最後のひと押しで前に、無敗馬同士の決着はマカヒキに軍配!

マカヒキ

16年3月6日(日)2回中山4日目11R 第53回弥生賞(G2)(芝2000m)

マカヒキ
(牡3、栗東・友道厩舎)
父:ディープインパクト
母:ウィキウィキ
母父:フレンチデピュティ

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リオンディーズ、1.9倍。マカヒキが2.6倍。エアスピネルは少し離された人気となって4.2倍のオッズとなった弥生賞。好位グループでレースを進めたリオンディーズが、4角で早くも先頭。それを追うエアスピネル。そこから2馬身ぐらい後ろにマカヒキで直線に入ってきた。最初に追い出したのがエアスピネル。武豊Jの右ステッキが入る。だがリオンディーズとの差が詰まらない。リオンディーズも追い出す。しかしマカヒキの伸びがよく、ルメールJの右2発、左1発のステッキに呼応して最後はクビ差交わしてのゴールであった。エアスピネルは、そこから2馬身と水を開けられた。


朝からパドックへ大勢の人が。そう、菜七子君の人気でけっこうな人が集まっていた。新人女性ジョッキーの人気はすごいもので、2Rの時からカメラ等の報道が相当な数がパドックにいた。その流れと、無敗馬同士の決着にエアスピネルを加えた激走が見られると注目の一戦で、大勢のファンが見守るパドックだった。
エアスピネルも、前回よりはうるさくない。多少の気合乗りの強さはあっても、十分に我慢がきいている。リオンディーズも、兄に比べてもマシなもの。そしてまったく動じてないのはマカヒキ。逆に気合があるのかと思ってしまうぐらいに落ち着いている。この3頭に割って入る馬はいないだろうの見立てだった。

スタンド前の、少し4コーナーへ近づいた処のゲート。大勢の人の前でも、馬って平気な様である。どうしてもエアスピネルを中心に見ている。ゲート入りも問題なく、後は出だけだ。

少し外へ流れる様には出たが、まずは大丈夫な出だ。外からリオンディーズが前に出ていくのには驚く。後でPVを見て知ったのだが、マカヒキのゲートの出が芳しくなかった様だ。最初のカーブへ、ほとんどドンジリに近い入りで通過していった。前は予測どおりシャララが行くとみていたのだが、小崎Jが譲らない。ケンホファヴァルトが押して押して外から交わして、先頭を奪っていく。2コーナーを廻って後ろを離していく。前から4頭目にリオンディーズ。そこから2馬身ぐらい後ろにエアスピネルだ。マカヒキは2コーナーを廻ってから少し押し上げて前へと出てきた様で、エアスピネルから3馬身ぐらい後ろに位置している。

2コーナーで先頭を取ったケンホファヴァルトの逃げだが、シャララがムキになって追いかけてもいないので、向こう正面に入ってずいぶんと縦長の展開にはなったが、暴ペースとはなっていない。リオンディーズが4番手だが、隊列の真ん中。10馬身ぐらいか。その3馬身後にエアスピネル。そこから1馬身ずつ続き、マカヒキは後ろから4頭目で800mを通過。ケンホファヴァルトは、1000m通過時には13.0と少しペースを落としたせいか、後続との差がだいぶなくなる。59.5で通過。
次のラスト800mを過ぎさる時には、2番手にモーゼスが上がってた。ここらですでにペースはあがりつつある様だ。次の600mを迎えてもまだリオンディーズが動かない。4番手でガッチリと手綱を抑えている。前はケンホファヴァルトを交わす勢いでモーゼスが並びに行って4コーナーへ入ってきた。この短い間にリオンディーズが加速して先頭になって直線へ入ってきた。

その真後ろをエアスピネルが追ってきている。さらに後ろの大外へ、マカヒキがグーンと加速してきた。武豊Jが手綱を絞っ、右ステッキを誰よりも先に入れる。リオンディーズとの差はまだ1馬身とちょっと。左後ろにマカヒキが見えたはずだ。M.デムーロJがチラっと左後ろを確認する。ここでエアスピネルとの差は1馬身あるかないか。マカヒキがエアスピネルの外、半馬身まで迫ってきている。
ラスト200mを過ぎた。まだリオンディーズが先頭。エアスピネルの伸びが思う様でない。M.デムーロJが右ステッキで追い出した。エアスピネルを交わしたマカヒキ。前を行くリオンディーズに追っていく勢いは素晴らしい。手綱をグイグイと押していくC.ルメールJのアクションに応える様に伸びていく。左に持ち替えたステッキを1発入れて、最後の完歩でキッチリとリオンディーズを差した。

ひとつ前のレースで、ルメールJとのコンビでブチコが圧倒的人気に応えて勝った。その表彰式で時間が取られたのだろう。金子真人オーナーがパドックに姿を現したのは、だいぶ後半だった。
父ディープインパクトと同じ道を歩むマカヒキ。このお馴染みの勝負服が、中山で2連勝。その後の小倉最終レース、阪神最終レースとまたまた同じ勝負服がすべて1着でゴールに入ったのを見届けた。僅か1時間少しの間に4勝してみせる、すごい引きである金子オーナー。いやはや強運の人である。

リオンディーズは、勝ちに行っての競馬で、先に仕掛けてクビ差負けた。最後の2ハロンが11.3~11.3の切れである。マカヒキが使った脚が33.6と、これまた桁違いなもの。そして、残念ながらエアスピネルはそこから2馬身の差だ。
検量室内の隅っこで武豊Jと話が出来た。『修正の余地がある』と決してあきらめていない言葉だ。強がりで言っている訳ではないはず。私でもPVを見て1コーナーまでの入りに若さがいっぱいだったのを見ている。まして乗っている者にしか判らない点が、それこそあるはずだ。
マカヒキが無傷の3連勝。そして誰しもが思う事。はたしてC.ルメールJは、マカヒキとサトノダイヤモンドのどちらを選ぶのであろうか…と。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。