァース、母ベルスリーブ)は、京都2歳S勝ち馬ベルラップの半妹。兄同様に2歳戦から動けそうだ。

マウントロブソン
牡、美浦・堀、ディープインパクト×ミスパスカリ
POGシメイ

タイセイヴィクター
牡、栗東・矢作、ヴィクトワールピサ×オネストリーダーリン
POGシメイ

クロークス

▲堀厩舎期待の1頭マウントロブソン


シャリオドール
牝、美浦・戸田、ヴィクトワールピサ×サプレザ
POGシメイ

結構揃いそうなのが東京ダート1600m戦。いつもはダート戦は地味な顔ぶれで、あまり採り上げないのだが、このレースは藤沢和、国枝、堀といった関東を代表する厩舎が揃って期待馬を送り込んできた。

レッドゼルク(牡2、美浦・藤沢和、父カジノドライヴ、母サセッティ)は、半姉に阪神JF3着馬レッドセシリアがいる。
「時間をかけてしっかり乗り込み、力の出せる態勢が整いました。ジョッキーにも跨ってもらい感触は掴んでもらっています。父の血筋からもダートは適性は高いと思います」と津曲助手。いわゆるクズの出ない一族のうえに2歳戦から活躍していることから、この馬も初戦から好勝負できる。

ウォリアーズクロス(牡2、美浦・国枝、父Warrior’s Reward、母Dattts Cool)は、海外セール出身。シルクレーシングでは募集して早くに満口になったようで、人気は高い。1週前調教は時計こそ平凡だったが、G1馬ダノンプラチナと併せ、厩舎の期待が伝わってくる。

ストロングバローズ(牡2、美浦・堀、父Mineshaft、母Chelsea Ballad)は、吉田勝己氏が海外セールで購入した馬で、雰囲気は昨年ダートで3連勝したゴールデンバローズを思わせる。この3頭の戦いこそが、実は伝説新馬になったりして?

新規入厩組は、ダービー馬ロジユニヴァースの半妹になるタイムレスメロディ(牝2、栗東・高野、父ディープインパクト、母アコースティクス)、POGでも穴人気になったラグルーラ(牡、美浦・加藤征、父ディープインパクト、母アドアード)、桜花賞、オークス3着ジェルミナルの半妹オンブルオール(牝2、栗東・角田、父ステイゴールド、母オンブルリジェール)が注目どころだが、再入厩組で目玉が一頭。

サトノダイヤモンド(牡2、栗東・池江寿厩舎)は、個人的にも某POGで1位指名した期待の馬。ゲート試験合格後しがらきに放牧に出ていたが、短期間で栗東に帰ってきた。1本目の調教内容も上々で、まずは期待通りの滑り台。順調なら5回京都開幕週でデビュー予定で、そこを勝てば次は京都2歳Sか?そんな期待を現実にしてほしいものである。

サトノダイヤモンド
牡、栗東・池江寿、ディープインパクト×マルペンサ
POGシメイ

クロークス

セレクトセールで2億3000万円の値が付いたサトノダイヤモンド