桜除外の悔しさバネに ミッキークイーンが名実共に女王の座へ!

●5月24日(日) 2回東京10日目11R 第76回 オークス(G1)(芝2400m)

メンバー最速となる上がり34秒0の末脚でライバルを一蹴。ミッキークイーン(牝3、栗東・池江寿厩舎)が自らの名前の通り、樫の舞台で“女王”の座に駆け上がった。

デビューから手綱を執る浜中俊騎手が「この馬に初めて乗せてもらったときから、クラシックに一緒に出られればという思いがあった」と出会いを振り返り、管理する池江泰寿調教師が「三冠を狙えると思っていた」とまで口にするほど下馬評の高かったミッキークイーン。キャリア3戦目で挑んだクイーンCで2着と好走し、着実にステップアップを果たしていくものと思われたが落とし穴が待っていた。桜花賞では抽選対象の3頭のうち、ただ1頭だけ除外の憂き目。戦わずして一冠目への扉は閉ざされてしまう。

悔し涙を呑んで出走した桜花賞当日の忘れな草賞を制し、胸を張って挑んだ今回の大一番。「スタートが上手ではないので、そこだけ集中していました」との言葉通り、何とか五分にスタートを切り中団のポジションを確保。4コーナーでクルミナルの外に進路を確保すると、最後はルージュバック、クルミナルの叩き合いを外からまとめて差し切った。

「最後は何とか前を交わしてくれとの思いで追いました。桜花賞に出られず自分の責任もあると思っていて、オークスでは結果を出したいと思っていたので良かった。この馬の実力を証明できて本当に嬉しい」と鞍上は胸を撫で下ろした。

ミッキークイーン

クイーンC出走時には20キロも馬体を減らし、今回も体重は430キロとまだまだ線の細さが目立つ存在。しかし指揮官は「線が細いのはディープインパクト譲り。でも、父(ディープインパクトを管理した池江泰郎元調教師)は“ディープは中身で走るんだ”とアドバイスしてくれていましたから」と数字に惑わされること無く渾身の仕上げを施し、厩舎初となる牝馬によるG1勝利を掴み取った。

次の目標は当然、牝馬三冠戦線の最終戦・秋華賞。今後は女王の座を防衛する立場へと移るミッキークイーン。ひと夏を越してどのような成長を遂げるのか。今後への楽しみは尽きない。

【池江泰寿調教師のコメント】
「桜花賞除外の無念を晴らせて喜びは格別です。デビューした当時から牝馬のトップクラスと見込んでいました。三冠を狙えると思っていましたから。パドックでイレ込む馬が多い中、この仔は発汗も目立たず落ち着いていました。クイーンCでの大幅なマイナス馬体は中間に減らしたもので、輸送がこたえる馬ではありません。今回は直前も増えていましたし、プラスで送り出せると見ていましたよ。

忘れな草賞で距離延長も克服。ゲートさえ五分ならやれると信じていました。浜中ジョッキーとは“1コーナーまである程度は促す”ように打ち合わせをしました。思い描いたポジションでペースも想定通り。直線も脚がありそうに見えたので、これは前を捕えられると力が入りましたね。

牝馬のクラシックを勝つのは初めて。ディープインパクト産駒でも初のG1になります。込み上げてくるものがありますよ。見た目が頼りなく、線が細いのはディープ譲り。でも、父(ディープインパクトを管理した池江泰郎元調教師)は“ディープは中身で走るんだ”とアドバイスしてくれていましたからね。改めて血の偉大さを実感しています。

今はようやく噛み合ってきた段階で、この馬の嗜好を探り、飼い葉の配合などをスタッフが把握してくれたのが勝利につながりました。上半期はふさわしいレースもありませんので、秋華賞で二冠を狙います」

ミッキークイーン

ミッキークイーン