
初めての個人所有馬ジャスタウェイがレーティング世界No.1の評価を獲得し、種牡馬に。
人並み外れた馬運の持ち主が脚本家という本業のキャリアを活かし、馬主ライフを書き下ろします。
『夏休み特別寄稿 わかる人にはわかるポケモンGO遠征記 IN 足利フラワーパーク』
2016/8/20(土)
皆さんこんにちは、ライター大和屋です。突然ですが皆さんポケモンGOやってますか?いい感じで運動不足な大和屋は言うまでもなくやってます。今までポケモンというものには触れずに人生を送ってきた僕ですが、とうとう商売敵に手を出してしまいました。まあアニメじゃないんで別に関係ないですけどね。
というわけで今、僕はポケモンGOをやりまくってます。普段なら絶対着ないTシャツ短パン姿で歩いて歩いて歩きまくり足の裏にマメ作ったり、まったく興味のない公園なんかに遠征したり。かなり一生懸命やっていると、同じくかなりやっている友人の編集者Kと飯を食う機会があって、その場でお互いやっているということで盛り上がり、酒の勢いも手伝いいい大人がいい年こいて一緒にポケモン一泊旅行に行くことになりました。というわけで今回はまったく競馬とは関係ないポケモンGO遠征記を書こうと思います。
(ポケモンGO、よくわからないというかたはこちら http://www.pokemongo.jp/)
目指すは足利フラワーパーク。知ってる人はにやりとするであろうその目的地、本来は藤棚が有名なフラワーパークで通年様々な花が咲き乱れる観光地。しかし、ポケモンGOのプレイヤーからすると、そこは栃木県の中で最も有名なポケモンの巣、ヒトカゲの巣として有名なスポットだったのです。我ながらアホだなあとか思いながらもこういうアホなイベントは嫌いじゃないです。僕の連れと編集者Kの部下Mさん。そして僕の連れの総勢四人のアホ達、全員が軽くレベル20越えである現状がそのアホさ加減を表しております。普段なら絶対に運転しないレンタカーを借り二人を拾い、普段なら絶対に乗りたがらない首都高に乗って旅行はスタートです。せっかくの一泊旅行であるはずなのに、車内ではポケモンGOの話ばかり、いい大人としてどうなんだそれはとか思う人も誰もいないので突っ込みはありません。

それではここで何故足利フラワーパークなのかについて説明しておきます。知っている人は知っていると思いますが、現状ポケモンGOというゲームの中で最強と言われているのがミニリュウをハクリューに進化させて更にもう一つ進化させたカイリューというモンスターが最強とされています。その最強モンスターカイリューに対して有利に闘うことができるのがリザードンというモンスター、もう言う必要もないことなのかもしれませんが、ヒトカゲをリザードに進化させ、更に進化させるとリザードンになるというわけです。もちろん皆カイリューは持っていますが、有利に闘いを進めるためにその当時では国内唯一のヒトカゲの巣と言われていた足利フラワーパークへと行くことになったのでした。とまあそういうわけでせっかくなら温泉にもつかろうぜ!という感じの一泊旅行とあいなりました。
何を言ってるかさっぱりという人もいると思いますが、進化というのはたくさんの犠牲の上になりたち、博士に数え切れないくらいのポケモンを送り、見返りに飴をもらうというシステム、結構苦労するものなのです……さらに言えば博士に送ると飴がもらえるって一体何がどうなっているのか深読みしてしまう感じです。グリム童話かなんかにありそうでちょっと怖いのは内緒です。
(ポケモンGO、よくわからないというかたはこちら http://www.pokemongo.jp/)
およそ二時間、あっという間に栃木県へと到着です。高速を降りた僕たちはある異変に気付くことになりました。最初に気付いたMさんは言いました「なんていうか……ポケストップ、見当たらないんだけど…」そうです。もう面倒くさいんでわかる人だけついてきてください(ポケストップとはその土地にある名所というかスポットを紹介するバーチャルのポールのようなものでそこを画面上でこするとアイテムが出てくるという仕組みになっています)。
まあ都心と一緒にしちゃだめだろうと、ナビに従い進んでいくと、見えてきました足利フラワーパーク、待ってろよヒトカゲ、獲って獲って獲りまくってやるからな…。意気揚々と無料入場券を提示しフラワーパークへと突入です。冷房の効いたエントランスを抜けると、灼熱のフラワーパークが僕らを待っておりました。気温32度、普段の僕らだったら決して出歩くことはありません。子供たちが楽しそうに水遊びをする中、我々はヒトカゲを探して歩きだします。入口付近には蓮の花が咲いています。様々な色の蓮の花が水に浮いている姿は心洗われる人もいるかもしれませんが僕らはポケモンです。


強いモンスターは何度も何度もボールを突き破り出てきてしまいます。そんな相手を逃がすまいとこちらは新たなボールをぶつけます。その命がけの攻防の結果、モンスターが諦めて捕まってくれるか、逃走してしまうかでバトルは終了します。そのイライラの先に思わず「ポケモンゲットだぜえ!」という魂のセリフが飛び出すのだと思います。とまあそんな訳で僕が逃げられた以外は皆捕獲に成功です。なかなか幸先の良い結果に満足です、捕獲したのちは新たなヒトカゲを目指して移動です。



が!ここで驚愕の新事実を突きつけられました。なんとこの公園の中にはポケストップが一つもない!つまりは物資の補給を一切受けられないということです。これも説明するのもアレなのですが、ポケモンを捕まえるためにはモンスターボールというボールが必要で、それはポケストップをスワイプすることによって貰えるのです。しかしその供給源がないとなると、手持ちのボールでなんとかしなければなりません。皆のボールを確認、一番少ない人の手持ちは百発くらい。かなり微妙な数でした。
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まあなるようにしかならないので弾切れになったらその時に考えればいいということで狩り続行。皆目的は同じようなのでヒトカゲ出現ポイントには人だかりができます。足をとめ一心不乱にスマホをいじっている人たちの姿、知らない人が見れば異様としか言いようがない光景ですが、僕らはヒトカゲがかかっているので気にしません。

これはもう熱にやられたとしかいいようがありません。この炎天下に人だけでなくスマホも壊れ始めました。すかさず自動販売機で冷えたペットボトルの水を買いそれをスマホに押し当てます。やはり冷やすと違います。めっきりエラーの表示はあまり出なくなり、さあここから遅れを取り戻そうと気合を入れなおそうとしますが、やはりじわじわ…ではなくじりじり暑い。藤棚の下に入ると日陰で涼しかったりするのですがやはり炎天下の中歩き回れば汗も噴き出します。ただでさえ運動不足のライターと編集、言うまでもなく炎天下の中2時間も歩き回ればすぐに限界はやってきます。
休憩しようそうしよう。というわけでパーク内に併設されたレストランで涼をとります。全員一致で注文したのはこちら!かき氷です。いや、すごい色をしていますが、このかき氷は人生でベスト5に入るくらい美味いかき氷でしたよマジで。
無事涼もとり復活した一行、気合を入れなおしヒトカゲ捕獲を再開、なんとか一日で30匹…と思っておりましたが、あえなく連れが弾切れになってしまいました。このまま一人を残して狩りを続けるわけにもいきません。協議の結果、明日もここに来ることに決まりました。
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そうと決まれば長居は無用、今日の疲れを流れ落とすために宿泊予定の温泉に向かいます。向かいつつ、ポケモンGOを楽しむことも忘れません。いい年した都心の大人達四人がのどかな山奥のジムへ四人がかりで殴り込みをかけました。もう説明するのもあれなのですが、ジムというのは捕まえたポケモンを戦わせるリングのような場所で三色の色のチームがそれぞれ敵対し勢力争いを行っているのです。物資も少なくポケモンを育てるのも難しい環境の田舎のジムへ手加減なしでレベル20越えした四人がかりで攻撃を仕掛ければ結果は火を見るより明らかといえましょう。しかしなんというか、ポケモンが出現すれば停車する場所を探し車をとめたり、ジムを見つけるたびに車を降りて皆で闘いに向かうという行為がやたらと楽しかったことは言うまでもありません。
そんなこんなを繰り返しつつ無事那須高原の温泉宿へとたどり着いた僕たち。普段ならば建物や部屋、施設や温泉などいろいろとチェックをする僕らですが、今回はどんなポケモンが姿を現すかが重要です。その点に関して言うと、イーブイ、シェルダー、ピッピなどなど。とてもいい宿だったといえるでしょう。
さて二日目です。言うまでもないことですが足利フラワーパークへ突入するためにはなくなったモンスターボールをがっつり補給する必要があります。フラワーパークから宿に行くまでももちろん補給しながら走っていた(運転手である僕のスマホは編集Kが二つ同時に操作していました)のは言うまでもないのですが、やはり圧倒的にポケストップが少ない。ありそうな場所を探してみるも効率よく回収するには不向きな場所ばかり、さてどうしたものか?現在那須高原なので宇都宮にでもよるかとナビに打ち込んでみると二時間半かかるとのこと、これではヒトカゲを捕獲する時間が無くなってしまうと却下、ではどこに……、とりあえず、駅に向かってみようということになりました。というわけでもう二度と行くことはないであろう西那須野駅が近くにあるという看板を発見したのでいってみる。
さすがに駅の近くに行けばポケスポットもあるだろう。ありました。さすが駅です。というわけで一周五分ぐらいで6か所ほどのポケストップを回るルートを確立し、ボールがたっぷり溜まるくらいまでグルグルグルグルグルグルグルグル回っておりました。ぐるぐる回る間同じ道を通るので工事中の交通整理のおじさんに顔を覚えられたのではないかと不安になりつつ二時間程度で補給完了。すぐさま高速に乗って足利フラワーパークへと向かいました。

二日目の足利フラワーパークは前日よりも暑く感じました。風がなかったせいで前日よりもかなりハードなことになりそうな気配。気配だけではなく実際にくそ暑くて風もなく大変な目にあいながらヒトカゲ狩りは続きます。何もしなくても汗が噴き出してくる状況な上にヒトカゲを求めて右往左往。さすがはヒトカゲの巣というだけあって次から次へとヒトカゲに遭遇します。
逃げられたりボールから飛び出してきたりと苦戦しつつも、着実に捕獲数を増やしていきます。滝のような汗を流し、暑さにうだりながらヒトカゲとの闘いは続けていくと……はい、ようやく目標である32匹に到達。皆も次々と目標予定数に到達。そしてとうとう全員が目標達成。補給したモンスターボールを使い切るまで頑張って、二日間にわたって繰り広げられたヒトカゲ捕獲作戦は終了となりました。

ストイックに頑張った僕らはせっかくなのでと佐野へと移動、佐野ラーメンをいただき、さらいはご当地キャラのさのまるに会って、帰路についたのでした。帰りの高速の上でカビゴンの影が出たなど最後までポケモンGO三昧の旅でした。そんなアホ旅をしている途中、調教師から連絡がありました。
わが愛馬イイナヅケ(牝3、栗東・須貝尚厩舎)はスーパー未勝利に出走することになったそうです。最後の勝負ということですが、もしだめだった場合その後の身の振り方を考えなければなりません。勝ってくれるのが一番なのですが、力を出し切るということが現状難しそうに見えてしまうイイナヅケ、素質はあるのはわかっているのでなんとか頑張ってほしい。がんばれイイナヅケ!
とまあ競馬のネタがイイナヅケの次走の予定というだけの今回の記事ですが、いい大人が集まってこんなアホなことを全力でしていることは伝わったかと思います。バカだなあとか思いつつも楽しかったといっておきましょう。馬のほうの成績があまり芳しくないのでいい感じで更新もできない状況ではありますが、これからも頑張っていく所存でございます。
了



プロフィール
大和屋 暁 - Akatsuki Yamatoya
脚本家・作詞家・ライター。若くして一口馬主に出資を始め、クラブ馬主歴2年目にハーツクライと運命的な出会いを果たすと、有馬記念、ドバイシーマクラシックを制す大活躍。しかし、ノド鳴りによるアクシデントに見まわれ、突如として引退したことに一念発起、馬主になる決心を固めた。個人馬主としては、初めてデビューを果たした所有馬ジャスタウェイが大活躍の強運ぶりを発揮。遂には、目標であったドバイ遠征を実現させ、ドバイデューティーフリー(現在のドバイターフ)を圧勝。「自らの馬でドバイを勝つという」夢を実現させたばかりでなく、そのパフォーマンスが評価され、2014年度のワールドベストレースホースランキングでは、日本馬史上初の1位を獲得している。
現在の現役所有馬はカリボール、マジカルステージ、ジャスコ、キングロコマイカイ。一口馬主や共有馬ではアウィルアウェイ、ルーツドール、イストワールファムなどに出資している。
本業ではアニメ版「銀魂」、「スーパー戦隊シリーズ」などの脚本を手がけ、2020年公開の映画「デジモンアドベンチャー」も担当。愛馬との数年間に及ぶ足跡を綿密に綴った『ジャスタウェイな本』などの執筆も手がけた。