ステッキを34発?ビッシリと追われたクランモンタナが初重賞!

クランモンタナ

16年8/7(日)2回小倉4日目11R 第52回小倉記念(G3)(芝2000m)

クランモンタナ
(牡7、栗東・音無厩舎)
父:ディープインパクト
母:エアトゥーレ
母父:トニービン

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ドンジリ人気のクランモンタナが、和田Jの鬼追いに導かれて、念願の重賞初勝利を飾った。
メイショウナルトの2番手を進む。しかし道中の行きっぷりを見ていたら、とても勝てるなんて思えないもの。それこそ、和田Jに叱咤激励されて促されてのもの。師匠、岩元調教師の鬼追いを思い出させるような勝ち方だった。
1番人気のダコールはもう一歩伸びあぐね、2番人気サトノラーゼンは一度も前に顔を出せないままに終わった…。

30分以上も離陸予定が遅れると空港で聞いた。長い待ち時間の間に、何発のステッキを和田Jが入れたのか気になって、iPadで数を調べてみた。競馬場のパトロールビデオなら見やすいのだが、端末では見にくい。数が正しいとは思わないが、だいたいの数と思って欲しい。
スタートから最初のカーブに入る時にまずは見せムチだろうが1発、同じく2コーナーの手前あたりで1発。向こう正面で2発でラスト800mのハロン棒を過ぎたあたり、前を行くメイショウナルトの松若Jが後ろを振り向いた後に2発。3コーナーからはけっこう入れる。一番見にくいのが4コーナーで、メイショウナルトに並び外から上がってきていたアングライフェンとの間に入っているところが、ちゃんと数えられているかだけ。直線でもかなり入れている。空港で数えた時には29発と思っていたが、家でビデオで見るともっとあった。34発としておこう。
もし直線入口で馬券が売っていても買わないだろう、クランモンタナの行きっぷり、手応えであった。

メイショウナルトの逃げは1000mで1.00.5であり、ハイペースにはなっていない。向こう正面まではユッタリで、それからペースを上げていく。いわゆる後続馬に脚を使わせる流れであろう。3コーナーから和田Jクランモンタナが《ワッセ、ワッセ》と追ってきて、プレッシャーをかけられたのは事実。おまけにアングライフェンも早めに来た。それでなお辛くなったのにしろ、淡泊すぎる。どうも燃えつきたのかの、メイショウナルトである。
サトノラーゼンは、スムーズなレースで向こう正面では前から6頭目。すぐ眼の前をマーティンボロで、理想的な位置。最後方にいたアングライフェンが動いて行った時でも内でじっとしていて、手応えは十分。4コーナー手前で後ろのダコールがステッキを入れて追い出しているのに、まだまだ十分な手応えだ。もっともその後ろのエキストラエンド浜中Jも、何もせずじっとした手綱でいたが…。

4コーナーを廻って来た時に真ん中に入ってきたサトノラーゼンに対して、ダコールは外へ。前のマーティンボロが外へ張り気味になり、ダコールは進路がなくなり、少し待ってしまう。開いた隙間にエキストラエンドが真っすぐ伸びてくる。サトノラーゼンの方は、前が開いているのにガツンと伸びない。エキストラエンドの外にいたベルーフが4コーナーをうまく抜けてきたが、ダコールが外へ弾かれたアオリを食って、さらに外へと流れている。着差を考えると、クランモンタナを逆転していたかも知れない。だがそれも競馬の流れ。

やはりこのレースは、和田Jのガッツ。鉄人、和田竜二のほとんど2000mを追いっぱなしで勝ったレースであろう。
岩元調教師がジョッキー時代に、我々トラックマンが《ワッセ、ワッセ追ってくる》なんて表現をしたことを、ふと思い出しました…。新潟も暑かったけど、小倉も暑かったんでしょう…な。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。