【朝日杯FS】偉業へエアスピネル武豊「大きなチャンス」

12月20日(日)に行われる朝日杯FS(G1)の最終追い切りが、16日、栗東トレセンで行われた。

デイリー杯2歳Sを勝ち2戦2勝でG1に挑むエアスピネル(牡2、栗東・笹田厩舎)は助手を背に坂路で52.3-37.8-24.4-12.1秒をマーク。後半の2ハロンを共に12秒台前半でまとめ、大一番へ順調さをアピールした。
同馬に騎乗する武豊騎手の一問一答は以下の通り。

●デビュー前から抱いていた期待

-:では、香港カップに続き、2週連続での国際G1競走勝利がかかるエアスピネルのお話を伺います。2戦とも本当に強い競馬でしたね。

武豊騎手:そうですね。デビュー前から期待していたのですけれども、デビュー戦、2戦目と共に完璧といえる内容のレースをしてくれましたね。

武豊騎手

-:デビュー前から期待していたという事ですが、それは血統的な面やあるいは乗り味からでしょうか。

武:両方ですね。血統的にももちろん期待していましたし、調教に乗ったときもすばらしい動きをしていましたので、非常にいい馬だな、と思っていましたね。

-:お母さんのエアメサイアに対する想いも当然あったと思います。何か似ている点などはありますか。

武:それがあまり似ていないんですよね(笑)。毛色も違いますし、体型もそんなに似ていませんし。ただ、走る能力があることと、乗り手の指示にしっかり従ってくれるという点では似ているかもしれませんね。

-:初戦の新馬戦の9月12日は、エアメサイアが亡くなって丁度1年が経った日だそうですね。

武:そうらしいですね。

-:そして2戦目は8枠に入って外、外を回っての完勝でした。

武:スタートはあまり良くなかったのですけれども、すぐに流れに乗れました。雨がすごく降っていて芝もかなり重たい状況だったのですけれども、特に問題なかったですね。

-:問題ないどころか、ゴール前は追うのをやめていましたよね。

武:そうですね、スピードに乗ったら自分で走ってくれるので。

-:改めて能力、素質の高さを感じたのではないですか。

武:そうですね。2戦目であれだけの走りが出来る馬はなかなかいないので、レース後すぐに朝日杯が楽しみになりましたね。

●前人未到の大記録よりも

-:その朝日杯です。もう皆さんに何度も聞かれているかと思いますが、JRAの平地G1・22レースの最後のひとつになりました。

武:このレースが残りましたね。

-:しかも今回は、圧倒的1番人気でのレースとなるでしょう。

武:3年前にサダムパテックでマイルCSを勝って、あと朝日杯1つという事になったのですけれども、今年はこれだけ人気を集める馬で出られるので、その辺はやはり自分でも大きなチャンスだなと思いますね。

-:当日はびっくりするようなお客さんになると思います。

武:いや~どうですかね(笑)。2歳チャンピオン決定戦ですし、エアスピネルとしてもここは2歳での最大の目標となります。来年へ向けて大事な1戦でありますから、自分の記録は別としてがんばりたいですね。

-:JRAもスターホース誕生を心待ちにしていますし、その素質がある馬だと思っています。

武:本当にそうだと思っていますね。いい馬ですよ。

-:管理する笹田調教師、そしてその義父である伊藤元調教師と、そのあたりをひっくるめてファミリー感というのもありますね。

武:そうですね。エアメサイアも全レース手綱をとらせてもらいましたし、あの馬で勝ったレース、特に秋華賞なんかは非常に嬉しかったのを鮮明に覚えていますし、あの馬の仔でG1を勝つことが出来ればさらに嬉しいですね。

-:個人的な話になってしまいますが、エアメサイアのオークスは武豊騎手が100点満点の騎乗をされたと思うのですが、シーザリオに敗れて2着。そのシーザリオの子供もこのレースにエントリーしてきました。

武:これも競馬の面白いところですよね。エアメサイアの仔とシーザリオの仔がG1で一緒に走るというのは楽しいですね。

-:もちろんとっちめてやろうという想いはあると思いますが(笑)。

武:いやいや(笑)。エアスピネル自身これから先楽しみですからね、2歳チャンピオンにしてあげたいなという気持ちは強いですから、いいレースがしたいですね。

-:では最後になりますがファンの皆さんに一言お願いします。

武:馬のほうはすごく順調と聞いていますし、デビュー戦2戦目とほぼ完璧な内容で走ってくれていますので、今回人気にはなると思いますけど僕自身も非常に楽しみにしていますし、せっかく自分だけがいただいたこういうチャンスなので達成したいと思いますね。

武豊騎手