【安田記念】実力馬アンビシャス&ブラックスピネルでワンツーを狙う音無厩舎

音無秀孝

31日、安田記念(G1)の追い切りが栗東トレセンで行われた。

前走、大阪杯5着のアンビシャス(牡5、栗東・音無厩舎)は、助手を背に坂路で終い重点の最終調整。時計がかかる時間帯で、また、最近は攻め駆けしなくなっていることもあって、タイムは地味に映るが、しっかりとした脚捌きで4F52.9-39.0-25.7-13.2秒をマーク。2カ月ぶりの実戦でもしっかりと力を出せる態勢にある。

また、マイラーズC4着のブラックスピネル(牡4、栗東・音無厩舎)は、先週に続いて初コンビを組む松山弘平騎手が手綱をとって坂路へ。前半ゆったりとしたペースから徐々にピッチを上げ、ラスト1Fで気合を付けると迫力満点のフットワークで4F54.1-39.0-25.1-12.2秒を計時。「先週、初めて乗りましたが、〝パワフル〟という印象でした。その先週でいっぱいにやっったし、今週は上がり重点で。追っての反応も良かったし、いいイメージを持ってレースへ臨めそうです」と好感触を掴んで大一番に臨む。

どちらもやや勝ち味に遅いタイプだが、アンビシャスは昨年の大阪杯でG1馬5頭を抑えて快勝。ブラックスピネルは2走前の東京新聞杯で逃げて上がり3F32.7秒の脚を見せて重賞初Vを飾るなど、G1を勝つポテンシャルを備えている。トレーナー、そして両馬の鞍上とも先週のダービーでは悔しい結果に終わっているだけに、そのリベンジがなるかも注目される。

追い切り後、管理する音無秀孝調教師の一問一答は以下の通り。

●マイル戦はデビューから2連勝

-:まずはアンビシャスからうかがいます。前走の大阪杯、速い流れのラップだったと思いますが、振り返ってどんな印象をお持ちですか?

音無秀孝調教師:アンビシャスにとってはそれほど流れたとは言えないですね。作戦は後ろから行って終いを生かすだけなので、来てはいるのですが、前で競馬をした馬に残られていますからね。それなりにいい脚を使っていますけども。

-:マカヒキを意識してのレースに見えたのですが、その点に関してはいかがしょう?

音:それは違いますね。自分の競馬をするしかないから、ポジションを取りに行ったりすると噛んでしまいますからね。自分のレースをするしかなかったので、あれは仕方ないなと思いますね。

アンビシャス

時計は地味も力強い脚捌きを見せたアンビシャス

-:コンスタントに33秒台の脚は必ず使ってくれる、しっかりとした馬ですね。

音:行き過ぎても噛むし、後ろから行くと今度は届かないと、そういったところはあるのですが、ワンターンの千八とかが一番合うんですよ。ですから千六も。新馬、500万特別以来になるのですが、そこで瞬発力を使って勝っていますから、ひょっとしたら二千よりは合うかな思いますね。

-:では、ここで新たな味が出てくるかも分からないと?

音:そうですね。そこを期待して今年は宝塚記念を辞めて安田記念というローテにしたのですが。

-:その大阪杯を使ったあと、少し間隔が開きましたが、その間の過ごし方を教えて下さい。

音:ノーザンファーム天栄にすぐに短期放牧に出しまして、早めに帰厩させました。

-:1週前は僚馬ブラックスピネルと併せて、アンビシャスはちょっと遅れてしまったようですが、アンビシャスの1週前追い切りの動きの評価をお願い出来ますか?

音:ブラックスピネルが稽古から凄く走る馬で、最初からアンビシャスは遅れると分かった上で併せ馬をしたのですが、案の定、調教駆けしないのでアンビシャスは遅れてしまいましたけども、あまりそこは気にしていません。

-:この馬の動きとしては?

音:悪い方じゃないと思いますけどね。今日は今日でやっていますしね。

-:今、話に出ました1週前の追い切りを受けての今日はどういった指示を?

音:今日は助手が乗ったのですが、最後をしっかり伸ばすようにということで。今日は割と前半が速かったのですが、時計が少し掛かるような時間帯で追い切っていますから13秒を切れませんでしたが、この馬らしい動きだったと思います。

-:最終的なジャッジをいただきますと、レースに向けてどうでしょう?

音:8割方出来たと思いますけどね。

●マイペースの調整で悲願のG1制覇へ

-:G1に向けて、残り2割はどういったところを考えていらっしゃいますか?

音:輸送がありますから、輸送の事を考えれば「あまりやり過ぎても」というところもあるんですよね。

-:今回の一連の調教の中で、久々のマイルということで、マイルに併せての工夫がありましたら教えて下さい。

音:それはないですね。いつもと同じようにやってきましたから。体重の変動が少ない馬なので、善し悪しが掴みにくいところがあるのですよ。休み明けで牧場から帰ってきても、ほとんど体重は同じですしね。心配しているカイ食いも悪くないですから、前走並みか、輸送で若干減るくらいかなと思っています。

-:今年に入って2戦使われていますけども、使われつつの上積みという点はどのようにジャッジされますか?、

音:上積みというか、間隔は開けていますよね。今回はほぼ休み明けに近い放牧明けなので、上積みというのは僕の方では頭にないですね。

-:インタビューの冒頭で「自分のレースを」と、おっしゃっていましたが、G2時代の大阪杯でアッと驚くレースを見せて下さったことがありました。今回、鞍上は横山典弘ジョッキーです。何かレースに関してお話をされたりとかはありますか?

音:ありますね。逃げたキタサンブラックをマークした乗り方ですよね? それを宝塚記念でもしたんですよ。似たような形で。そうしたら、やはり噛んでしまいまして、直線全然伸びずに終わりました。ですから、あのような轍は踏まないようにしようと横山くんとは話が出来ていますので、いつものアンビシャスの乗り方をすると思います。

-:と、なりますと、最後の末脚に期待されているファンも多いと思います。アンビシャスにつきまして抱負をいただけますか?

音:まずは流れてほしいですね。他力本願の部分がありますので、流れてほしいということと、不利のないレースをしてほしいなと思っています。

●前走4着にも悲観の色はなし

-:続きまして、ブラックスピネルについてうかがいます。最近ではマイルに絞った使い方をしていますけども、以前2000m前後を使っていた時と、改めてレースぶりを比較してどんな印象をお持ちですか?

音:デビューしてしばらくは、2000mくらいならとクラシックを意識して使っていましたけども、段々「長いんじゃないか」と言われてきて、今はマイルに切り換えています。今年に入って金杯から凄く調子が良くて、いい時が長く続いています。今回もメンバーが強くなるのですが、マイルだったらやってくれるんじゃないかと思っています。

-:前走につきまして、マイラーズCはあの流れの中で4着。どのようなジャッジでしょう?

音:ミルコさんには「前で競馬しようね」と言ったんですが、なぜか下げた形で、そうすると流れないスローで展開が向かなかったのですよ。それでも最後は最速の上がりを使っていますし、特に悲観することはないと思います。

ブラックスピネル

松山騎手を背に好調をアピールしたブラックスピネル

-:マイラーズC以降の状態、中間の過ごし方を教えて下さい。

音:短期の放牧に出して、本当に短かったのですが、ほとんど変わらない状態で帰ってきましたし、先週も速い時計を出して、今日は最後だけ伸ばしたのですが、いい動きでしたね。調子は悪くないと思います。

-:アンビシャスと併せて先着して、そして今日。と、なりますと、流れとしてはもう万全と見ていいですか?

音:いいと思います。

-:今回、松山ジョッキーがテン乗りとなります。松山ジョッキーと話したことがありましたら教えて下さい。

音:先週も追い切りに乗って、今週も乗っているのですが、出来るだけ馬のことを知った方がいいから、乗ってもらって馬の性格などを把握してもらっています。あの馬のいいところは前で競馬をした上で、最後に瞬発力を使うということなので、前で競馬をしようという話はしてあります。

●自分の力を出し切れば大金星も

-:敢えて先生から、この馬に「あとこういうのがあれば」という課題がありましたら教えて下さい。

音:メンバーの強い、弱い関係なしで走れる馬なので、自分の力さえ出せれば勝ち負け出来ると思います。問題は前走のような時ですよね。ちょっと下げたらスローになったりしますので。出来れば前めで競馬をして、自分の力を出してほしいなと思っています。

-:今回は重賞を勝ったゲンのいい舞台でもあります。この馬に関して抱負をいただけますか?

音:特別登録をするまで楽観視していたのですが、賞金が半分になって18番目で出走可能ということで僕もビックリしまして。だから賞金加算はしたいなと。2着までに来ないと出来ませんから、頑張って2着以内を確保してほしいなと思っていますけども。

-:その上の着順も狙えるんじゃないですか?

音:狙えるとは思いますけども、アンビシャスがいますから、これ以上のことは言えないですね(笑)。

-:本当に素晴らしいレースを期待しています。

音:そうですね。調子がいいので頑張ってほしいです。