3冠路線は駄達ではない、トーセンスターダムが差す!!

トーセンスターダム

14年12月13日(土)5回阪神3日目11R 第65回チャレンジカップ(G3)(芝外1800m)

トーセンスターダム
(牡3、栗東・池江寿厩舎)
父:ディープインパクト
母:アドマイヤキラメキ
母父:エンドスウィープ

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悠々と先頭を切っていくエイシンヒカリ。誰も絡まず、楽な逃げにも見えた。しかし身を削るほどのスピードで行っているとは知らなかった。1000mを58.8自体はそう驚くものではないのだが、その後も11秒台を刻む。4角を廻り追い出すラスト1ハロンまでは良かったが、ラスト100に辿りつく前に止り出した。
スルスルと横を抜けていくデウスウルトが、一瞬に先頭に立つ。勝ったと思えた瞬間だ。しかし離れた外目をフルーキー、さらにもっと外からトーセンスターダムが迫る。最後はトーセンスターダムが、クビ差だけ先着。2着争いが長~い写真で、同着となった…。


パドックで馬を観ている。前を歩くスマートレイアーは真っ白な馬体だが、エイシンヒカリはまるで漆黒の体。これで芦毛なの?と素人目には判らない。
そしてトーセンスターダムは落ち着いて周回しているのに驚く。稽古で乗る前や追い切って帰ってくる時がうるさくて《若さが抜けないな~、落ち着くのは来年だな~》なんて、勝手に知ったかぶりで予想していたものだった。まさしくその落ち着きがいい仕事をする源だった様だ。
そしてもう1頭目立つ馬がいた。アドマイヤタイシ。気合い満面で、いい感じで周回している。馬柱を観て《そう言えば、あの新潟記念はひどい不利を直線ラスト1Fで蒙っていたっけ》と思い出す。《今日は走るんじゃないか…》と、窓口でしっかり①絡みの馬券を買う。

ゲートが開いた。スッとエイシンヒカリが前に出る。赤い勝負服の芦毛馬と、ダイワの勝負服の出が悪いのが見えた。大外のバッドボーイはと見ると、ダッシュが鈍かった様で前にいない。5,6番手ぐらいの移置である。内でアドマイヤタイシが絶好の位置にいる様に見えた。《私の馬を観る眼は間違っていないな~》と、ちょっと嬉しい瞬間だ。トーセンスターダムとスマートレイアーが、最後方で並び加減で進んでいる。
3角を過ぎて、緩やかに4角へと向かっていく馬群である。《エイシンヒカリに誰も競りかけにいかないし、流れもスローみたいだし、勝たれたな~》と心の中でつぶやく。淡々と流れている様に思える全体であった。
そしてさしたる動きもないままに、4角を廻って直線に来た。トーセンスターダムとアドマイヤタイシを見つめている。アドマイヤタイシは、急に脚色が鈍くなった。トーセンスターダムは、前の壁がパカッと開いて脚を伸ばしだす。

ラスト300、エイシンヒカリが追い出した。まだ余力タップリに見えた。ラスト200、後ろからの馬が迫りだす。エイシンヒカリが伸びない。まだ赤い棒のラスト100が来てないのに、スルスルとデウスウルトが横をすり抜けていく。《いいタイミングだな~》と川田Jの仕掛けを褒める。しかし、まるでスロービデオを観る様に、外からフルーキーが、さらにトーセンスターダムが一歩ずつ一歩ずつ迫っていく。
一番外のトーセンスターダムが、クビ差前に出たのが見えた。すぐに階段を下りて、検量室の枠場で待つ助手二人の処へと馳せ参じた。

PVを何度も見上げていると、横でインタビューが始まる。小牧Jである。そして私の方を観て『自分の馬も大概、行きっぷりのいい馬なんですよ、それが楽について行けているから、遅いのかと勘違いする程でしたよ。速かったんですね~』と言ってくれた。
《やはり乗っている者も速いのか遅いのか判らない時もあるんだ~》と、エイシンヒカリの速さである。次のレースへと向かう武豊Jに訊けた。『やっぱりこんな距離がいいんだね~』が結論であった。
皐月賞、ダービー。そして前走の菊花賞と3冠を戦ってきたのが伊達ではなかったと思える今回の結果。今までは若さばかりが目立つ戦いぶりだったのだが、今日はしっかりと成長した感じにも映ったトーセンスターダムの姿だった。
そうそう、スマートレイアーもひと言。最後は大外をいい脚では来ていたが、コンマ3秒差の6着だった。次走は歳を開けての京都牝馬特別らしい。
来年もまた頑張って、共に戦っていこうと思うのである。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。